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Day2
〇月X日
今日は図書館で、一冊の詩集を借りてきた。
名前も顔も知らない作家だったが、最初の数ページを読んで、どこか惹かれるものを感じて借りてきたものだ。
どれもいい言葉選び、いいリズム感でわずか数時間のうちに読み終えてしまったが、あの詩はここにも載っていなかった。
僕の中に刻まれたあの詩は、いつ、誰が綴ったものなのだろう。
これまでに何人かの人たちに訊いてみたが、誰も彼も、首を横に振るばかりだった。
誰かに教わった記憶も無ければ、本で見た記憶も一切無い。文字通り、まさに生まれた時から僕の遺伝子に刻まれたような、そんな感覚だ。
わかることといえば、その文面からして、それが一種の物語のようなものだということくらいだ。
太古の日々より在りし光 全てを叶える至高の叡智
石の棺に眠り続け 解放の時を待ちわびた
無数の冷たき大粒の雨 嵐の如く吹きすさぶ風
打てども打てども光は動じず その日を頑なに待ち続けた
キリがないので、これくらいにしておこう。
幻覚:無し 夢:無し