表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

[超短編] 5分でキュン♪

ポーカーフェイス の 憂鬱

作者: まえのそら


「佐倉君って、クールでカッコイイよね ♪ 」

「そうそう、ミステリアスな感じが素敵〜 」


そう俺は、物心ついた頃からポーカーフェイスを決め込んでいる。



思い返せば、そうだ。小学4年の新学期、幼馴染の夏希が俺に向かって言ったんだ。


「なんか、静かにしてる隼人って、大人ぽくてカッコイイね」


って。


小学生なんて単純な生き物だ。好きな子に言われたらそれが世界の全てで、当時の俺は、ポーカーフェイスを決め込む事に、全力を注いでいた。


あれから5年間、恥ずかしながら状況は変わっていない。小学生の俺も、中学生の俺も、中身はただのクソガキなんだ。


「 ドン!! 」


後ろの席で、誰かが椅子を倒したらしい。


俺は、ビクッとしそうになる体を必死で止める。動揺を悟られまいと、無表情を貫くが、心臓バクバクで今にも叫び出してしまいそうだった。


こんな風に、俺を罠にかけようとするのは本当にやめてほしい。

こっちは、毎日が

 「 自らの表情筋との戦い 」 なんだから。



「 隼人、私の彼氏になってくれない? 」


その日の帰り道、夏希が突然言った。


「え…、あ…、え?? 」


動揺しまくりで、上手く言葉が返せない。

全身の血液が、急に早く巡り始めた。

きっと、顔だけじゃなく耳まで赤くなってるに違いない。


「とにかく、落ち着いて、クールに……」


俺は、念じるように1度目をギュッとつぶってからゆっくり開けた。


「 隼人 ? 」


夏希の顔も、耳まで真っ赤だった。


「 夏希、お前耳まで真っ赤! 」


俺は、夏希に言った。


「 隼人だって、真っ赤だよ 」


僕達は、思わず2人で笑った。 

あれだけポーカーフェイスを決め込んでいた俺の表情筋は、夏希のクシャクシャに笑う笑顔に引っ張られ、崩壊していく。



「 隼人って、笑うと凄く可愛いね ♪ 」



今日からまた、新しい俺の憂鬱が始まる

そんな予感がする。



少しでもお楽しみいただけましたでしょうか?

よろしければ、ページ下★★★★★

クリック評価、ブックマーク追加で応援頂ければ、大変励みになります!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 初々しい二人のやり取りにこっちが照れてしまいました! 青春ですねぇ〜(^^) 素敵な作品を読ませていただきありがとうございました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ