超破壊兵器-2
「『誰が知っているのかは分かっている』。それについては私も完全に同意ですが……だからこそ尚の事厄介でもありますよね」
フォレスターはデンジの言いたい事が理解出来ているようだ。
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ! 何よ、二人して『エア会話』するのヤメてくれる? アタシにも分かるようにチャンと言葉にしてくんない?」
ミズキがむくれて顔をしかめると。
「いや……今のは別にそう難しい話では無かったと思いますが……僕でも分かりましたし」
おずおずとオレンが口を挟んできた。
「つまりアレですよね? 『彼女』が『国家機密だから喋れない』と言ったということは、逆に言うと政府は『知っている』って話ですよね? あの場所で昔『何があったのか』を……」
「そう見てエエじゃろうな。しかし、何らかの事情があって『それ以上話が出来ん』のじゃろうて。という事は、その当時に活躍しておった『超破壊兵器』の存在も、政府がその行方を知っておると見てよかろう」
フグアイはタブレットから眼を放していない。
「……エターナル社の野郎が電井の『独り占め』を世界中で始めたのが、今から約100年ほど前だ。ところが、どういう訳か『この国』でそれが本格化したのは今からたった『15年ほど前』に過ぎん。随分と『時間差』がある……」
デンジは服のポケットにあるタバコを無意識に取り出そうとして、慌てて手を止めた。
「しかしその理由も、あの破壊された『ウロボロスもどき』で辻褄を合わせる事が出来ますね。……つまり100年前、実は我が国も同様に『攻撃を受けていた』と」
「し、しかし、その『超破壊兵器』で我が国は『それ』の迎撃に成功していた……って事ですよね?」
フォレスターの後からオレンが続く。
「うむ……じゃから、エターナル社は『暫く手を引いていた』のじゃろう。そして、今頃になって『様子を見つつ、侵攻を再開した』と……」
近くのテーブルに、フグアイがタブレットをコトン……と置いた。
「ど……どうすんのよ、この先……」
ミズキが不安げに皆んなの顔を見比べている。
「そ、その『超破壊兵器』とやらがあればエターナル社のヤツらと渡り合えるかもだけど、何故か政府はその話を『NG』として秘匿してるのよね? だったら……」
言いかけて飲み込んだ言葉を、フォレスターが続ける。
「そうですね。それでも我々が『その可能性に賭けてみたい』のなら、我々は『今以上に』政府と対立する必要があります。もう、これ以上の支援は望むべくもありません。武器も、設備や資材も、或いは人的支援も、全てを放棄しなくてはなりません……。そうですね、デンジさん?」
「……。」
デンジはゆっくりとソファーから立上り、『she』と書かれた無言のスピーカーの前に立つ。
「……オレの進む道は決まってる。元より、オレ達は『レジスタンス』。ヤンチャ坊主の集団よ。政府の庇護なんざ、ハナから期待しちゃいねぇんだ」
そして、片足立ちの姿勢で右足をゆっくりと後ろに引いた。
「探すぜ。その『超破壊兵器』とやらを……。政府の立場がどうあれ、オレの目的は『奪われたものを取り戻す』事だからよ!」
ドガン……!
短い音を残し、デンジがスピーカーを蹴り飛ばす。
中のコーン紙が裂け、砕け散ったスピーカーの筐体が床に転がる。
「あぁぁ! もう! やっぱり『そういうノリ』になるワケぇ! 単独戦闘なのぉ?」
ミズキが髪を掻き毟る。
「いいわよ! 着いて行けばいいんでしょ? リーダー様のご決定なんでしょ? ああもう、サイアク! 熱が出てるのを忘れてたわ! アタシはベッドに戻るから、後は勝手に進めといて!」
そう吐き捨てて、ミズキがヨロヨロと戻っていく。どうやら自分が病人である事を思い出したようだ。
「あ、あの! 僕もデンジさんに着いて行きます!」
顔を紅潮させながら、オレンが手を挙げる。
「ほほほ……ワシはどの道、老先短いんじゃ。今更保身に走る気はないぞな」
ドクターがニッコリと笑う。
「やれやれ、皆さん仕方ありませんね。及ばずながら、私もお供しますよ」
ベルが溜息をついた。
「だ……そうですよ、デンジさん。私も含め『離脱者』はいないようです」
最後に、フォレスターが大きく頷いた。




