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エターナルサプライ  作者: 潜水艦7号
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水力発電所-1

 《ビー!ビー!ビー!ビー!》


 次の日の昼過ぎ、デンジ達は鳴り響く警報音で強制的に眼を覚まさせられた。


「ど……どうしたのよぉ!」

 無理やり起こされて、ミズキも機嫌が悪い。


「え、ええ! それが……」

 いち早く気づいたオレンが、異常を知らせるセンサーをチェックしている。


「どうも、この谷の下を大型のドローンかヘリが通過したようです。赤外線センサーに反応が出ています」


「何……? まさか、ここが見つかったのか? エターナル社に」

 額に皺を寄せて、デンジがモニターを覗き込む。


「いえ……そうではないようです。確かにエターナル社の反応ですが、監視カメラの映像を見る限り、谷を抜けて更に奥地へ向かったようですね。多分、見つからないように低空飛行をしていたのでは?」


 監視カメラの映像をスイッチングしながら、フォレスターが飛び去っていくヘリの姿を確認していた。


「……奥地だと? こんな山奥に何かあったか?」

 デンジが眉をひそめると。


「……水力発電所がある。もう、50年以上も前に閉鎖された『遺物』じゃがの」

 答えたのは、ドクター・フグアイだ。


「水力発電所? 何それ?」

 ミズキが不思議そうに聞き返す。


「電井は冷媒で汲み上げた地熱の蒸気圧でタービンを回して発電するが……水力発電は水の位置エネルギー、すなわち『落水の力』でタービンを回して発電する昔の発電方式でな。もう今は時代遅れで使われてはおらんから、知らんでも不思議はないのぉ」


 フグアイもモニターの覗き込み、遠ざかるヘリの後ろを見つめている。


「エターナル社のヘリは、そこに向かっているんでしょうか? いったい何のために……」

 オレンが不安そうにデンジの顔を見上げる。


「……知っておきたいな、その目的。何かヤな予感がする。ドクター、そこまではクルマで行けるのか? ウチの4WDで走れそうな道はあるのか? ヘリは目立つから、出来れば陸路で行きたいが」

 デンジがフグアイの顔を覗き込む。


「むぅ……一応、近くまでは昔の道路があるはずじゃ。ただ、使われなくなってかなりだから、風倒木とかで封鎖されている可能性はあるでの。絶対とは言えんが」


「よし……」

 意を決したように、ポンとデンジが手を叩く。


「とりあえず、偵察がしたいからな。フォレスター、着いて来てくれ。倒木処理となると、電動チェーンソーを使っても力仕事になるからな」


「承知しました。では、装備を準備します」

 フォレスターがクルマへと向かう。


「ちょっ……ちょい待ち! アタシも行くから!」

 慌ててミズキが名乗りを上げる。


「……何しに行くんだよ? ヘンに人数を増やすと見つかりやすくなるたろうが!」

 デンジは露骨にイヤそうな顔をするが。


「いーじゃんか! 着いて行っても! アタシも興味あるんだから! それに接近戦担当の二人だけじゃぁ心配でしょ? ロングキル担当のアタシがいないと!」


「……勝手にしろ」

 ミズキが『言い出したら聞かない』性格なのはデンジもよく知っている事だ。諦め顔で、クルマの方へと踵を返す。


「おい、ベル! クルマに3人分の食料を詰め込んでくれ。ドクター、片道どくらい掛かる?3時間ほど? ……じゃぁ、とりあえず9食分ほどあれば間違いない。それと、オレン。クルマはフル充電か? じゃあいい。念のために予備バッテリーも頼む。どうせチェーンソーに使うし……それと……」


 テキパキと指示し、腕時計で時間を確認する。


「よし、2時間後に出る。丁度、水力発電所とやらに近づいた頃合いに日暮れになるからな」

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