表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
蒼炎のカチュア  作者: 黒桐 涼風
第七章 守るべきもの
97/348

7-9 エドナサイド

 スイレンさんの救出に成功したあたし達は、スイレンさんを連れて、出口を探したんだよ。カチュアさん達の合流はその後になったんだよ。


 だけど。やっぱり、迷ったんだよ。それで、取り敢えず、入った部屋には……。


「ここは……」

「危険種がいっぱいいるんだよ!」

「エドナさん。あれは恐らく魔物ですのよ。それに燃えている鳥がいますわ」


 あたし達は、その魔物を収容されている部屋に入り込んだみたいなんだよ。


「ファイアーバードか。それに飛竜もいる」


 飛竜と呼ばれた魔物は、大きなトカゲに翼を生やしている様な見た目なんだよ。


 ファイアーバードと呼ばれている鳥の魔物は、全身燃えているんだよ。自ら焼き鳥になるために、燃えているのかな? 変わった鳥なんだよ。


「エドナさん。何で、涎が出ているんですか?」


 あ! 涎が出ていたんだ。慌てて拭いたんだよ。


「全く! 何の騒ぎだ! ぼくちんの屋敷に、族でも侵入したのか?」


 あたし達の前には、少し髭を生やした……、おじさんと呼べる年齢よりも低そうな……、おじさんが姿があったんだよ。


「ん! 人魚族の娘が、何でここに!?」

「マイクラン! お前、何でこんなに魔物を収容しているんだ! 国からの、許可を得ていない、魔物の収容は禁じられているはずだ」

「ん! 誰だね! 皇女様に似ているが!」

「その皇女様だが」

「嘘をつくな! 皇女様が、そんな破廉恥な格好をする訳がない! 男のロマンであるが」

「ユミルさん。男のロマンって?」

「エドナさんは知らなくっていいのですのよ!」


 何故か、ユミルさんの顔を赤くなっているんだよ。


「まあ、よい。よく見たら別嬪、揃いだから、捉えるか。ぼくちんの偉大なる計画の邪魔をされたくないからな。捕まえたら。ぼくちんが……はあ、はあ、遊んでやろう」


 「はぁはぁ」と発しながら、息切れ? をしているんだよ。


「あの人、あまり動いてない、ようなんだけど、息が荒いのは何故?」

「少なくとも、捕まったら痛い目に遭うことだけ、頭に入れとけ!」


 痛いことと、あの人の息切れをしているのは関係あるのかな?


「よし、用心棒として雇った、お前の出番だ」


 誰が来たんだよ


「よ! よ! 俺の出番! やっときた! 俺の名はヴォルト! 暴れてやろう! それしかない! 戦場はパーティ! 楽しもうぜ! それしかない!」


 リズムカルに名乗り? を上げて現れたんだよ。


「歌うな! やる気がない歌を歌う猫娘といい! 何で、耳障りな歌を歌奴らが寄ってくるんだよ!」

「愉快な人が現れたんだよ!」

「あれでも、敵だよ。気を敷き締めなさい」


 ヴォルトと名乗っていた男の人が、あたし達に向けて、指を指して「チェケラ!」と叫んだんだよ。すると、指先から、「ビリビリ」と音を立てながら、電撃が放出されたんだよ。


「発動が早い! 勇能力の無詠唱魔法?」


 あたし達は慌て、避けるんだよ。だけど、次から次へと、電撃が襲う掛かるんだよ。


「ゲス兄より強いな!」


 電撃を放出しているヴォルトだったんだけど。


 ドーーーン。


 派手に転んだんだよ!


「今転んだ! あたしじゃ、ないんだよ!」

「あの~、何言っているッスか?」


 あっ! あたし、自分以外が転んだのところを滅多に見ないからつい。あたしは、一日十回以上は転ぶのに、カチュアさん達はまったく転ばないんだよ。何でだろう?


 それは置いといて。


 ヴォルトの足首には鎖が巻かれていたんだよ。その鎖は床から出てきたものだったんだよ。


 この鎖は、アイラさんの仕業かな?


 すると、そのアイラさんが、あたし達の手前に立つんだよ。


「下がっていて、奴は僕ではないと」


 アイラさんの右手には剣が。アイラさんの武器って、鎖じゃなかったけ?


「男と、男の勝負、負けられないぜ!」


 ヴォルトと名乗る人は背が高いをだよ。その身長を、超える長さの槍を構えて、突っ込んできたんだよ。


「ぐほほほ!!!」


 何故か、後方へ飛んでいったんだよ。


「僕は女なんですけど」


 アイラさんの剣が伸びたんだよ! アイラさんが剣を後ろへ引くと、あたしが知っている剣の形に戻ったんだよ。


「不思議の剣なんだよ!」

「あれは、蛇腹剣じゃばらけんですの?」

「そう、アイラのメイン武器だ」


 立ち上がったんだよ。刃部分が当たったところは傷がなかったんだよ。あれが、勇能力の障壁なのかな?


「なら」


 アイラさんを中心にして、走りながら周っているんだよ。


 そして、さらに、周りながら、槍による連続突きをかましてきたんだよ。


 それに対して、アイラさんは蛇腹剣を伸ばして、頭の上から腕を回して、アイラさんの身を囲み、槍による攻撃に対抗しているんだよ。


 しばらくすると、真上目掛けて、飛んでいったんだよ。見ると地面から出てきた鎖がお腹に命中したんだよ。


 アイラさんの足場には鎖が地面に刺さっていたんだよ。


「何をしている! とっとと捕まえろ!」


 マイクランが何が、両腕を上下に振っているんだよ。飛ぶのかな?


 バギ!!


「あ!」


 マイクランの腕がレバー見たいのに当たって、下へ下がったら、レバーが折れたんだよ。


 すると、魔物を閉じ込めた檻が、次々と開き始めたんだよ。


「のおおお!!! 魔物が!!!」


 魔物達は、次から次へと檻から出てきたんだよ。


「今回はあたしじゃないんだよ!」

「あの~、だから何を言っているッスか? いや、そんなこと言っている場合ッスか!?」


 逃げようとしても、魔物達があたし達の方を見つめているんだよ。完全にあたし達を標的にしているんだよ。


 一方、アイラさんは魔物達が脱走しているのも、関わらずに、襲ってくるヴォルトと、未だ交戦中なんだよ。


「おい! こんな状況なのに、僕と相手にしている場合か!?」

「こんな奴ら! 俺なら! 楽勝ー! よ!」

「だめだ! すまないが、この空気が読めない、勇能力使いは僕が、マリン達は魔物の相手を頼む!」

「わかったぜー」


 マリンさんは鎌、ユミルさんは刀、そしてあたしは弓と、それぞれ、武器を取り出し、戦闘の姿勢を取ったんだよ。


「私もサポートしますッス」


 スイレンさんは武器らしい物を取り出したんだよ。でも、見たことがないんだよ。ナイフケースかな? それよりも細いんだよ。


「助かるが、テメェーは何が、できるのか、聞いてもいいか? 歌は知っている」

「魔術は水と光。それと、これです。囚人から強奪したものを集められたところにありました」


 スイレンさんの持っていたナイフケース見たいな型をした武器? が形が変わったんだよ。ケースが扇型になったんだよ。


「扇か?」

「はい。正確には、鉄で、できている扇、鉄扇ッス。基本は盾代わりで扱いますが、魔術の付着で多様な技も可能ッス」

「そんな変わった武器があるんだね」

「来ましたッス」


スイレンさん中心に渦が発生したんだよ。マナーガルムの拳は渦ずの勢いが強く、弾いたんだよ。


 渦が消えるとスイレンさんの姿がなかった。


 スイレンさんはマナーガルムの真上から光り輝く拳で頭を殴りつけたんだよ。マナーガルムの頭がへっこんでいたんだよ。


 新たに、マナーガルムがスイレンさん目掛け殴りつけようとしたんだよ。だけど、スイレンさんは鉄扇を振ると、渦が現れたんだよ。マナーガルムの拳は、その渦を殴ったんだけど、渦は拳を弾いたんだよ。


「あれ? スイレンさんは?」


 スイレンさんは、いつの間にか、マナーガルムの真上にいて、縦回転しながら降下して、マナーガルムの頭の上に踵落としを決めたんだよ。


「スイレンさん、強いです」


 あれ? マリンさんの目が点になっているんだよ。どうしたんだろう?


「どうしたの? マリンさん」

「彼女、本当に人魚族か? 妾が知る人魚族ではない。身体能力高過ぎし、肉弾戦が主流な人魚族見たことないが」

「そうなんですか?」

「確か、人魚族って、不思議な歌で力を与える亜種と聞くぜ」


 歌? あれかな? 囚人部屋で聞いた綺麗な歌声はスイレンさんの歌声だったんだ。もしかして、敵が寝たのは歌のせい?


 そんなこと思っていたら。


 シューーーン。


「とーッス」

「わ!」


 ビックリして転けたんだよ。


 スイレンさんが、あたしの前に落ちてきたんだよ。あたしと違って着地が上手いんだよ。はうう、羨ましいんだよ。


「ところで、あれは掘って置いていいッスか?」


 あれ?


「いや! いや! 魔物! いやぁぁぁ!!!」


 久しぶりに見たんだよ。ユミルさんが目にも止まらない速さで刀を振っていたんだよ。魔物の原形がなくなっているんだよ。


「あれに近づくと妾達が危ないぜ」


 ふっと、上を見上げてると。


「何か、来るんだよ!」


 あたし達の前に大きな鳥の魔物が降りて来たんだよ。


「ファイアバード。上級魔物ッス。手強いッス」


 やっぱり、鳥が燃えているんだよ。


「あれは……」

「どうしたんだ、エドナ!」

「自分から焼き鳥になるための魔物かな?」

「エドナちゃん。涎が出ているッス。それに相手が魔物である限り、魔物の肉は毒があるッス」

「そうだったんだよ」


 はうう。忘れていたんだよ。魔物の肉は食べれないんだよ。


「おい、そんなこと言っている場合じゃないよ!」


 ファイアバードの嘴から火を吹いたんだよ。


「危ないんだよ!」


 慌て避けるんだよ。避ける時に足を躓いて、転がっちゃったんだよ。


「はうう、こうなったら」


 起き上がって、あしたは風の弓を作ろうとしたんだよ。


「エドナちゃんダメッス。それは、さっき放った風の矢ッスよね? 風力で逆に火が激しく前上がる可能性があるッス。そうなったら、この辺火の海になってしまうッス」

「そうなんですか?」


 あたしは風の矢を作るよをやめたんだよ。作りかけの矢は消えていったんだよ。


「また来るよ!」


 ファイアーバードは息を吸い込んでいる。火を吐き出すんだよ。


 どうしよう。あたしは風と治癒以外の属性は扱えないんだよ。そもそも、それに適した魔石を持っていないんだよ。


 ゴゴゴゴ!!!


 天井辺りから、大きな音が聞こえるんだよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ