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キミ色の夢  作者: 針野 あかうめ
〜始まりの夢〜 主要色のご紹介
3/6

浅縹は微毒持ち…?

浅縹は、”あさはなだ”と呼ぶらしいです。

水色表記よりなんかいいので使います(語彙力)


あ、次話短いので同時更新しています。


「ねぇねぇ、お兄(アラン)

「ん…なに? ユー」

「最近、お姉とどう? 上手く付き合えてる?」


 ある日の昼下がり。

 私は気になることがあって、お兄に最近お姉とどうなのか聞いてみた。

 お兄は本を読んでいた手を止め、悩むように手を顎に添えたが、直ぐに答えた。


「ぼちぼち。それに、まだ好きって言ってないよ。だから別に、ユーが期待してるようなことは一つも無いから」

「……えっまだ言ってなかったの!? お姉、気づいてないのか…あんなに分かりやすいのに…‥」

「うん、そうなんだよね。まだまだ、人の機微には疎いみたいだし」


 えぇ…うーん……うぅん。

 まぁ……仲悪いって訳じゃないし…いい、のかな…?

 

 *


 私の名前はユミカ。

 縁を繋げて円を……なんだっけ。ま、いっか。

 時々口が悪いと言われるだけの、普通の女の子。


 私には、お姉がいる。

 優しくて、ついていけなくて、壊れかけちゃった、お姉ちゃんが。

 今のお姉は、ヒビ割れた傷を癒している状態。平気で元気に見えてるけど…多分きっと、まだまだボロボロなんだと思う。


 私がお兄(アラン)とお姉を会わせたのは、ただのカンだった。でも、身体が勝手に動き始めたのも事実。

 だって、あの時の私の身体は、誰かに操られた人形劇のマリオネットみたいに、力を使って二人を会わせていたから。


 ◆◇◆◇◆


 いつもよりも、人が多い。

 今日は、レヴェル主催だけど……あぁ、そっか。確か、最近見つかった原初がいるんだっけ。

 確か、男だったか。それでこんなに、大勢の女性や父娘が参加してるのか……お姉、大丈夫かな。

 今日は多分、早々にあのバルコニーに出てると思うけど……あれ?


「⸺⸺♡」

「⸺?」

「⸺⸺⸺!!!」


 あぁ、あそこに原初がいるのか……着飾った娘(獲物を狩る獣)がわんさか群がってる。

 まぁ……原初の伴侶なんて、新たな派閥の実質的な長となることが出来るから……原初はまだまだ、ツクモのことを知らない、だから知識量で上回って支配することも可能だろうね。

 ⸺あれ? 塊の外のって、ヨゼルテックのとこの……。


「こんばんは」

「⸺ん? あぁ、嬢ちゃんか。こんばんは、久しぶりだな」


 やっぱりそうだった。そういえば最近、あまり会ってなかったから、久しぶりなのか。

 なんでこんなとこにいるんだろう…おこぼれ狙い、は流石に違うっぽい……本人に聞くのが、一番早いかな。


「何してるの?」

「あー…囲まれてる奴の、後見人代理やってるんだが……予想以上に集まっててな」

「確かに。もはや見えないし……何人か、本家筋の未婚者がいるね…」


 原初、本当に人気……いや、チラッと見た感じ、面がいいのも人気の理由かも。しかもオッドアイなんだ…。


「そういや、後見人代理ってことは、ヨゼルテックの方で見つかったってこと?」

「ん、そうだが……なんだ、知らなかったのか?」

「あんまり、私やお姉の方に噂も情報も回ってこないからさ」


 ………なんだろう。あの原初を見ていると、お姉が側にいて、笑っている姿を幻視する。

 これは一つ、試してみてもいいのかも。


「あぁ、そうだったな……⸺どうした? そんな食い入るように、原初の方を見て」

「………悪いんだけど、能力使ってくれる? あの原初に辿り着くの、運が無いと無理そうだから」

「は…? 別に、それは構わないが……まさかお前、惚れ⸺」

「⸺てはない。ただ……使って試してみる」

「使うって……そういうことか。⸺…分かった、手伝おう」

「ありがと」


 自身を包み込むような運気を感じながら、入りたくないと思っていた塊の中に、ズンズンと入っていく。

 ”幸運”に包まれた私の前に、障害は無い。私の邪魔をしようとする獣は、他の獣に邪魔をされ、私を妨害出来ない。

 ⸺そして私は、原初の正面に立つ。


「ちょっといい?」

「何か、用でも…?」


 大方、こうした方がいいと言われたのであろう、明らかに”作った”甘い顔。目の奥には、”疲れた”と”どうしてこんなこと”をの、二つが見え隠れしている……ふっ、私の方がポーカーフェイスだな。


 ⸺っと、違う違う。私は原初に、お姉との縁を作るために来たんだった。

 原初の左手⸺というか、左手の小指を触り、力を使いながら、原初に向かって囁く。


「正面出入り口から右、奥から5番目のバルコニー」

「………え?」


 手を離す。

 もう用は無い。


「滅多に人が来ないから、休憩にお勧め」

「……え…えっと、ありが、とう…?」

「別に」


 幸運はまだ続いているようだ。

 今の内に抜け出して、この獣の塊から離れないと……。


 *


 塊を抜け出してすぐに、かけてもらった幸運の効果が消えたのか、何人かの獣が追ってきた。が、サッと撒いてやった。

 こういう時に、自分のチビさに助けられる。

 ⸺でもさっきの、原初にだけ聞こえるように囁くのは地味に大変だったから、やっぱり低いのはダメだ。背よ伸びろ。


「あれ…来たんだ。早いね、今日は」


 予想通り、いつもと同じ場所にお姉はいた。

 別にお姉は、特別愛されてる訳でも、特別嫌われてる訳でも、特別酷い目にあった訳でも無い。ただ、レヴェルの異常性についていけなくなって、自分の心を守るうちに、いつの間にか閉じてしまった。


 全を物として、ただの背景として見て。

 個を、複数認識することを控えて。

 色を認識しないよう、見ないふりをして。

 そんな”逃げ”は多分、お姉が自分で考えて実行した、今をなるべく長く生きる術なのだ。


「まぁね。お姉、左手出して」

「………? いいけど……はい」


 出された左手、その小指に私の力を流す。

 先程、原初に触れた時に流したのと、同じ量・同じ時間で。ここがミソでありシビアでもある。量と時間がほんのちょっとでも違うと、”エン”は繋がらない。例えるならば……同じ宿屋にいるが同じ部屋に居ない、だろうか。


 自分の力ながら、結構な技量と集中力が必要なことに苛立ってくる。全く、どうして神は私のような、今日を楽しく生きられれば、その他は割とどうでもいいという思考の持ち主に、繋がり第一みたいなこの力を授けたんだか……。


「……うん、ありがと。お姉」

「いいよ……今日の月、いつもよりも、白い……?」

「へ……月?」


 お姉の言葉に釣られ、月を見る。

 確かに今日は、いつもよりも月の光が強い気がする……でも月の光は、ある程度決まっていたはず。それに、今日は三日月。

 新月よりは明るいけれど、満月には届かない月。

 …………そういえば、聞いたことがある。


⸺月の光が気になる時。それは神が、地を見ているから。


 何処で聞いたのか、イマイチ思い出せない。

 でも…その話が本当なら、少しだけ祈ってみたい。

 見ている神が運命の女神で……私が誘導した出会いが、お姉にとって幸せな未来に繋がりますようにって。


 ◆◇◆◇◆


「………シニタイ」

「えっと…ほんと、ごめんね?」

「…ムチッテマジデツミダワサ」

「えあっ、本気で大丈夫…???」


 某事件から、数日。

 暫く自室に篭っていたヨツバが、外に出るようになったんだけど……なんか凄く性格が変わってる。

 気になったので、手近にいたお兄に聞いてみる。


「…ねぇお兄。あんな風になるのって、普通なのかな?」

「いや……ヨツバが特別、動じるタイプだからだろ」

「ふーん、なるほど。⸺って、そういやお兄。いつも思ってたんだけど………カッコつけなの?」


 ヨツバが豆腐メンタルだってことは、もう置いとこう。

 私は前々から気になっていた、お兄の話し方について聞いてみた。

 お兄はいつも、私やヨツバとかその他の誰にでも、優しげな話し方をしているけど……お姉がいると、割と男らしい話し方をしている。そこが気になっていて、丁度いいから聞いてみた。


「………あー、多分? 意識して変えてたわけじゃ無いが…思い返すと、そうなのかもな」

「へぇ……じゃお兄は、お姉に「カッコイイ」って思われたいって、無意識で思ってるってこと?」

「……多分」


 ま、私が二人を会わせ(繋げ)たんだ。

 ヨツバは時々、お兄とお姉が付き合うのは不安だなんだと言ってるけど、今更どうこう変える気はない。

 謝り倒しているお姉と、棒立ちで何処か遠くを見つめているヨツバ。

 流石に、そろそろストップかけた方がいいかも。


「お姉、ストップ。これ以上の謝罪はヨツバに入らないよ。変態には届かない言葉があるんだよ」

「⸺グフッ!?」

「そうかな…分かった、じゃあ終わりにする! ⸺あっそうだ、ししょーが欲しいものあったら、買い物ついでに買ってくるらしいんだけど、何かある?」

「えっ、ほんと? ⸺じゃあねぇ……」


 私は、思うんだ。

 身近な人が幸せになっていけば、世界から不幸は無くなるんじゃないかって。


今回はサクッと書けました……ていうか、今までの話の半分以上の文量だなんて、何やってたんだろう()


オマケ

【男二人のちょっとした雑談】

「なぁ……俺、なんでトドメ刺されたんだ…?」

「お前がいつまでも梅雨だからじゃね?」

「梅雨ってなんだよ!? ジメジメしてるってか? ならせめて落ち込んでると言え落ち込んでると!!!」

「大体、ユーが時々刺してくるのはもう分かってるだろ」

「それはそうなんだが……アイツやっぱ、第二か第三の属性に毒があるって絶対」

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