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蒼炎のカチュア  作者: 黒桐 涼風
第六章 皇帝の血筋
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6ー3 エドナサイド

 あたしたちは、式典が行われている、王宮前まで来ているんだよ。


 沢山の警護をしている兵士さんの奥には、あたしたちの服装と違った着飾りをした人が。


「あれが、皇帝だね~」

「そうよ。一応『様』を付けましょう。カチュアさん」


 あの人が皇帝さんなんだね。二十年前に悪帝を倒し、新たにコルネリア帝国を作り出した、八人の空の勇者の一人。


 そして、皇帝さんの手前には七人が並んでいる。その内一人はシグマさんが一番端っこにいたんだよ。


「あの、皇帝さんの手前にいるシグマさん含めた、七人って、もしかして」

「そう、あれが、帝国の盾となる八人の騎将、八騎将よ。七人しかいないけど」

「シグマ様の隣にいるあの筋肉だるまが、ガロンです」


 あたしの倍以上の大きさ何だよ。


「筋肉だるまって、仮にも将だよね。てか、さっきは、カチュアに『様』付けしようと言っていたくせに」


 カチュアさんの声だけど、カチュアさんの口調じゃないんだよ。これはナギさんが喋っているんだよ。


「ゲブンと並んで嫌われていますから」

「確かに、悪そうな気を感じるわ~」


 さっきまで、ナギさんが喋っていたのに、急にカチュアさんが喋ったんだよ。


「最近、カチュアさんとナギさんの切り替えが早くなっている様な」

「前よりかは会話に入りやすくはなったが。普段、空気だから」


 また、ナギさんになっているんだよ。それよりも。


「ナギちゃんの正体は空気だったの~?」

「空気だったんだね」

「ツッコまないよ」


 あれ? 何かおかしなこと言ったのかな? あたしたち。


「その隣が軍神と呼ばれているレティ殿です」

「見た感じ若いんだよ」

「最年少らしいですよ」


 あたしたちと年が近そうなんだよ。不機嫌そうな表情、ちょっと怖い気がするんだよ。


「お友達になりそうだわ~」

「話の中には、その様な要素が無かったような気がしますわ……」

「あの方は、ある戦いでは、軍を半数も失う戦いに参加して居たんだけど、彼女の振るう采配で自軍の犠牲を最小限に抑えたんですよ」

「そう考えると、部下の信頼は厚いじゃないのか?」


 また、ナギさんが出てきたんだよ


「そして、その隣にいるのが、二十年前の悪帝を倒した八人の空の勇者の一人ネール」


 あの人が英雄の一人……化粧が濃いうえ、何か、怖い! 本当に英雄なの? 何だが、獲物を捉えようとする危険種見たいな目をしているんだよ!


「女王様みたいな女性だな」


 ナギさんが表に出てきたんだよ


「お姫様なの~?」

「お姫様だったの?」


 あたしとカチュアが尋ねる。


「いや、そういう意味じゃなくって、女王様は性格がね」 

「ん?」


 あたしは元気な性格って、言われるんだけど、女王様と言う性格があるんだね。


 後、能天気ってよく言われるんだよ。あたし。


「あの人余り近寄りたくないわ~」

「兄様と比べ物にならないぐらいのサドと話です。クイーンオブサドと言われるぐらい」


 村長さんから聞いたことがあるんだよ。サドな人には気をつけなさいって。意味を教えてくれただけど、未だに意味が理解ができないんだよ。少なくっとも、虐めるのが好きな人でいいのかな?


「英雄と呼びたくない方ですね」


 あたし、虐めるのが好きな人は嫌いなんだよ。


「その隣も、八人の空の勇者の一人マティアス様」

「優しいそうな人ですね」

「でも、近づきたくはないわ~」

「カチュアどうしたんだ? 近寄りにくそうな人に友達になりそうとかいっていたのに」

「ん~。そんなにいい人には見えないわ~。それこそ、ガロ……なんとかと言う人とは比べ物にならないぐらい」

「カチュアさん。あと一文字頑張りましょう。それに覚えにくい名前ではありませんわ」

「その隣が……何で魔物が混ざっているのでしょうか?」


 本当なんだよ。でも、何処で見たことがあるんだよ。


「ゲブンだろ」


 そうだった。ゲブンに似た、オークという八騎将もいたんだよ。


「逆だから!」

「どうしたんですか?」

「やあ! 何でもない!」

「今この場にいる八騎将は全員かな。ここにはいませんが、インディットとい方がいます」


 インディットって、確か……。


「どういう人なの~?」


 あ! 思い出したんだよ!


「聞いたことがあるんだよ。確か、若くして帝国最強の武人と名が高いって、村長さんがいっていたんだよ」

「まあ、それ以外は詳細は謎です」


 ん~。見てみたい気がするんだけど、何か、シグマさんを除くと、八騎将の人達はもの凄く怖いんだよ。そのうえ、魔物も混ざっているんよ


 あれ? もう一人いるんだよ。


「あの……まだ、一人残っていますわ」

「ああ、ゲブンの隣にいる……居たんだ」

「酷いな」

「あの人、影薄いから」


 ん? 影の色は皆んな一緒なんだよ。


「将軍がそれでいいのか? まあ、結構、弱々しいわね。引き篭もりとかやっていそう」

「ひきこもり?」


 ナギさんから聞き慣れない言葉が出てきたんだよ。


「いや、何でもない」


 結局何だったんだろ?


「名前は……何だっけ? 確か、ラ……ラ……、とにかく、最初にラが付く人です」


 「ラ」が付く人ね。


「違いますよ。私は最初にルが付く覚えがあります」


 え? 「ル」が付く人なの?


「あの……多分、最初にゴが付いていたような気がしますのよ」


 あれ? 結局最初に付くのって、なんなのかな?


 最初に「ラ」か、「ル」か、「ゴ」……、この三つを同時に言わないいといけない名前なのかな? 珍しい名前もあるんだね。


 以前、村長さんから八騎将のことを聞いたことがあるんだよ。


「村長さんから、もう一人の名前は聞いた事ないんだよ」


 村長さんを含め、村の皆んなか、八騎将の話は一通りしてくれていたんだよ。だけど、ルナちゃんも言っていた七人の名前しか、聞けなかったんだよ。


「ラルゴじゃない?」


 ナギさんからぼそっとだけど、聞こえたんだよ。


「確か、そんなでしたわ」

「何で、ナギさん知っているんですか?」

「いや、皆んなが挙げた文字を繋げたら……」


 あ……! 本当なんだよ! 


「八騎将って、八人の空の勇者の殆どは就いているかと思ったが」

「その一人が現代皇帝アスラ様です。現在、八騎将の椅子に座っている八人の空の勇者はシグマ様、マティアス様、ネール様しかいません」

「残りの八騎将は確か、ユンヌ、ヴァルハルト、アイラ、ツルギなんだよ?」

「ユンヌ様はロゼッタの母で、もう亡くなられています。残りの三人は消息が不明です」

「アイラって、人は当時、八歳なんだっけ?」

「そう、ユンヌ様の従姉妹でもあるのよ」

「ちょっと、待って! 八歳が戦争に参加していたの?」

「シグマ様の話では、主に民主の避難誘導で、襲いかかってきた敵軍を返り討ちにしたそうですよ」

「恐ろしい子だな」

「アイラ様は戦争が終わった後は新しくできたばかりのコルネリア帝国の貴族に養子として迎えて貰ったらしいですが、その後は現在行方を眩ませているらしいです。ヴァルハルト様とツルギ様はシグマ様に聞いたんですが、二人共政治とか興味が無いらしいから、ヴァルハルト様は隠居生活でツルギ様は更なる強さを求めて旅立ったそうです」


 うーん。色んな事情があるんだね。他の空の勇者もあって見たかったんだよ。




 あたしたちは、帝国の宿屋に入る。


「いらっしゃい」


 宿屋の従業人の人だけど。


「あれ? モニカさん? どうしてここに?」


 その従業人は、アヴァルの街にある、宿屋を経営しているモニカさんだったんだよ。でも、何でここに?


「モニカを知っているの?」


 するとルナちゃんが。


「この人はモニカさんの双子のお姉さんです」

「ニニカよ。よろしくね」


 モニカさん。双子だったんだ! よく見るとモニカの瞳の色が違うんだよ。モニカさんは赤色に対して、モニカさんの双子の姉妹であるニニカさんだっけ? 瞳の色が緑なんだよ。


「妹から聞いているわ。ミニマム少女とシークレット美女がよく妹の宿を利用してくれるって」

「ミニマムって、小さいことだよね? 誰のこと?」

「少なくともルナじゃないですよ」

「じゃあ……シークレットって、誰のこと?」

「そこに姿を晒せば、注目の的になる、カチュアさんのことよ。モニカさんはカチュアさんの容姿をしっているし」

「わたしは、そんなに目立つのかな~」

「多分、現皇帝よりかは目立ちますよ」

「ええ、わたくしも皇帝様の顔なんて覚えていませんし」

「ユミルさんは覚えておかないとダメでしょ。外交関係もありますので、お姫様は覚えて置かないと」

「モニカの言った通り、面白い方々ね」

「すいません。破壊神を泊めさせることになりますが」


 破壊神? 神様が泊まりにくるのかな?


「それは聞いているわ。気にしないで、この辺、しょっ中、小競り合いが起きて、宿内も結構壊されているのよ。その人たちにはきっちり請求させてもらっています」

「破壊神って、誰のことかな?」


 ソフィアさんがルナちゃんに尋ねると。


「あー、誰のことでしょー」


 ルナちゃんが目線を逸らすんだよ。本当に誰のことかな?


「ん?」

「どうしたんですか? カチュアさん」

「なんか……視線が……気のせいかな~?」

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