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蒼炎のカチュア  作者: 黒桐 涼風
第七章 守るべきもの
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7-12 レオサイド

「ご協力感謝します」


 ここの領主のジョルジュの配下の兵が、マイクランらを拘束。


「それにしても、蜂の危険種でもやられたのか? この腫れよう」


 拘束された人の中には、目や鼻など顔の部分が見えない程、大きく腫れ上がっていた。


「そうなんですよ」

「呼吸をするかのように嘘付いたよ、この人!」


 アイラと名乗る女性が呆れ顔をして、あたしの方を見ていた。


「では、失礼します」


 そのまま、連行していった。その後のことは、マリンの連絡で、シグマの部下が引き取る手発になった。


 シグマは何故、皇女であるマリンがここにいるか、当たり前だが、疑問に思っていたらしい。その件は、マリンが、ほぼ脅しレベルの口封じで、不問になったらしい。


 てか、こいつ、本当に皇女様か? 蛮族の間違えだろ。


 まあ、その件は、気にしないでおこう。……それよりも。


「ところで、この二人何やっているんだ?」


 二人というのは、カチュアとエドナのことだ。


「はうう。また、転んで、カチュアさんにぶつかったんだよ」


 改めて見ると、これは信じられない光景だ。何故か倒れていた、エドナの下にいたのは、仰向けで倒れていたカチュアだった。


「あんた! エドナといったな?」

「はい。エドナなんだよ!」

「あんたは何者だ!」

「どうしたんですか?」

「あたしが幾ら、攻撃をしても、カチュアに触れることは、できなかった」

「うん。触れたら、触れたで問題ですわよ」

「それなのに、何でカチュアの背後を取れたんだ? あたしですら、無理だったのに?」

「そこですか」


 そうだ。あたしがカチュアに攻撃を当てることはできなかった。まあ、当たれば、傷物になってしまう。


 だけど、カチュアは未来予知が出来るでは、ないかと思うほど、あたしの行動を見切られてしまう。それはあたしがカチュアの背後を取ったとしてもだ。


 それなのに、このエドナはカチュア目掛けてぶつかって、体を倒してしまった。しかも、真正面で。


「ああ、何で、あたしの攻撃を躱わすのに、エドナは躱わせないのか。やはり、スイレン並みの胸か! 胸なのか!」

「どうして、そうなったッスか?」

「言ってみたかっただけだ」


 少し羨ましいとは思ったが。


「まったく! ところで、あなた達は一体……」

「そうだったな。妾達は……」




あたしとスイレンはカチュア達がここまで来た経緯の話を聞いた。


「成程」

「セシルの姫様と皇女がいるだけでも、驚きッス。それに二十年前の英雄に伝説の女将軍のような見た目をした女性も。しかも、カチュアの中には別の精神が宿している。通りで一人でべらべら喋っていたな~、と思ったよ」


 正直、それ以外にも、情報量半端ないな。あたしが驚くのはこのカチュアとエドナだ。殆ど、修羅場に遭遇しないのに、何事もなかったかのように、明るいオーラを放っている。そのメンタルの高さに驚いてしまう。


 それに話には小人族を探す旅に出ているようだ。たぶん、これに食いつくだろうな。


「面白そうッス! 私もあなた達と同行するッス」


 あ~。カチュアと、その精神体のナ……ナッさん? と体を引き剥がすのと、器を作るために小人族を探す旅に引かれたな。スイレンはいつもこうだ。


「すいませんね。この子、見た目に反して、本来は後先考えない、アクティブな性格なんだ。いつも、あたしは振り回されているんだよ」

「あ~、そうなんだ?」


 マリンとアイラはそんな興味津々なスイレンに弾き気味。


「ああ。一件、清楚ある可憐なお嬢様だが、怒らせると、ゴリラ化を……」


 言い掛けたところで、胸ぐらを掴まれて。


「誰が、ゴリラッスか!? ああ!?」


 鬼も、逃げ出してしまう程の怒った顔で、怒鳴り散らす。


 マリンといい、ユミルといい、お姫様は皆、蛮族並みの凶悪な持ち主なのか? あっ、あたしも一応、姫なんだ。


「いや、何でも」


 実際、歌で支援する人魚族。魔術の腕も優れている。だが、スイレンはゴリ押しの戦い方が多い。獅子の獣人族のあたしよりも。通常、マジカルゴリラ。


「レオはどうするッスか?」

「同行には賛成。この二人のことは興味が湧いてきた」


 この二人とはカチュアとエドナだ。カチュアとの拳の交わりは楽しい。


 それにエドナ。彼女は転んだとはいえ、カチュアに一本も入れられなかったのに、カチュアは避けられず、もろ、ぶつかっていた。興味深い。


 まあ、エドナに関しては、それだけではない。


「何か、怖いけど、よろしくなんだよ」


 エドナが手を差し出した。握手でいいんだな? あたしはその手を握った。


「ところで、何で獅子王の娘とロランス聖王国のお姫様がここにいるんだ?」


 皇女様は気づいたようだ。


「お姫様って、誰が?」

「目の前にいるだろ」


 そう、そのお姫様はスイレンのことだ。


「え!? スイレンさん、お姫様だったの!? しかも、あたし達がこれから向かう、ロランス聖王国の!」

「意外だろ。このゴリラ並みの、脳き……」


 言い掛けたところで、また、胸ぐらを掴まれて。


「誰が! ゴリラだ!? 誰が! 脳筋娘ッスか!? ああ!?」

「まだ、脳筋と、までは言っていないが……」


 言おうとはしていたが。


「そのお姫様達は何で、こんなところに?」

「元々、私達は旅をしていたッス」


 あっ、切り替え早え~。もう、ゴリラ化が解除されているよ。


「最近、魔物の大量発生があって、その原因を探りために、二人きりで国を出たんだ。その途中で、スイレンがあっさり、名前なんていったか忘れたが、捕まったんだ。しかも、搬送用の檻に」


 スイレンを捉えるのに使った、檻は対魔物用の檻で簡単に打ち破ることはできない。いや、普通の檻だったら、スイレンのゴリラパワーなら壊せていたはず。まあ、カチュアなら、対魔物用の檻でも壊せるかもしれない。あたしは力不足で、あの檻を壊すことは出来なかった。

 

 しかし、鍵穴は脆かったみたい。アイラ曰く、対魔物用に使われた柵は、高度な金属が使われるが、加工は難しく、鍵穴を作るのは難しいらしいから、そこだけは作りは簡単らしい。


 現に、エドナの風の弓で壊したらしい。


 てか、それ知っていたら、スイレンを助け出して、マイクランに従う必要なかったじゃん! あたしの苦労は?


「その魔物の大量発生って?」

「セシル王国で起きた魔物騒動の話を聞くと、人為的に行なっている可能性がある。それにマイクランの屋敷に魔物がいた。どうも、買い付けたらしいんだ」

「そんなの誰から?」

「それは分からなかった。だけど、魔物を売りつけている輩がいるのは確かだ」

「それを買い取った魔物を使っての襲撃。基、マイクランのように魔物を使っての反乱か。思っていた以上に大変なことになったな」

「その話は次の機会で。今日のところはこの村で休もう。僕達の寝所を用意してくれたそうだ」


 あたし達は、その根所へ向かって行った。


「そう言えば、ナギさんは今回はあまり、出てきていないんだね」

「不信がられないよ注意していたから。とは言っても、カチュアが戦っている際、何故かあまり表には出られないようだ。その方が助かるが」

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