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異世界でも平凡な俺。ぱーと7


「大丈夫です、お父様。ここは私に任せてください」


実の娘に元気付けられる俺。かっこ悪い。

門番にあっさり連行されて3日は経った。

何人かのドワーフたちに尋問をされたが、拷問はされなかった。

どのドワーフも口を揃えて言う事は、異世界人かどうか、だった。

ドワーフの里に入る前に、アリアから異世界人であることは口が裂けても言ってはいけないと言いつけられていた為、助かった。


なぜ、俺が異世界人であることを言ってはならないか聞くと、


「この世界では、異世界人は危険な存在なのです。4大陸でも異世界人の召喚は禁止されています」


との事。

そうなると、エルフもヒューマンも協定を破っていることになるが、アリア曰く、


「バレなければいいのです!ですからお父様は、この世界に居ていいのです!」


1億点の笑顔を見せてくれた。

俺を気遣っての言葉はわかったが、特に自他共にルールに厳しいドワーフには、この理屈は通らないらしい。

俺はずっとヒューマンである事、アリアとは道すがらたまたま出会った他人であると言い続けた。

手配書も見せられたが、誰が書いたのか、ヒューマンとエルフなら誰でもいいと思える画力だった。


「お父様、この町の協力者に連絡をすでに入れてあります、こう毎日尋問されているとお疲れでしょうが、もう少し我慢をお願いします。」


「協力者もタイミングを見ているのでしょう、ちなみに協力者は女性ですので、楽しみにしていてください!」


何を楽しみにすればいいのかは置いておいて、ドワーフのイメージとはかけ離れた清潔感のある牢獄に、3食栄養価のある食事が出て、もうここでいいのではないかと思い始めた投獄されて1週間後、協力者がやってきた。



「待たせたな、お前たちの情報が町で溢れすぎていて、ここまでくるのに苦労をした」


どう見ても、アリアより小さいドワーフ少女がそこにいた。



「少し待て、正式な手続きを踏んでいる。お前達は私の古い友人の子孫という事にしている。わかっているだろうが、余計な事は言うなよ」


ここに来て、すぐに出れるようではなさそうだ。

まあ不自由さはあるし、溜まるもんが溜まるだけで、そのほかは申し分ない。

あと1年でもここでいいと思える。が、


「お父様!よかったですね、あ、お父様ではまずいですよね」


「いいや、そのあたりは考えた。お前は小さいころから、そこのヒューマンに育てられ、父親同然の存在であることにしてある。気兼ねなく呼ぶがよい」


なんと気の利いた、仕事の出来る人なのか。

というか、この人はどこまで知っているのか。

少し不安な面持ちで、アリアを見ると、俺の考えていることがわかったのか、


「大丈夫です、お父様、イシス様は全て知っておられます」


この人イシスさんっていうのか。


「そういえば、自己紹介がまだだったな。私の名はイシス。ドワーフ族、族長の娘だ」



「族長の娘…」

「ああ、族長の娘がこんな事をしていていいのか。だろう。わかっているが、父上の考えが正しいかどうかは私の価値観が決める事だ。私は、私が正しいと思った事をする」


なんと筋が通った御仁か、見た目はアリアよりも幼く見えるが、相当にしっかりとしている。

そんな話をしていると、奥から衛兵らしきドワーフが複数人できた。

イシスは、シッとジェスチャーをした後、毅然とした態度をとる。



「貴様らがイシス様の知人である事がわかった、手ひどい事をした謝罪は別日で行う。ひとまずは釈放だ」


割と荒っぽい感じで、釈放された。


「さあ古き友人の形見たちよ、我が家に来るといい」


我が家って族長の家では…


「お父様!外に出れて、良かったですね!」

わが娘ながら、5億点の笑顔、この笑顔大切にしたい。


「…そうとう我慢させてしまいましたね、今夜は何度でもどうぞ…」


そんな娘の甘い囁き声に、みっともなく男になってしまうのだった。



@@@@@@


「父上、イシスが帰ったぞ!」


建物としては、族長という役職に似合わない、もはや城。

大扉を開けてイシスが大声を出したが、それ聞こえるのか?と思う程の広さだ。

里などと言わず、国を自称してもさしつかえないのでは。


「イシス様、お帰りなさいませ」


メイドだ。

だが、ドワーフ独特の見た目で、完全にコスプレである。かわいい。


「うむ、父上はいるか」


「ガラン様は、現在会合中です、隣国のヒューマン族のサジタリウス殿下とご一緒です」


「ならば、しかたあるまい。私は、友人を自室でもてなす、考えうる全てを用意してくれ」


「承知致しました、会合が終わられましたら、ガラン様へは、私からお伝えしますか?」


「よい、私が直接話をしよう、私に教えてくれ」


気持ちの良い受け答えと礼をした後、そのメイドは消えた。

…消えた?


「では、私の部屋へ。少し歩くが異存ないな」


軽い会釈をしたのち、城の中を歩いて進む。

歩きながら、何人かのメイドとすれ違ったが、すれ違い様に違和感を覚えた。

何か体がムズムズしている。

アリアには、何もないようだ。普通にしている。

何度目かすれ違った時に、その正体がわかった。

体を触られている、主に下半身を。

なぜ、そんなことを目にも止まらぬ早さでしてくるのか、さっぱりわからないが、

この1週間お預けだった俺の体が、凄まじく反応してしまっていた。


「ここが私の部屋だ、好きにくつろぐといい」


「すごい豪華な部屋ですね、お父様」

魔王の城も遜色ないほど、立派であったが、さすがモノづくりのエキスパート、ドワーフ。

細部まで作りこみがされている。

この世界では機械がない為、全て手彫りのはずだが、想像を絶する程の美がそこにあった。


「しばらくするとメイド達が、数々の品をもってくるだろう。その前に聞いておきたい事がある」


ここまでしてもらっているのだ、質問に答えることくらい、いくらでも話そう。

信じてもらえるかは、わからないけど。


「お前の異世界人として能力、それはなんだ」


自分でも答えられない質問だった。

今わかる範囲でいいのか、それも確証がない。

いったいどんな条件で発動する能力なのか、俺自身もわかっている訳ではないからだ。



「横からすみません。お父様自体もはっきりとご自身の能力を自覚されている訳ではないのです、今わかっている事としては…」


アリアがそっと、イシスに耳打ちをする。

心なしか、顔が赤く染まっていく。


「そんな破廉恥な能力とは!…お前もその一端なのか」


「…はい、私は魔族の中でも、お父様の血のおかげで、かなりの力をもっているとお母さまから伺いました。事実同じ年代の同族よりも、遥かにと言っていいほどです」


「なんと、それともう一つ言っていたな」


「それは、まだ確信が持てません、私だからそうなのか、私でなくてもそうなのか、女王様もお母さまにも、もう聞く事は出来ないので」


何を話したか、容易に想像が出来る。

確認できるのは、エルフ族のエミリアがいるが、それは魔族にはそもそも言っていない事で、今この場で明らかにする話題でもない。

もしかすると、あの里に帰れる道筋が完全に断たれてしまう可能性もある。

それに他にも魔族との間に生まれた子供たちもいたはずだ。

そちらはどうなっているのだろうか。


「お父様の子供は私だけではありません、今どうなっているかわかりませんが、私の国にも何人かいたはずです。今、私たちの国がどうなっているか情報はありませんか?」


これが本命だ。

ヒューマンに襲われた魔族の国がどうなったのか。

あそこの環境も悪くはなかった。


「残念だが、詳しい事はわからない。というよりも、今調査をさせている。ドワーフにとっても魔族の状況は気になる所なのでな」


「今わかっている状況としては、勇者を自称するヒューマン一味が、魔族の国に侵略。ここまではいつも通りだが、今回は手ごわかった。」


イシスの話は、息をのむ程の迫力があり、自分たちが知りたい情報なだけに、のめり込んだ。


「女王が討たれた事は、お前達も知っているだろう。どうやら魔族の中にヒューマンの間者がいたらしい。」


「なんですって!」


「そうでなければ、あの魔族がヒューマンに遅れを取る事などありえないだろう。それが誰かはわからないが、間違いない情報だ。」


「そんな…」


見たこともない程、アリアは落ち込んでいた。

それほどまでに魔族とは同族の中で結束が強いという事なのだろう。

ハーフでありながらも、受け入れられていたアリアがこうなんだ。


「続けるぞ、間者の協力で内側から結界が破壊され、魔族の領地に侵入したヒューマンは、即座に向かった場所があるらしい」


「それは…」


「西の棟、恐らく最下層」


「そんな…」


「アリア、西の棟の最下層っていったい何があるんだ?」


「…西の棟の最下層は、…お父様が居た場所です…」


敵は俺の存在を知っていた…?

そして、これ以上魔族の力をつけさせない為に、俺を殺しにきたという事か。

魔族の中でも、俺の存在はある程度隠されていたはずだ。

少なくても、魔族の領地に入ってから、俺が面会したやつはそう多くない。



「そして、西の棟にはあの女王が守りに入ったそうだ、だからお前達は難なく逃げる事が出来たわけだ」


「だが、俺たちは、女王が討たれた事を知って、逃げてきたんだぞ?あまりにも時間がある気がするのだが」


「女王は魔法に特化した能力を持っていた、時間に関する魔法を使ったのではないかと私は考えておる。その一番の側近もその力をもっていた。」


「…お母さま」


あの二人の命をもって、今の俺たちがいる。


「お前の母君もそうだったな、優秀な人材を失った。今の私が知っている情報はここまでだ、私の協力者もずっと魔族の国には入れなかったのでな。」


だが、わかった事がある。

敵は自称勇者パーティと裏切者。

こいつらを許す訳にはいかない。


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