表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キミ色の夢  作者: 針野 あかうめ
〜始まりの夢〜 主要色のご紹介
9/12

切れ端 〜赤〜

誰だコイツらって思うかもしれませんが、割とすぐに気づくと思います。……多分。


 少女が本を抱え、村の中を走る。

 どうやら今日も、人を探しているようだ。


「おにーちゃーん!!!」

「ん……今日はどうしたんだ?」


 少女はいつもの、二人だけの場所で、探し人を見つけた。

 少女の探し人である少年は、今日も魔術の本を読んでいたが、少女の声が聞こえると本を閉じ、少女を抱きとめる。少年はいつものように、少女を自身の膝の上に座らせると、少女は待ってましたと言わんばかりに、持っていた本を掲げる。


「本、読んで!」

「あぁ…今日も、”赤”の話?」


 少女は昔から、物語が大好きだった。

 高価で、手に入りにくい絵本をいくつも所持し、何度も人に読ませるほど、大好きだった。

 だから今日も、少年に読んでもらうのだ。


「そう! だって”赤”、いまも会えるんでしょ! いつか会いたい!」

「あぁ……うん、いいよ。読んであげるから、こっちにおいで」

「うん!」


 最近のお気に入りは、ヘレネア救国物語。

 物語の主人公は、”赤”の英雄。

 彼は”今”も、舞台の国に所属している。


 △▼△▼△


 はじまりはへいわでした。

 しかしいつからか、ひとはへいわをかしんしてしまいました。ヤミはそんな、へいわをつつみこみ、おうこくはヤミにのっとられてしまいました。


 そんななかで、ひとりのおとこがおうこくをすくうため、たちあがりました。おとこのなまえは、バルバト。ちちおやのてらすようなあかいかみと、ははおやのもえるようなあかいめをついだおとこです。


 バルバトはいくつものまちをすくいました。

 あるときはかんしゃされ。

 あるときはばせいをあび。

 あるときはおしまれ。

 あるときはむしされ。

 それでも、バルバトはまちをすくいつづけました。


 そうして、ついにバルバトはヤミのしろにたどりつきました。やみのしろは、もとはおうこくのしろ。だけどいまはそのおもかげすらなく、くらくまがまがしいしろです。

 

 バルバトはしろのなかをすすみます。

 そして、ぎょくざのまへとたどりつ■■■■⸺⸺。



 △▼△▼△


「………」


 少年は、何かを言いたい顔をしながら、膝の上に座る少女を見つめる。


「なぁに、おにーちゃん」

「どうしていつも、この塗りつぶした絵本を読ませるんだ?」


 この絵本は、途中から黒く塗りつぶされている。

 だが、買った当初から黒塗りだったのではない。

 少女が、塗りつぶしたのだ。

 気に入らなくて、モヤモヤして。

 子供ながらに、嫌だと思って、塗りつぶした。


「おしまいだけが、スキじゃないから。おひめさまとケッコンって、赤のシアワセなのかわからないんだもん……」

「酷く我儘だなぁ……知ってる? 紙って高価なんだよ。それに、この村は辺境より辺境だから、一般より更に希少なんだよ」

「しってる。だから、スキなおしまいにしようって、新しくかこうとおもったの。でも、インクのビンをたおしちゃったから……もういいやって」


 少年は、この少女の言い分はただの言い訳だと知っている。だけど、指摘しなかった。

 それは何故か? それは……⸺少年は、少女の泣き顔に弱いから。


「……それで、今日の”おしまい”はどうするんだ?」

「今日のおしまいはねー……よし!


 ⸺赤はヤミをたおしたけど、きずだらけで、うごけなかったの。

 だけど、赤のかつやくを見ていたカミサマが、赤のきずをなおして、”えいゆう”のあかしとして、”ふろうふし”をあたえたの!

 それをおんにかんじた赤は、国のためにつかえることをきめた。だから、今でも赤は国につかえているの。


 っていうおしまい。どう? おにーちゃんからみて、おもしろいおしまいかな?」


 少女はいつも、自分でおしまいを考える。自分が気に入らないと塗りつぶした元の内容に引け目があるのか、少女の考えるおしまいは、いつも結婚をしていない。


 だけど少女も最近は、昔からのおしまいを、自分が気に入らないからと変えることは違うと気付きかけている。

 でも嫌だと、嫌いだと思う。

 イイとダメが少女の頭をぐるぐると回り、少女は分からなくなっていく。


 そんな少女の心境を知ってか知らずか。

 少年は少女の頭を撫で、感想を呟く。


「……今日のおしまいも、よかったよ」


 その一言で、少女の悩みは遥か彼方へ飛んでいく。

 だって、少年に褒められたのだ。少女にとって、少年に褒められることが、一番だから。


「えへへ……じゃあおにーちゃん、きょうはにいちゃんたちともあそばない?」

「えぇ〜……⸺たちも一緒なら、いいけど」

「おねーちゃんたちも? うーん……」


 少年はあまり、人と関わらない。だから、少女がいつも少年を引っ張り人との交流をさせる。

 そして今日はどうやら、少年が苦手な同年代たちと遊ぼうと考えたようだ。少年は渋々、少女の姉とその友達が一緒ならいいと答える。


 その返答に、少女は少し悩むが⸺


「⸺いいよ。じゃあ行こ、おにーちゃん!」


 少年の提案を聞き入れ、翡翠色の目を輝かせながら立ち上がり、少年の手を掴んだ。


完全なる余計な小話なのですが、ラノベ好きな転生者が、赤の英雄の話を独自解釈で書いた本が一時、身分問わず流行になった……という話があります。

必要ないですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ