7-10 エドナサイド
ドカーーーン!!! 天井が崩れたんだよ。
あれ? 落ちていく瓦礫の中に、誰がいるんだよ。あの蒼い髪は見覚えのあるんだよ。あれは……。
「カチュアさんだ!」
天井からカチュアさんと、あの人はレオさんだったよね? その二人が降りてきたんだよ。
「ちょっと! 天井が壊れていぜ!」
そう、二人は崩れた、天井から現れたんだよ。あれ? 何で、天井が崩れているんだろう?
「あの子! 何やっているッスか?」
天井の瓦礫は、ファイアーバードの真上へ落ちてきたんだよ。次から次へと、瓦礫が落ちてきて、次第にファイアーバードは瓦礫で埋もれたんだよ。
倒したって、ことでいいのかな?
「やるな!」
「まだまだよ~」
落ちてきた、二人は着地に成功し、再び手合わせをし始めたんだよ。
「おーい! 二人共、スイレンは助けたから、もういいよ!」
マリンさんが声を掛けているんだけど、二人は止めることはなかったんだよ。
「だめだ! 聞こえていない」
カチュアさん達の周りに魔物が集まってきたんだよ。
「やばい! 魔物が」
魔物の一体が、遅い掛かってきたんだよ。だけど、それにも、関わらず、カチュアさんはレオさんに剣を振るうんだよ。レオさんは、その一振りを躱したんだよ。しかも、カチュアさんの剣は、襲い掛かってた、魔物を真っ二つに斬りつけたんだよ。
また、魔物の一体が、遅い掛かってきたんだよ。今度はレオさんが、獣の爪のような刃物が付いたグローブによるパンチを繰り出したんだよ。カチュアさんは躱すんだよ。又しても、躱されたパンチは、襲い掛かってた、魔物を殴り飛ばしたんだよ。
その繰り返しで、襲い掛かった魔物達は、次々と、カチュアさんとレオさんが返り討ちにしたんだよ。うーん、魔物達は殆ど巻き添えなんだよ。
「魔物を倒しながら、戦っているのあの二人」
「あの伝説の女将軍のようや女性は、エドナさんたちの仲間ッスか?」
「うん。カチュアさんって、言うんだよ!」
「何で、その二人が戦っているッスか?」
「スイレンが囚われている状態で寝返ると、スイレンがどうなるか。だからといって妾達を見逃すこともリスクがある。だから、敵に欺くために、カチュアさんが残って二人戦い、妾達がスイレンの救出を託されたんだ」
「人間なのに、獣人族のレオと互換にやり合うなんて。それに、あのレオが、あんなに楽しく手合わせしているところ見たことないッス」
確かに、楽しそうなんだよ。特にカチュアさんなんて、暗殺者と戦っていたよりもイキイキとしているんだよ。
一方、アイラさんの方は。
「はぁ、はぁ」
「やりますな! やりますな! この俺とやり合うなんて! しかし!」
ヴォルトは全身電撃を放出し始めたんだよ。武器の槍にも、電撃が纏ったんだよ。
「これで! 終わりだ!」
大声を上げながら、槍を構えた。
グサ!!! ヴォルトの目の前には剣が降ってきて、床に刺さったんだよ。この剣はカチュアさんの剣なんだよ。
ゴーーーン!!! 前進したヴォルトは、床に刺さった大剣にぶつかったんだよ。後方へ倒れたんだよ。
レオさんが、上空に飛んで、上手く着地したんだよ。
「やられた。剣を弾き飛ばして、隙が出来たと思ったが、予想外の出来事が起きても動揺はせずに、次の行動へ移せるなんて」
カチュアさんは床に突き刺さった剣を抜く。その手前にはヴォルトがゆっくりと立ち上がっていたんだよ。
レオさんの手が燃え上がっているんだよ。
「なら、これなら、どうだ?」
そして、炎は獣の顔見たいな型になったんだよ。カチュアさんのと違うけど、あれは闘気と呼ばれる技かな? それに加えて、火の魔術で付着したんだよ。
「わたしが使った闘気とは違うわ~。魔術かな?」
「魔術の応用で闘気を強化できるんだ。いくぜ!」
レオさんはカチュアに攻撃を仕掛けにいくんだよ。
カチュアさんの体から、あの蒼い炎が現れたんだよ。カチュアさんは足元の床を殴ったんだよ。そうしたら、蒼い炎が壁のように形をして、現れたんだよ。
「ぐおおおお!!!」
何か、蒼い炎の壁の中に、人影が見えたような。気のせいかな?
レオさんの炎の闘気が、蒼い炎の壁にぶつかった。しばらく、ぶつけ合っていたんだけど、レオさんは後方へ弾き飛んだんだよ。
「あれ? 消えていないんだよ」
カチュアさんの蒼い炎は魔術を打ち消したり、魔物の体を通したりするんだよ。だけど、レオさんの闘気はまだ、燃えているんだよ。蒼い炎に触れたのに。ただ、火力は弱まっているんだよ。
「あの蒼い炎は、特定な物しか有効じゃないけど、それ以外は性質は火そのものか」
「どう言うことですか?」
「触れただけで、効果が出るわけではない。火と同じで木材を燃やしても、直ぐに灰にはならない。火力によっては直ぐに灰になるかもしれない。完全に打ち消すには燃やし尽くすしかない。つまり、蒼い炎で通常の炎のように燃やさないとならない。それでも、あの炎の闘気のように触れただけでも、火力が弱まった。それだけでも、カチュアなら魔術を扱う相手や魔物相手に有効に戦える」
「そう言うことですか。つまり、カチュアさんが、魔物に有効に、戦えていたのは魔物の体を通す、蒼い炎とカチュアさん本人の力強さが、合ってこそだったのですわね」
そんな中、倒れていた人が、ゆっくりと立ち上がった姿が見えたんだよ
カチュアさんとレオさんの戦いを、見ていたら忘れていたんだよ。ヴォルトのことを。
「俺の邪魔しやがって! こうなったら! 電気ビリビリを!」
また、あの雷の魔術がくるのかな?
「あれ? ビリビリでないよ! よ!」
雷の魔術がくると思ったら、床の上にあった槍を取ろうとするんだよ。だけど。
「う! 重! 何だ! この槍は!」
前方へ槍を持ったまま、前方へ倒れたんだよ。
すると、鎖が飛んできて、その鎖がヴォルトの体の周りを撒いて、動けなくしたんだよ。
「よく分からないが、捉えた。この鎖は、鉄で出来ていない帯電性だから、電気は通さないよ」
ぴーーーー!!!
鳥っぽい、鳴き声が聞こえたんだよ。
ガァッシャーーーン!!!
瓦礫の山から、ファイアーバードが出てきたんだよ。生きていたんだね。でも、何だか、怒っているみたいなんだよ。
ぴーーーー!!!
カチュアさん達に遅いかかってきたんだよ
「邪魔しないで~」「邪魔するな!!」
蒼い炎を纏ったカチュアさんと、炎は消えているんだけど、手には闘気を纏ったレオさんは、二人でファイアーバードの頭を挟むのように、殴り付けたんだよ。
ファイアーバードの頭がなくなっていたんだよ。
「ファイアーバードが気の毒だ」
まだ、カチュアさんとレオさんの戦いは終わってなく、二人は互いの方へ目掛けて、パンチをする体制で走り出したんだよ。
「やめないッスか!!!」
スイレンさんは、レオさんの頬を殴ぐったんだよ。
「ぐほ!!!」
レオさんが飛ばされたんだよ。
「何するんだ! このマジカルゴリラ!」
スイレンさんが、レオさんの胸ぐらを掴んで。
「誰が、ゴリラッスか!? ああ!?」
魔物よりも怖い顔をしたスイレンさんは怒鳴り散らしたんだよ。
「スイレンか。無事だったんだな」
「今殺されそうになったッスよ!」
「そんな奴がいるなんて! 誰だ!?」
「あんただよ! 危うく生き埋めになるところだったッスよ! てか、今まで、気づかずに戦っていたんッスか!」
スイレンさんが怖い顔でレオさんに説教をしたんだよ。
その途中、カチュアさんが、スイレンさんのところへ寄ってきて。
「あなたがスイレンちゃん?」
「あ! そうッス。えと~、シェリアじゃないっよね?」
「カチュアよ~。よろしくね」
「あ……よろしくッス」
二人は向かい合って、お辞儀をしたんだよ。
「人魚族って、かなりの武道派なんだね」
「いや、スイレンだけだから! それに、あれは、武道じゃなくって、暴力だから!」
レオさんは痛そうに頭を押さえているんだよ。
そう言えば、何か忘れているような……気のせいかな?




