1-4 エドナサイド (場面変更)
バキーーーン!!!
突然、金属類同士が、ぶつかったような、音が聞こえたんだよ。その音を聴いて、目を開けて見ると、目の前には血飛沫が飛んでいたんだよ。その先には、女の人が、剣を背中の鞘に納めた姿が見えたんだよ。
「すごい! すごいんだよ!!」
何が起きたか、わからなかったんだけど、倒れていた女の人が、あたし達を襲ってきたデブボアを斬りつけた、みたいなんだよ。
一瞬だけど、女の人の瞳が見えたんだよ。綺麗な蒼色の瞳をしていたんだよ。
その女性の蒼い髪と蒼い瞳を、同時に見ると。まるで、あたしが小さい頃から愛読している、蒼炎伝説という、英雄譚に出てくる、伝説の女将軍シェリアみたいなんだよ。だけど、その容姿は、英雄譚の挿絵に載っているだけなんだよ。でも、実際のシェリアは、蒼い髪と瞳をしていたのは、確かみたいな、話なんだって。
「あ! ありが……」
お礼を言おうとしたら。
女の人が、ふらふらと、体がふらつき始めたんだよ。なんだか、今にでも、倒れそうな、感じだから、急いで女の人の元へ向かったところで、女の人は、あたしに目掛けて、倒れたんだよ。
ドーーーーーン!!!
そして、あたしも、つられて、倒れていって、女の人の下敷きになってしまったんだよ。
「大丈夫ですか?」
あたしは、心配して、体がふらついている女の人に声を掛けたんだよ。
「お……お……」
「お?」
「お腹がすいたわ~」
「え?」
腹の虫というのかな? 『きゅ〜』と音がなったんだよ。
大変なんだよ! すぐにご飯の準備を、その前に……。女の人の服が、ずぶ濡れだよ。火を起こさないと。この時期の川は、まだ冷たいはず。体を温めないとだよ!
あたしは、すぐに、焚き火を作る、準備を行ったんだよ。
火を付けるのに、数分は掛かったけど、なんとか、火も順調に燃えているんだよ。この火で女の人の濡れた服を乾かすんだよ。……でも、女の人の濡れた服を乾かさないとなんだけど、女の人の着ている服を脱がすも、替えの服がないんだよ。どうしよう……。
「そうだ!」
あたしは、女性の濡れた服を脱がしたんだよ。
うーーん。結構、服を脱がせるのって、難しいだよ。それに……。
「おも! ……あっ!」
女性には、その「重い」って、言葉は禁句だって、村長さんがいっていた気がしたんだよ。気を付けよう。
あれ? この人も、胸の周りにサラシを巻いているんだよ。実は、あたしも、胸周りには、サラシを巻いているだよ。以前は下着をちゃんと、付けていたけど、最近、胸の成長が、追いつけなくって、新しい下着へ、変えるのが、間に合わないんだよ。だから、今はサラシを巻いて置いているんだよ。
サラシも濡れている、どうしよう。あ! そういえば、あたし、予備を持っていたんだ。全身まっ裸にして、あたしは上着を脱いで、それをタオルの代わりにして、女性の上にかけたんだよ。
取り敢えず、女の人の寒さは防げたんだよ。今のあたしは、胸元にサラシを巻いただけの上半身裸の状態だよ。
せっかく、狩ったデブボアを使って、調理しよう。実際、狩ったのは、この女の人、なんだよ。
そうだ! 忘れていた。あたしは、バックの中に入ってあった、ドアさんから、貰ったサンドイッチを出したんだよ。
「もし、よかったら、どうぞう」
サンドイッチを女性の目の前に置いた。バックの中には小鍋が入っていた。
できれば暖かい物を食べさせたいんだよ。スープでも作ろうかな。
あたしは、川に向かったんだよ。そして、水を汲もうとしたら。
ツルーーーン!
「あれ!?」
足を滑らせちゃったんだよ。
「はわわわわ!!!」
このままじゃ、川に落ちちゃうんだよ!
落ちそうと思ったんだけど、なぜか止まったんだよ。そして、なぜだか、わからないけど、あたしは空を飛んでいたんだよ。
「あれれれれ!?」
シューーーーー!!!
落ちていくんだよ! そう思っていたんだよ。
あれ? 痛くないんだよ。このまま、落ちていれば、地面に直撃なのに、どうして? それに……背中には柔らかな感触があるんだよ。枕か、何かに落ちたのかな?
「だいじょぶ〜」
なんだか、のんびりとした、女性の声、が聞こえたんだよ。上の方を見上げる、あの女の人、だったんだよ。
辺りを見渡すと、女の人があたしを受け止めてくれていたみたい。この体制って、まるでお姫様だっこ? だけど、抱っこしているのは、女の人なんだよ。
「それと」
「ん?」
「わたしも一応は乙女だよ~。乙女に、重いって、いうのは禁句だよ~」
あ! もしかして……、「重い」って、聞こえていたのかな?
ぐ〜〜〜!
これって、お腹の虫かな?
「あらあら〜? さっき、食べたのに、まだお腹が空くわ〜」
あっ! サンドイッチは食べたんだね。
「二つじゃ、足りませんですよね。待っていてください。今、作りますから」
「ところで〜」
「どうしたんですか?」
「あなたは、そんな格好で寒くないの〜?」
あ! あたしの格好のことね。上は胸元にサラシを巻いているだけだったんだよ。
「大丈夫です。寒さには強いから」
あたしは、女の人の腕から、降りたんだよ。そして、すぐに食事の準備を再開させたんだよ。
これがあたしと、蒼い長髪をした女性、カチュアさんとの出会いなんだよ。
「クシューン!」
「あらあら〜。やっぱり〜、寒いでしょ〜。クシューン!」
この後、ちゃんと服は着たんだよ。