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蒼炎のカチュア  作者: 黒桐 涼風
第六章 皇帝の血筋
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6-8 マリンサイド

 カチュアは、恐らく、リーダー格と思われる女と交戦中。


 一方、妾たちは……。


リーダー格の女暗殺者を除いた、暗殺集団を相手にすることに。狙いは妾のようだが、暗殺の邪魔をするなら、妾を守るエドナとユミルにも、殺しに掛かりにきやがるだろうな。


 幸い、二人は武器を所有している。妾は武器を持っていねぇ。あるのは、この左腕に嵌めてある、魔道具だけだ。


 妾も守られてばかりじゃなく、二人のサポートをしなければ。


寧ろ、妾が主力になると思うが。


「そこだ!」


 背後を捉えたか。だが。


「暗殺家業の者なら、事前と相手のことを調べとく、べきだったな」


 妾は右腕を上の方へ上げると、地面から黒い炎の様なものが出てきて、妾の背後を取った、暗殺者の一人を燃やす。


「ぐわわわわ!!! 苦しいい!! 息がああああ!!!」


黒い炎を纏った暗殺者は地面の上で転がりながら、手で首を押さえていた。


「妾の得意魔術は『闇』。それに、妾は努力も何もしない、勇能力を持つだけのゲス兄より強いつーの」


 暗殺者が纏っていた黒い炎は消えて、動かなくなった。気絶はしているが、別に殺してはいねぇ。でも、闇は基本は精神攻撃。蓄積していくと精神崩壊を起こして亡くなる恐れはありやがる。


「まだ来るか」


 休ませてはくれねぇか。背後から現れる。残り二秒。


 妾は振り向いた。妾は右手を握りしめて、そのうち、人差指と中指を立てる。


「バーン」


 その間から、闇の魔術の塊が出現し、暗殺者目掛けて放たれた。暗殺者は後方へ飛ばされていった。


「さて、お二人は……」


あ~、まずいことになりやがった。エドナの武器は弓。敵が囲むように、攻撃を仕掛けられたら、弓持ちには不利。


「ん~。このように囲まれた時に、村長さんから教わった直伝の護身術が使う時なんだよ」


 エドナの周りには風が出てきた。


「いくんだよ! 竜巻の壁」


 ビュシューーーン!!!


 それはまるで、エドナが台風の目となって、彼女の周りに竜巻が発生しやがった。


 竜巻は暗殺者を巻き込み、上空へと飛ばされて行った。


 凄い魔術。妾の魔術の腕よりかは、高いんじゃねぇか。


でも……。竜巻の勢いで、スカートが大きく捲れて、パンツが丸見えだ。オープン過ぎる。パンツの展示会でも開くのか? 本人、気づいていねぇし。


 ユミルの方は……何か、寒いな。


暗殺者の足元が凍りついていた。ユミルの仕業か。確か、ユミルは水系統の魔術の使い手だったか。


 ユミルは、暗殺者目掛けて、刀を振る。距離があるため、空振りだ。しかし、刀を振るうと同時に風が吹き出て、暗殺者の足元が凍った。あれは風というよりかは冷気か。


 暗殺者を戦闘不能にしていくが、まだ暗殺者の仲間が、次から次へと現れてくる。てか、あんたら、暗殺しに来たんだよな? そんな大勢来て、まるで暗殺組織というよりかは軍だよな。それ以前に誰もいないとはいえ、街中で戦闘しているし、もう、戦争でも仕掛けてきているじゃねぇか!


「ユミルさん! 援護します!」


 スカートがめくれて、パンツが丸見えのままでいるエドナがユミルと合流。


 エドナの右手に風が集まり、それが矢の形になった。風の魔術で構成した、矢か。これほどの技術の持つなんて。


 暗殺者はエドナが矢で射るのに気づいたのか、複数のナイフを妾とエドナ方へ投げつけてきた。


 エドナは弓を構えたまま、かわすが。妾は。


「危ねぇ、危ねぇ」


 投げつけたナイフを右手で掴んだ。そして、投げ返した。妾が投げ返したナイフはナイフを投げた暗殺者の左肩をかすった。相手は動揺したようだけど、その隙にユミルの魔術で足元が凍りつかせやがった。


「凄いです。ナイフを掴んじゃうなんて」

「感心していないで、まだ、残っているよ」

「そっか~。よーし」


 エドナは再び弓を構えて狙いを定める。しかし。


「いやーーー!!!」


 急に、エドナが騒ぎ出した。


 ツルーーーン。


「えっ!?」


 騒いだエドナが一本後ろへ下がると、氷の床に置いてしまう。ユミルが作った氷だ。敵の足元を凍らせる時に、地面まで凍らせてしまった。それを踏んだエドナは、足を滑べらせてしまった。まさか、味方が作った氷の床に滑ってしまい、いやがるなんて!


 滑ったエドナは、上空目掛けて矢を放ってしまった。さらに矢を放ったと同時に、エドナの方から突風が吹き出しやがった。


 この失態が吉なのか、凶なのかわたからないが、暗殺者たちは、その突風で怯んでいた。その隙にユミルが、暗殺者たちの足元を凍らせた。


「いかなり、騒いでどうしたんだ!?」

「傷!? 今治癒を欠けるんだよ」

「傷? ああ、これのことか?」

「ひひぃ!!」


 ユミルが驚いていた。


 まあ、驚くでだろう。妾の右手は血塗れだから。これは投げつけたナイフを掴んだ時だ。掴んだ場所はナイフの刃部分だ。だから、右手は血塗れだ。


 エドナは、それを見て声を上げたんだ。しかも、二次被害で、氷の床で滑ってしまい、いやがるなんて。


「とにかく、治癒術を掛けるんだよ!」


 エドナが治癒を掛けようとすると。


 ドーーーン!!!


 音がした方を見ると、カチュアと交戦中だった、リーダー格の女暗殺者だ。


 ぱっと見、空から落ちてきた様に見えたんだが。


 いや! それよりも、カチュアはどうしんだ!? よく見ると、黒いドーム状の物体が、まさか、カチュアはあの中に?


「くそーーー!! 上空へ飛んだら、矢が向かってくるなんて。当たりはしなかったが、矢が通ったところに突風が襲い掛かるなんて」


 ああ。話を要約すると、なんで、こいつが上空に居たかは知らないが、エドナが滑って転んだ時に、謝って放った矢の先には、この女がいたんだな。見た感じ、矢が当たった感じはしない。となると、あの矢は風の魔術で構成した矢。矢が通った周囲に突風が襲いかかった。その突風に飛ばされて、落っこちやがったのか。


「カチュアは、あのドームの中か?」

「ああ。時間が経てば、あの女は灰になる。あの女がいないなら・・・・・・」


 その途中。


 大きな剣がリーダー格の女の、目の前に落ちてきた。リーダー格の女は慌てて避けた。


 その大きな剣を抜く人の姿が。


「カチュアさん! 無事だっんですね」


 それはカチュアだった。しかし、その姿は全身、蒼い炎を纏っいやがった。あの、蒼炎伝説の由来になった、あの蒼い炎だ。


「どうやって! 脱出した?」

「それは、どーだっていいでしょ~?」


 カチュアが投げた大剣を抜くと、大剣にも蒼い炎が纏った。


「そうですか。……なら」


 リーダー格の女が、持っている短剣から黒いオーラが現れ、いやがった。オーラが刃の型になった。元の短剣の刃部分よりが長く鋭いものとなっていて、いやがった。


「これでどうですか。殺傷力の上げた刃だ」


 リーダー格の女は攻撃を仕掛ける。


 キーーーン!!!


「何? 刃が通らない」


 カチュアは蒼い炎を纏わせた大剣で、受け止める。


 しかし。



 カチュアが纏っていた、蒼い炎が突然消えてしまった。


 そして。


 バキーーーン!!!


「あらら~」


 大剣が真っ二つに切れてしまった。


「終わりだー!!」


 黒い刃がカチュアに襲いかかる。しかし。


 ガォーーーン!!!


 まるで、猛獣の咆哮が響き渡った。それはリーダー格の女の攻撃をギリギリだが、攻撃をかわした。そして、素早くリーダー格の女の腹元に殴り付けた。


 蒼い炎も、そうだが妾にとって、さらに信じられない光景を見てしまった。


 それはカチュアが攻撃した技だ。あれは、ただ殴りつけたわけではねぇ。どう説明していいか。拳から目に見えるエネルギーが集まる……闘気と言うらしい。そのエネルギーを集束しゅうそくした拳を、素早くリーダー格の女の腹元目掛けて、殴り付けたと言うわけだ。当てると、猛獣の咆哮が鳴り響いた。これは闘技といって、闘技と呼ばれる気合のエネルギーを繰り出す技。


 カチュアに殴られたリーダー格の女は、吹き飛ばされた。


「カチュアさん! あんなことが出来たんですね」

「何か~、いつの間にか、出来る様になったのよ~」


 いや、本来の取得者でも、鍛錬を重ねないと、できねぇよ!


リーダー格の女暗殺者は立ち上がった


「お前……何者だ? 蒼い炎もそうだが、あの技は闘技だろ? 何故、闘技を使える? お前は何者だ!?」



そう、妾にとって、信じられない光景とは。それはカチュアが使っていた、闘技だ。蒼い炎を使えることも驚いたが、あれは伝説の女将軍しか使った記憶がないため、詳細は不明だ。


 闘技に関しては詳細はわかる。少なくっても、カチュアが使うのはおかしい話。だって、あれは……。


「どう言うことだ? あれは闘技。獣人族直伝の技。獣人族の高い身体能力が、あってこその使える技だ。普通の人間が身体能力を上げる魔術を使っても使えない」

「そうなんですか?」


 エドナがカチュアに尋ねる。


「そーなの~?」


 使った本人は知らないのか。


「そう。その女はそれを使える。勇能力を持っているなら話が別。だが、無詠唱魔術が可能なのに、態々、闘技のような技は使わねぇ。体術にしろ、大半は魔術付着だ。だが、貴様は獣人族ではない。奴らの特徴である、獣の耳と尻尾がない」


 確かに、闘技を扱えるカチュアは人間ではねぇのは確か。しかし、闘技を得意とする獣人族と違い、耳と尻尾はねぇ。


 仮に牛の獣人族がいるとしても、カチュアは胸がデカいだけでは、牛の耳と尻尾がなければ牛の獣人族じゃねぇ。


「くっくく、そっか! そう言うことか。それなら、あの戦闘力も納得だ」


 笑い出しよ。この人。


「まさか、伝説の存在がここにいるなんて! 仮に獣人族以外で闘技が使える存在がいるなら、この世で一種しかいない。彼女たちの戦闘力の高さなら使えるかもしれない。いや、現実に使えているな。きゃはっはーーー!!!」


 この女、最初に会った時よりも、人格変わっていねぇか? 


 この奇声の出し方、恐怖しか感じられねぇ。……と思ったが、今ではそう感じられねぇ。


 何でだろう。こんなヤバい女を目の前にしているのに、カチュアはのほほーんとしている。


 エドナはエドナで、スカートの丈が上着のどっかに引っかかているのか、未だ、スカートが捲れてパンツが丸見えだ。てか、気づいていねぇのか?


 この二人がいると、何故か不安な心も落ち着いてくる。目の前に不気味な笑いをしている、女がいるにも、関わらず


「そうだよな!? なあ、ヴァルキュリア族さんよ!」


 

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