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The Diary  作者: 石榴矢昏
5/7

Day5

 

 〇月XX日


 あれはきっと、現実世界での出来事だ。信じがたいが、現実だ。

 今朝、洗面所で顔を洗い、顔をあげると、鏡の中から昨日の少女がこちらを向いていた。


 憂いを帯び、まるで無言で何かを訴えているような顔つきだった。

 軽く目をこすってもう一度見ても、やはり、彼女はそこにいた。

 わずかの間、それを僕自身の姿だと錯覚した。彼女はどこか、僕と顔が似ているような気がしたが、それも気のせいなのだろうか。


 しばらく見ているうちに、彼女は腕を軽くあげ、こちらに向けて手を伸ばしてきた。

 指先が触れた途端、鏡面は波紋のようにぐにゃりと揺らぎ、そこから白く細い指が現れたものだから、僕は声を上げずにはいられなかった。


 それは間違いなく、鏡の中の少女のものだった。次第に手の甲、腕へと徐々に彼女の姿が具現化していくのが見え、僕は何かを叫んでいた。

 何を言ったかまでは覚えていないが、恐らく、来るな、だとか戻れ、だとかそういった言葉を放ったのだろう。


 彼女の動きがぴたりと止まり、ふと我に返ったような、安心しきったような顔になり、腕をするりと引っ込めた。


 少女が完全に引っ込み、波紋が収まると、鏡は元に戻り、再び本来の虚像を映すようになった。

 昨日に続き、あの少女は僕に何の意味をもたらそうとしているのだろう?


 幻覚:有り 夢;無し



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