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Day7
はじめてつかうはずなのに、ペンが不思議なほどに手になじむ。
なぜか、カギ付きノートなのにカギが開いている。
しかも、前のページに文字がたくさんかかれている。
はじめてつかうはずなのに、なぜだろう。
まあいいか。とりあえず同じように、今日見たものをかいてみよう。
だれに見せるでもないけれど、何となく、何かしら書いておくべきだろう。
まどの外、図書館の庭の小さな木に咲く、名前の知らない白い花。
だれかとあの綺麗さを分かちあえたら、どれほど幸せだろう。
つづきが読みたくなって借りた、知らない人が書いた詩集。
きょうは時間が遅いから、明日からのお楽しみ。
まっすぐ森の散歩道、どっしりとした大きな切り株。
すわり心地も最高で、木もれ日を浴びてずっとそこに居たかった。
よるが来るまえに同じ道を引き返し、しぶしぶここに帰ってきた。
どれもはじめて見たはずなのに、かすかに感じた懐かしい匂い。
多分、きっと、本当はどれも知っているのかもしれない。
いつか私は、本当の私を思い出すのだろうか。