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異世界で英雄な俺。ぱーと2


ヒューマンの国 オーデンガルド。

短命な種族が長らく長寿だらけの種族の中生きながらえただけある。

鉄壁の城であると同時に完全な迷路になっており、また空と地中にも完全な結界が張られている。


これで突撃するほど馬鹿ではない。

近くにキャンプを作り情報収集に徹した。


オーデンガルドは3つの城壁から形成されている。

中心に遠くから見てもわかる城があり、あそこにわが子がいる事は予想できる。

ただそこまでは3つの門をくぐる必要がある。

第1の門は商人や旅人なら簡単に入れそうだが、ヒューマン特有の身分証を見せて入っているようだ。当然俺たちにはない。

どんなものか、何人かには気を失ってもらい拝見をしたが、顔写真の類はないが遠目から見てなにか魔法的なもので照合している様子だ。無理か。


「お父様、何もヒューマンの方法で正面から入る必要もないのです。私達の国にも破壊をもって侵入をしてきました。」


「しかし、被害が出てしまうのではないか」


わかっている甘い事を言っているのは。

だが、やられたからそのまま返すでは俺の子供を攫われたから俺も攫うではおかしい話だ。というよりしたくない。


「お父様のお気持ちは理解しますが、これでは」


「何か、手はないのか」


「今日一日お時間をください。何かできないか考えてみます」


俺は娘に丸投げするのも申し訳がないと思い、身分証をなくしたていで第1の門だけでもくぐれないかと試してみた。


「次!」


「すみません、旅のものですが道中魔物に襲われてしまい身分証をなくしてしまいました」


「よくある話だ、中に知り合いはいるか。いるなら迎えがあれば入れる」


ダメだった。


「根無し草ゆえ、知り合いは中にいません。食料もなくこのままでは死んでしまいます」


「では0番街までであれば許可をする、いいか0番街から出るなよ」


中に入る事には成功をしたが0番街とはなにか。

ついてわかった、いわゆるスラム街である。

あきらかに清潔ではないし、死体のようなものも転がっている。


「どこの世もあるんだな」


宿屋らしきところを探したが、どうやらないらしい。

というよりも店らしき場所が何もない。

ふらふらしていると一人のばあさんが寄ってきた。

スリか?


「新顔じゃな、若造。案内してやろうか。タダじゃないがね」


頼る相手もいないし、最悪は戦うすべもある


「頼む」


案外ばあさんは親切だった。

0番街に流れつくものは少なくない。

ルールがわからず争いの種にもなる為、交代で新顔にはルールを教える事になっているらしい。それに店はあったが、大通りになかっただけだった。あまり大きい事をしていると衛兵から嫌がらせを受けるらしい。


「して、新顔さん。おぬしは何をしにオーデンガルドへ?」


「家族を探している。」


「それなら迎えに来てもらえばよかったじゃろ。なぜ呼ばん」


「生き別れでね。名前も知らないんだ」


「それなら会ってもわからんのじゃないか、まあ詮索はせんがね」


ひとしきり案内をしてもらい、宿屋に入った。

アリアからは、中に入る事ができたら合図がほしいとあの笛をもらっている。

俺は笛を吹いたが、アリアは中に入れないのでは。


当然応答がない。

でも俺が中に入れた事は伝わったはずだ。


この宿屋はずいぶんと壁が薄いな。

隣の部屋の声がしっかり聞こえる。


どうやらお楽しみらしい。

今の俺には目的がある、そんな声を聞いても何も感じないのだ。

嘘だ。


しっかり自家発電をした。

いつぶりだろうかと、贅沢な賢者を楽しんでいると、なにやら気配がした。


「おい、本当にここであっているのか」

「間違いがない、あのばあさんからの情報だし金も払った。」


常人なら聞こえない声も今の俺ならちょっとは聞こえるぞ。

どうやらあの親切なばあさんに売られてしまったらしい。

しかし俺の素性など何もわからなかったはずだ。


ここは、新入りには何かと厳しいのだろうか。

どの様な対応をするか考えているうちに、その2人組は俺の部屋の前まで来てしまった。

お隣のお楽しみ組ではないかと少し期待もしたが、どうやら間違いないらしい。


「どんな能力を持っているかわからん、一気にとどめをさすぞ」

「あいよ、兄貴」


俺は決めた。


「おい!誰もいないぞ」

「隠れてるかもしれない、隅々まで探せ」


俺は逃げる事にした。


―アリアサイドー


お父様からの笛の音が鳴った。

さすがお父様、ご自身の英知で中に入る事が出来たのだ。

しかしお父様なら至極当然。

そもそも魔族である私のせいで中に入れなかったからだ。


お父様に気をつかわせてしまうので、どうしようもないが、策を考えると嘘をつきお父様をおひとりにした。もちろん一時的だ。

お父様には内緒にしているが、私にだけわかる位置情報魔法をかけてある。

もう二度とお父様を見失わない為であり、監視したいわけではない。

お父様が娼館にいくかもしれないとこれっぽっちも心配しているわけではないのだ。


だがそれも杞憂だった。

お父様はそんな下品な場所にはいかず、宿に向かったようだ。

明日の朝、私は認識阻害のマントを使い中に入り、お父様と合流するつもりだった。

このマントが1人用でなければ、お父様をおひとりにする必要もなかったのだが。


事態は変わった。

お父様がこんな時間に宿を飛び出したのだ。

一瞬、我慢が出来なくなったのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。

お父様はそんな自制の聞かないお人ではないし、常識がないかたでもない。

となると、トラブルの可能性が高い。


確実ではないにしても、その可能性があれば私が動かない理由にはならない。

私は飛び出した。

あえてマントは付けず、門番を吹き飛ばし魔法をつかって門を破壊した。


このようなイレギュラーであればお父様もご納得するはず。

そもそもヒューマンに気を遣う必要もないのだ。

私とお父様がその気になれば一瞬でオーデンガルドの中心地へ飛ぶことも可能。

それでもしなかったのはお父様の多大なるご厚意であったにも関わらず、

やはり下等なヒューマンは行動に出た。


私は迎えうつ衛兵どもを蹴散らしつつ、お父様のいる方角へ走り出した。


―主人公サイド―


門から大きな爆発音が聞こえた。

逃げながらの為詳細は見る事が出来ないが、おそらくアリアかもしれない。

ヒューマンの騎士に捕らわれた時と同じ爆発だったからだ。

アリアの事だから俺に何かあった際に感知が出来るようにしていたのだろう。

追っては門を一度気にしたようだがそれでも俺を追うのをやめない。

それほどの上位のヒューマンからの命令なのか。


しばらくしてアリアと合流をした。


「お父様、申し訳ありません。有事の為突入をしました。」


「いい、心配をかけたね。このまま中心地にいけるかな」


「お父様さえその気になればいつでも可能かと、私も微力ながらご助力いたします」


俺にそんな力はない。

せいぜいマナを力いっぱいぶつける程度しかできないのだ。

アリアの本気の謙遜も時々キツイな。


「アリア、頼む」


「喜んで」


俺は年端もいかぬ娘に抱きかかえられ、アリアの魔法で宙を舞う。

アリアはいくつかの爆発系魔法を使いながら、飛んでは着地しどんどん先に進んでいく。

あっという間に2の門を突破しもう3の門まで来ている。


ここまで多くの衛兵が来ていたが、すべて薙ぎ払った。

それくらいは俺にでもできた。

この調子で簡単に子供たちを奪還できるかと思ったがもちろんそうではない。

第3の門の前には、蒼穹の鎧をまとった騎士がいた。

その出で立ちからおそらく勇者であろう。



「ここまでだ」


声に違和感のあるやつだ。


「その風貌、異世界人と魔族と見た。子供たちを奪いにきたのか」

「奪ったのはそっちだろうが、アリアおろしてくれ」


「しかしお父様、あいつは間違いなくオーデンガルドの勇者。確か名はルイス」


「大丈夫だ」


「自己紹介は必要ないな、その自信この聖剣で消し炭にしてくれよう」


勇者ルイスは剣を鞘から抜くと、あの金髪女騎士の数倍はある輝きを放った。

やはり聖剣の類か。

俺は武器もないのに。


「悪いが、覚悟してもらおう。」


「こちらのセリフだ」


俺はまた掌にマナを集中させた。

勇者ルイスはその聖なる剣の光を高めお互いに全力でぶつかる空気だ。

どうしよう。俺はもう十分なんだが、まだ勇者ルイスは「はあああ!」とか言ってる。

まった方がよいのだろうか。


「お父様!もう十分なはず!」


アリアに怒られてしまった。

しかしこの空気はどうしようかと考えているとどうやら終わったようだ。


「覚悟しろ!」


お互いの全力がぶつかり合う。

あたりは光に包まれた。


しかし何も起きなかった。

いや、しらんおっさんがそこにいた。


「あぶないあぶない」


俺よりも一回り年上であろうおっさんは左手で頭をかきながらぼやく。


「おっと悪いね、突然の登場で驚いていると思うけど君たちは戦ってはダメだ。それではあいつの思うつぼだよ」


ここに来て何を言っているのか。


「誰だお前は!」


ほぼ同時に勇者ユイスとアリアが叫ぶ。

しまった。乗り遅れたか。


「うむ、それはそうだな。だが俺の名はどうでもいい」


「ふざけるな!」


勇者ルイスはおっさんに切りかかる。

だがおっさんは余裕でそれを避けて、聖剣に触ると途端にその光がなくなった。


「ばかな!なぜだ!」


「説明している状況ではないが、まあいい。俺も聖剣に選ばれた人間さ」


「…お父様、あのメス犬の注意が逸れているうちに」


え、勇者って女?

いろいろピンときたが今は考える時間ではない。

俺たちはおっさんと勇者ルイスが争っている間にその場を離れようとした。


「おっと、あんたも待った」


おっさんは勇者ルイスをいなしながらも目線で俺たちをけん制した。

俺はなにも感じなかったが、いやぞっとはしたがアリアの様子が変だ。


「…お父様。私はダメなようです。体が動きません、私は捨て置きお先に行ってください」


どうやら動けないらしい。

しかし動けない娘を置いて先になどいけない。

俺はおっさんと臨戦態勢をとった。


「待ってくれ、俺は争いたいわけではないんだ。説明したいが制限がある」


「何をわけのわからない事を!」


勇者ルイスはまったく光らなくなった聖剣でおっさんに大立ち回りをしている。

相変わらずおっさんは余裕で避けながら、左手で俺たちにけん制をしている。


「もう面倒だ、少々乱暴するからな。術式展開」


おっさんを中心としてあたりが真っ暗になった。


「どういう事だ。体がまったく動かない!」


今度は勇者ルイスまで動けなくなったようだ。

しかし相変わらず俺だけは動ける。


「やはりあんたは動けるんだな、だが変な気を起こすなよ」


アリアはずっと体を動かそうと必死な様子で、

何か言おうとしているがそれも出来なくなったようだ。


「ようやくおとなしくなったか、ここで話をするのもなんだし影響が出てしまうにも面倒だ。少し場所を移動するからな」


おっさんはそういうと両手を変な形にして何かぼそっといったようだ。

その瞬間、あたり一面草原となった。

ここは俺が初めて転移した場所なのか。


「悪いな、急ぎだったもんであんたのイメージを使わせてもらった。」


「俺にもわかるように説明するつもりなのか、俺は娘を助けにいくところで時間が惜しいのだが」


「わかっている。だが行くな。」


は?


「意味が分からない、まずお前は誰だ。それになぜおまえの言う事を守らないといけない。そもそもヒューマンだろ?勇者の手助けをするべきではないのか」


「まあそう見えるわな。とりあえず聞いてくれ。俺は制限付きでここに転移したからあまり時間と具体的事が離せない」


「だから…」


「時間がないのはお互い様って事だ。またまた悪いが聞いてくれ。娘はいない。」


「そんなはずは」


アリアもユイスもしゃべれずただ、もがこうとしている。


「いいから行くな。行くとよくない事がある。だからここはこの勇者を連れて一旦ドワーフの里へいけ」


「意味がわからない。お前の言う事を聞く道理はない」


おっさんは海外コメディドラマのリアクションのような両手を広げた。


「ユウマという通りだな。すんなり上手くいくわけないか」


ユウマ?

誰だ。


「おっと口が滑ってしまった、しかも今のはまずかったようだ。修正されるようだな」


おっさんがどんどん透明になっていく。



「いいか、よく聞け。ヒューマンの国にいくな。ドワーフの里だ。イシスのもとにすぐ勇者と行け。それ以外の行動をとるならば、あんたにとって後悔しかない未来が待っている。どうせもう時間切れだしいいか。俺は未来から…」


おっさんは言い終わる前に消えてしまった。

未来から来た。そう言いたかったのか。

確かにそんな様子ではあったが。


おっさんが消え、動けなくなった二人が解放された。


「貴様!先ほどのやつはなんだ」


知らん。


「ドワーフの里へ行けだと?意味がわからない。ここはどこだ」


たぶん知らん。


アリアは勇者に対して臨戦態勢をとりながら考えている様子だった。

「お父様、あの御仁のいう通りにしてみますか?」


「おいおいアリアまでどうしたんだ」


「…ある過程を想定するとすべて納得できるのですが今ここでご説明は憚られます」


まあアリアがそういうのだから間違いはないだろう。


「おい勇者とやら、俺の娘は本当にいないのか」


「知らん、それに私は王宮に入れない呪いがかかっている」


なんと


「その意味がわからん呪いは知らんが、お前勇者なんだよな」


「黙れ!」


勇者はまた聖剣で俺に切りかかろうとしたが依然聖なる光は沈黙だ。

それに動きが遅い、もはや素人だ。


「か…体が重い。」


これなら俺でも簡単によける事が出来る。

よける際に肘が軽く剣に当たり、折ってしまった。


「なんだと!!!」


ルイスは折れた剣をまざまざとみて、膝から崩れおちた。


「勇者ルイス、どうやらあなたに聖なる力はないようですね。このまま打ち捨ててもよいのですがそれも面倒です。ここは4大陸の中心、センターアースです」


せんたーあーす?


「もっとも危険な地域な事はわかるでしょう。このまま誰に看取られる事もなく朽ち果てるか私たちと一緒にドワーフの里にくるか選びなさい」


おいおい娘よ、どうしたのだ。

さっきまで命のやり取りをしていた相手だぞ。


「お父様、ここは私にお任せください。確かにあの門まで近づいたというのに姉妹の魔力を感じませんでした。あの御仁という通りいなかったか殺されていたのでしょう」


それなら仇を打たなければ。


「それも確かではありません。よく考えればあれだけ暴れた私達に対してヒューマンはこの勇者一人だけを当ててきました。追っても付かず離れずでおかしいかったです」


うん。わからん。


「あくまで可能性の域を出ませんが、恐らく勇者と私達を戦わせて何かヒューマンが得をする事があったと思います。例えばここぞのタイミングで勇者の力を奪い私達に殺させる。ヒューマンは報復としてドワーフを従え魔族領へ攻め入る口実を得る。」


「だが魔族領にはすでにせめてきていただろう。この女が!」


「私は行ってないぞ。オーデンガルドを出れない」


「なるほど、いろいろつながってきましてね、お父様」


いや、ひとつもわからん。


「…だからイシス様の元へ行けという事ですか。やはりあの方は」


あのおっさんが何だというのか。

年甲斐もなく嫉妬をしてしまう。


「で、お前はどうする」


アリアがルイスに問い詰める。

ルイスは、オーデンガルドにいた時と人が変わったように覇気がないように見える。


「オーデンガルドにいなければ私はただの凡人だ。ここで朽ち果てよう」


折れた聖剣を使い自らの喉に剣を刺そうとした瞬間、アリアが動いた。


「気絶してもらいました。本当にただのヒューマンですね。マナが少なすぎる」


「本当連れていくのか」


「私の仮説が正しければこの女は生きている状態でイシス様のもとにいかないと無駄になります。」


「その仮説とやらを聞きたい」


では道中で、とアリアは自分のよりも大きなルイスを担ぎ、走り出した。


「すべてはイシス様のもとでわかる事ではありますが、この女は捨て駒にされたようです」


なんと勇者を捨てるのか。

だがなぜ。


「いくつか要因はあるのだと思いますが一番大きいのは性別だと思います。歴史によれば勇者が女であった事は一度もなかったと思います。それに関してはヒューマンの風習で私が理解できる事ではありませんが、さらに姉妹たちとの性別の不一致もあったのではないでしょうか」


「勇者は不能といったやつか。」


「はい、その情報からすると勇者が女である事は秘密にしている様子です。それに聖剣が折れるなど聞いた事もありません。これもおそらくはレプリカ」


「偽物の勇者って事か」


「その可能性もありますが、先ほどの光。本物の勇者で間違いはありません。レプリカであそこまでの力を引き出せる時点で相当な実力者でしょう」


「オーデンガルドを出てないとか言っていたな、あと呪いがどうのとか」


「呪いについての文献はかなり調べましたが、似たようなものがありました。強すぎる勇者が反逆をしないようにヒューマンの王族が制限をつけたのでしょう。ヒューマンが魔物によく使用し従属化させます」


「で、こいつはあのおっさんが転移したせいで呪いが発動し力がなくなったのか」


「おそらくは」


なんだか不憫な奴だな。

危機感のない感想を持ったところで、あたりが暗くなってきた。


「かなり走りましたね。私は夜目が効かないので今日はここで休憩してもよいでしょうか」


当然俺も効かない。

「もちろんだ」


ルイスは目覚めない。

アリアがいうには今のルイスは本当にその辺の村娘と変わらないそうだ。

勇者として気絶魔法を使った為、相当に起きないそうだ。


「…お父様、だからと言ってお手を付けないように。必要なら私が」


こんな状況でうかうかと出来るものか。

結局娘たちの安否もわからないままだ。

俺は気をしっかりともってアリアへ寄り添った。

…情けない。


翌日、俺たちはドワーフの里へ急いでいる。

あの未来からおっさんは何者なのか。

アリアもそれは口にできるものではないとか言っていたが、意味がわからん。


あの口ぶりからすると未来に俺と関係がある人物なのか。

それにユウマと言っていたが、どこにでもある名前だ。

が、この世界ではまずない名前。

俺のいた世界の名前に近い。

あのおっさんは向こうから来たのか。

もしかしてお嬢様は、関係ないか。

うん、わからん。


マナの使い方がわかり、アリアとマナの循環をしながらだと無限に体力があるように感じた。

初日よりもスピードを出しアリアと俺はドワーフの里近郊までたどり着いた。

あの小屋は依然使ったやつだ。


「お父様、この人数で押しかけてはイシス様にも迷惑が掛かりますし騒動になります。ここは一旦私がマントを使って先行し、事情を話して戻ってきます。まず起きないと思いますがこの女を見ておいていただけますか」


「わかった、アリアに限って大丈夫だと思うが気を付けてな」


「ありがとうございます、お父様。大好きです」


おいおいフラグ立てるなよ。

本当にアリアに限ってそんな事はないと思うが、これでアリアまでどうにかなったらもう知らんぞ。

見境なくマナをぶっ放して何もかもぶっ壊してやる。

そんな小さな覚悟を決めて、アリアに清潔にしてもらった小屋でルイスの様子を見る。


ふとその蒼穹の仮面の下が見たくなった。

下心はない。

この哀れな女の顔を見ておきたかっただけだ。

俺はそっと仮面を外し驚いた。


この世界のヒューマンは欧風な顔立ちをしていた。

だから驚いたのだ。

こいつ東洋顔だ。


髪は黒い髪、瞳の色は見えないが、顔立ちは日本人のそれだ。

そういえば、あのおっさんも日本人ぽい感じだったな


名前からしてこいつは転移者ではない。

過去に転移した日本人の末裔という事なのか。

だから力が強い。

だから、制限がかけられている。

だから、他国への移動が出来ない。


そういう事か。

しかしなんと俺好みの顔なのか。

いかん。


俺は変な気を起こさないうちに仮面を元に戻した。

が、脳裏にあの顔が張り付いている。


結局その日アリアは戻ってこなかった。



俺は間違いを犯した。


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