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エターナルサプライ  作者: 潜水艦7号
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訪問者-2

「久しぶりね、ドクター・フグアイ。少し見て欲しい画像があるの。一応、動画も撮って来たんだけれど、私達では何が何だかサッパリ分からなくて」

 アッキーが持ってきたタブレットを「これなんだけど」フグアイに渡した。


「ほぅ……どれどれ。随分と大きな施設じゃな……」

 興味深げにフグアイが画面を覗き込む。


「……夜間撮影の割によく撮れてますね」

 フォレスターが感心しながら画像を見ている。

「エレクトロイドに見つかりはしなかったんですか?」


「は! 馬鹿を言ってんじゃないわよ。私ら偵察は専門職よ? そんなヘマはしないわ」

 ふん!とアッキーが鼻で嘲笑う。


「これは……」

 フグアイが、何かに眼を止めた時だった。


「あーっ! アッキーさんじゃないですか!」

 真剣にタブレットを見入るデンジ達の背後から、素っ頓狂な声がする。


「誰……? って、ミズキちゃんじゃない!」

 真剣な表情で画面を送っていくフグアイ達を置いて、アッキーがバスタオルで髪を拭きながら出てきたミズキの元へと歩み寄る。


「ご無沙汰してます!」

 ミズキが深く頭を下げる。


「え……。ミズキさんって、アッキーさんと知り合いなんですか?」

 オレンが二人を見比べる。


「ええそうよ! 私は最初、アッキーさんのチームに居たの。で、それからこっちのチーム・デンジに移籍したの」

 嬉しそうに、ミズキがアッキーの手を取った。


「ははは……まぁね。けど、この娘は『こういう性格』でしょ? 隠密行動とか得意ってワケじゃないしね。だから、荒っぽいチームの方が適任かと思ってデンジに預けたのよ」

 ポンと、アッキーがミズキの頭を軽く叩いた。


「えへへへ!」

 バツの悪そうな顔をして、ミズキが舌を出した。


「うーむ……やはりか」

 そんな二人を気に留める事もなく、フグアイが画像から顔を上げた。


「アッキーさん、どうやらこれは昔の『火力発電施設』のようじゃ。こっちの細長い棟がボイラーで……こっちが発電タービンじゃろう。かなりサビだらけで朽ちかけておるが……」


「火力発電?」

 アッキーがフグアイの元に戻ってくる。


「ああ、そうじゃ。ガスや油を燃やすタイプもあるが、これは地下から掘り出した石炭を燃料にするタイプじゃの。こっちの真っ黒な山がその石炭の残りだと見てよかろうて」

 フグアイの指差した先に、黒い石のような塊がうず高く積み上げられているのが写っている。


「石炭? その石みたいなのを燃やして電気が出来るの?」

 アッキーの肩越しにミズキが頭を出す。


「うむ。この縦に細長いボイラー棟で下から石炭を焚いて水を加熱し、蒸気に変えての……その蒸気圧で発電タービンを回すんじゃ。これはかなり後期のコンバイドサイクルと呼ばれる高効率タイプじゃの……」


「『発電機』ねぇ……今は同じものは無いの?」

 興味深そうに、アッキーが眼を丸くして見つめている。電井の他に有望な電力があるのであれば、エターナル社の支配とも戦えるという目算もあるのだろう。

 だが。


「……残念ながら、現在でも稼働している設備は無い。何しろエネルギー源になる石炭を取り尽くして『ほぼ枯渇している』と言われとったらしいしの。それに火力発電は発電量を細かく調整するのには向いておるんじゃが、エネルギーの変換効率が50%前後しかなく、排ガスや二酸化炭素を大量に排出するという事で、当時から『嫌われ者』での……エターナルの電井システムが確立されてからは衰退していったんじゃ」

 

「そっかぁ……残念。まぁ、温室効果ガス?も今は逆にその方が有り難いくらいだけどね。何しろここ最近は気候も『寒冷化』してるしね……」


 首をすくめ、アッキーが溜息をつく。


「……。」

 デンジはまだじっと画面を見つめたままだ。


 ならば、どうしてエターナル社はそんな『旧世代の遺物』に今更ながら興味があるのか。水力発電同様、古い発電システムに何かあるのか……。

 

 何か隠された陰謀を、感じずにはいられなかった。

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