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エピローグ

〆のエピローグです。


 町に戻ると皆に頭を下げられ謝罪の言葉と共に出迎えられた。

 どうやらシルク達が不在の間、これまで面倒を見ていた教え子達が町中をかけずり回って名誉回復に努めてくれていたらしい。


 そして直後にシルク達の潔白を示すように第十層攻略が全プレイヤーに告知されたことが大きかった。皆から憎悪を向けられても命懸けで攻略に挑んだというのはデスゲームを仕組んだ人間の行動にしてはおかしいと皆が感じてくれたようだ。


 逆境の中において皆に規範を示したことでシルク達は名誉挽回となった。時間を置いたことで皆が冷静さを取り戻したというのもあるだろう。ともかく運営社員はデスゲーム主犯という誤解は解けたようだ。

 弁明を聞かずに批判していた者は慰謝料代わりに各々レアアイテム等を渡すなど誠意を見せてきたため、シルク達も彼らを詰ることはせず謝罪を受け入れたのだった。


 また《B(ブラッディ).B(ブラック)》団員の処遇については町に到着する前に議論が交わされていた。

彼らの中には第十層ボス攻略戦を経てシルク達を恩人と崇め、改心した者達も多い。このまま彼らを〝犯罪者〟として他のプレイヤーに引き渡せばプレイヤーの敵意を向ける対象が《B(ブラッディ).B(ブラック)》団員に変わるだけで根本的な解決にはならない。


 彼らは確かに人を殺めてはいたが、特殊な環境に置かれたが故の凶行である。また、第十層攻略に貢献したことも事実だ。十羽一絡げに犯罪者と断罪するわけにもいかなかった。


 長い議論の末、シルク達は敵意の無い者は釈放することに決めた。その代わり二度とPKをしないことを誓わせ名簿をシルク達で管理することになった。

 他のプレイヤーにはシルク達が始末したという通達を公布された。自分達も嘘をつくため秘密は絶対に守るという盟約を《B(ブラッディ).B(ブラック)》の団員達と交わしたのである。互いに秘密を握り合いシルクが恩を売った形になるので彼らも襟を正すことになる。

 今や重要な戦力となった《B(ブラッディ).B(ブラック)》に憎悪が向けられないようにするための措置だった。元PK集団に対して寛大な措置ともいえるが、血濡れた(ブラッディ・ドッグ)が全員の指揮監督をすると主張した上、彼をよく知るカリナも太鼓判を押したためシルク達は彼に任せること決めたのだ。


 そしてゼノンは薬で眠りの状態異常を付与された上で牢獄に監禁された。

 表だって殺人事件を起こしていた彼を庇うことはできなかった。また、彼の精神状態を加味すれば眠らせて幽閉するのが一番だと思われたからだ。


 しかし、彼が凶行に走った理由は包み隠さず他のプレイヤーに通達された。

 皆、思うところはあったようでゼノンの処刑を訴える者は少なかった。処刑するには彼の功績はあまりに大きすぎたためである。また彼に同情しその世話係を立候補する者も多かった。こうしてゼノンの監禁場所は極一部の者にだけ開示され、彼を慕う者によって交代で監視と世話をされることになったのである。


 十層攻略戦よりも《B(ブラッディ).B(ブラック)》団員たちの社会復帰とプレイヤー同士の信頼回復に動く方が難儀でありシルク達にとって激動の数日となった。秩序が回復するまで当面の間は攻略は中断することになる。特にMr.ヌードは治安維持に動いた。血の気の多いプレイヤーに対して実績と拳をもって黙らせるという彼の荒療治のおかげでかなり治安は良くなった。


「テメェら! シャキッとしろや!」


「すんません、兄貴!」


 ゼノンがいなくなった後、多くの攻略組たちは目標を失っていたがMr.ヌードの個性的なキャラ性と強さに魅せられたのだ。その中には一部元《B(ブラッディ).B(ブラック)》団員までいた。


 リンネはコミュニケーション能力向上を兼ねて傭兵紛いのことをし始めた。シルクの決闘をみて思うところがあったのかもしれない。彼女も変わろうとしていた。


「ク―クック、半吸血鬼魔術師(ハーフヴァンパイアマジシャン)たる我が力とくと見せてやる!」


 魔術師(マジシャン)は十分に人手が足りてはいたが上級プレイヤーとして名高いリンネにお呼びがかかることは多かった。単純に欲しい素材を手に入れたいがレベルが足りないチームの補佐だったり、同じ魔術師(マジシャン)として彼女から学びたいというギルドもいた。


「リンネ、次は俺達に協力してくれないか?」


「お安い御用……って貴方達は!?」


 一仕事終えた後リンネに声を掛けてきたのは彼女の元チームだった。少々バツが悪そうな顔をしている。


「悪かったよ。お前がいなくなってから初めてお前の強さを再認識したんだ。また戻ってきてほしいなんて虫の良いことは言わない。けど、暇な時でいいから素材集め手伝ってくれないか?」


「ごめんね、リンネ。きついコト言っちゃって」


「先輩! 是非、魔術師(マジシャン)としてご指導ご鞭撻ください!」


 元チームメンバー達は殊勝な態度で謝罪してくる。新顔も真剣な面持ちでリンネの指導を待っていた。彼らからはもう余裕のなさそうなピリピリした空気はなかった。かつて一緒にMMORPGを愉しんだゲーマー仲間としての和やかな空気がそこにあった。リンネは服の裾で涙を拭う。


「……やれやれ世話の焼ける眷属たちよ。しばし汝らの我儘に付き合ってやろう。半吸血鬼魔術師(ハーフヴァンパイアマジシャン)は懐が広いからね!」


「ああ、よろしく頼む!」


 またカリナは一度【テオラルザ】に戻り、一時的に教職に復帰することになった。攻略再開までの限定的な臨時職員という立場であるが子供達は彼女が教壇に戻ることに浮足立っていた。


「じゃあ二十三ページを開いて。新しい算術を教えてあげる」


「先生! 授業もいいけど、冒険の話も聞かせてよ! 攻略戦に参加したんでしょ!」


「私も聞きたい!」


「はいはい。じゃあ皆が問題解けて時間が余ったら話してあげる」


 時折、シルク達と過ごした冒険の日々を語り箸休めをしつつ勉学を教える教育術は相変わらず子供達から好評だった。


 どれだけプレイヤーの同士の不和を解消したところでこのデスゲームを終わらせなければ根本的な解決にはならない。

 それには後九十層を突破しなければならないのだ。聳え立つ壁は大きく先の長い道のりである。シルクとミチルは教官として他のプレイヤーの手解きを続けていた。


「みんな強くはなってるけど、もう少しレベルが欲しい所ですね」


「まだまだ強いボスが沢山いるもんね」


 今日も多くのプレイヤーの成長を促した二人は披露した生徒を見送った後一息つく。

 野原に腰かけて陰り始めた夕日を眺める。その明るさはゲームの映像とは思えない程鮮明で美しかった。


「ねぇ、シルク。あなたはこのゲームクリアできると思う?」


「はい。捕えられたプレイヤーを現実世界に戻すまで、ボクは戦い続けるだけです」


「いつか現実に戻れたら貴女の素顔、見せてね」


 ミチルはまだ見ぬシルクの素顔を思い描きながらその傍らに寄り添う。

現実世界で再会するためにも共にクリアを目指すことを誓い合ったのだった。


以上、VRMMORPGのデスゲームモノでした。

楽しんでいただけたのでしたら幸いです。m(_ _)m

執筆動機はプロローグで書いた通りですね。


構想当時、盾キャラで強いキャラがまだ少なかったので

主人公にしました。デスゲームモノはアタッカーが多めですし。


PKグループの問題と運営社員の葛藤を解決したタイミングで終了です。

ボク達の冒険はまだまだ続くエンドですが

元々新人賞用に書いたのでこのお話はこれで完結になります。

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