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異世界でも平凡な俺。ぱーと5


間違いがない。

俺は、エミリアの部屋にある、ベッドの下にある隠し部屋にいた。

そして、不審な足音がして、見つかるフラグが立っていたと確信していた。


一瞬で目の前が真っ白になったかと思ったら、目の前が荒野だ。

ライトノベルで鍛えられた俺ですら、混乱をしている。

いい加減今回の趣旨を誰か教えてくれ。


などと考えているうちに少し頭がクリアになってきた。

いっそ、今も含めて全て夢だったと言えば辻褄があう。

そうとしか言いようのない感覚に包まれたその時に、遠くから明らかにヤバイやつらが来た。


そいつらは二人組。

どう見ても、人ではない。言葉も聞き取れたものではないのだ。

どうやら、少しだけよくなった俺の聴覚が遠くから奴らのカサカサ音をずっと拾っている。

聞いたことがある魔族というやつらなのではないか。


目の前まで来た奴らは、敵意はないものの、ずっとカサカサ言っている。

多分俺に話かけているのだろうが、どう反応をしていいかわからない。

ひとまず、通じるかは別にして、俺の現状を伝えてみる事にした。


「今さっきまで、エルフの里にいたんだが、目の前が真っ白になって今ここにいる」


「カサカサ・・・そんなはずはない」


あれ?

聞き取れるようになってきた、カサカサになれたのかな?


「お前はここがどこかわかって嘘をついているのか?寄りにもよってエルフの里から来たなど、殺されていても不思議ではないぞ」


「いや、相棒、少し待ってくれ、もしかすると昨日ボスが言っていた…」

「まさか、しかしタイミングは会うな。お前、ついてきてもらうぞ」


またこのパターンか。

もう好きなようにしてくれ。


この仮称魔族たちは翼がある為か、二人に捕まれたまま、今俺は空の旅をしている。

荒野を飛んでいくと、気味の悪い森あって、そのままおぞましい山を越えた所で

ここまでの光景が信じられない程、美しい城が見えてきた。


「おい、お前。暴れなかったこと、賢明な判断だが、そのままでいろよ」

「オデたちのボスの前でもおとなしくしていろよ」


どうやらこいつらの親玉に会うらしい。

こんなけして美しいとは言えないやつらの親玉はさぞお美しいのだろうか。

エミリアとの事があったすぐだから、少しうずく。


城門前まで空の旅が終わり、門番に例の男を発見したと報告をしている。

俺には聞こえないと思ってか、こそこそ話しているが、全て聞こえているぞ。


「こいつが例の男なのか。」

「間違いがない、ボスの召喚の儀と時期があうし、こいつの言い分だと疑いようもない」

「しかしこんなやつにボスが」

「いうな」

「だが、わが王がこんなやつに」


何があるとうのか、喰われるのか?

だとしても俺には抗う方法もない。

入れと大きい声を出した門番は厳重な扉を開けた。

それからは、やたらと掃除の行き届いているキレイな廊下を通り、飽きるくらい階段を上った。

こいつら羽があるのだから、飛べばいいのに。


「…お前、疲れないのか?タフなやつだ」


変だとは思った。

今までの俺であれば、こんな階段すぐにばててしまう。

向こうの世界でも迷わず、エレベーター、エスカレーターを乗る俺だ。

足に感じる圧迫感もなく、息もまったく上がっていない。

永遠に続く階段に飽きた事もあって、ちょっとしたふざけ心で、強めにスキップ気分で階段を飛んでみた。


「いった…くない」


無重力かと思う程、俺は天井にぶつかった。

頭と右腕をぶつけて反射的に痛いと言ってしまったが、そんなことはまったくない。

一緒に来ている魔族たちは、俺の奇行に驚き、騒いでいるが、そんなことはどうでもいい。

俺の体、どうしてしまったのか。

エルフの里でもこうはならなかったような。

いや、あれが夢でなければ、夜のハッスルもそうとうしていたのか。


「お前、こんな所で暴れるな!まもなくだからおとなしくしろ」


こそこそと、やはりとか、間違いないとか聞こえる。

何を知っているというのか。


RPG的にいう、この先にボスがいます扉に到着した。

その中には、俺の少し良くなった視力でも、シミ一つ見えない。

美しい、まさに、純白という言葉が似あう女がいた。


「異世界人、初めてお目にかかる、妾は、この国の王アスラである」


「あ、はい」


「妙に落ち着いていると報告は受けていたが、なんだその態度は。」

「いや、初めてではないので」

「たわけ、妾と貴様ははじめてじゃ」

「いやいや、そっちではなく、この召喚?が」

「なんと!」


よくわからないが、そんなひどい扱いを受けそうにもなかったし

もしかするとなんかの手違いで、エルフの里に帰らせてくれるかと

ある程度、ここまでの経緯を説明した。

アスラ女王は、俺の話をよく聞いて、相槌を程よくしてくれ

余計な事まで話してしまったかもしれない。

でも、このアスラ様の目を見ながら話しをしているともっと聞いてほしい。

もっと話をしていたい気持ちになって…あれ?


「うん?ずいぶんと効果が切れるのが早いな。貴様、耐性持ちか」

「これ、エミリアがした魅了ってやつか。耐性持ちって」


「やはりか、そのエルフ娘が初めての魅了ならば、相当利いたであろう。現に妾も最後までと思っておったし、まあそれはよい」


最後までとは


「耐性持ちとは、一度受けた状態異常は…例えば毒じゃが、2度目からは軽減され、3度目からはまったく効かなくなる能力の事じゃ」


そのままである。

やはりここはゲームの中なのか?


「しかし、妾のイメージしていた異世界人とはだいぶ違うな。浮足立っている様子もなければ、絶望している様子もない」


なんじゃ貴様、と同時に羽なし魔族が飛び込んできた。


「お取込み中、大変失礼致します!ヒューマンがまた攻めてまいりました」

その羽なし魔族はゼイゼイと息を切らしながら女王に報告をする。

女王は、特に慌てた様子もなく、ゆっくりと杖を持ち出すと


「ふん、暇な種族じゃ。年中子孫繁栄をしていればいいものを」


おもむろに振り回し、所謂詠唱なしで光を操っている。


「…終わったわ。片付けをするといい」


羽なし魔族は、は!と返事をして消えていった。

なにしたの?


「なんじゃ、まさか魔法は初めて見たのか?ふん、ここにきて少し面白い顔が見れたな」

「そんなことより、ボス」


「ボスというではない!!何度いえばわかるのじゃ!!!」


「…申し訳ありません。ええ、わが君」


「うむ」


なんの茶番だろうか。


「この男をやはり、言い伝えどおり」

「それしかない。我々に残された手段としてはな。妾も不本意じゃが、感覚的にこの男を選んでおる」


「詳しい話を聞かせてもらえるのだろうか、俺も結構話をした訳だし」


「…まあいいじゃろう。貴様も我が国に来たばかりで状況がわかっておらんようじゃし」


ここからは長かった。


まず、俺がいるのは、やはり魔族の国。

かつて、異世界人に滅ぼされそうになり、しかも他の種族からも攻められいまやこの城を含む、少しの領地しかないとの事。

あろうことか、ヒューマンつまり人間族は未だにちょこちょこ攻めてくるとの事。

だが、女王がいうには、ヒューマンは世代を追うごとに弱くなっているらしい。

何が原因かわからないが、この城までたどり着ける者など、しばらくいないようだ。

つうか、女王何歳よ。


それからは、俺が一度聞いた、異世界人に滅ぼされた領地を取り戻すべく、何度となく召喚の儀をし、そのことごとく失敗をしたらしい。

そして、ようやく俺という事らしいのだが。


「先に言っておくが、俺にすごい力などないぞ」


今度はタイミングを逃さないように、伝えよう。

魅了がないとはいえ、この女王には正直にいたい気持ちがある。


「わかっておる、それも伝承通りじゃ。大切なのは貴様ではない、貴様の子じゃ」


「はい?」


「伝承では、異世界人との子がこの世界では、とてつもない力を持つとされておる。現に我々が拘束した異世界人の子も、とてつもなく強かった。」


どうやら、ひどい扱いをされた異世界人が暴れたのではなく、異世界人と魔族の混血が暴れたらしい。

半分魔族の血が入っていたことで消滅しなかったらしい。

それにしても、その際に魔族の地を攻めてきたエルフ、ヒューマン、ドワーフも全て異世界人との子供たちらしい。


つまり、これって。


「異世界人の血の呪い。妾はそう呼んでおる。」

「今更先人たちの償いをしようと思っている訳ではないが、この状況を打開するためには、圧倒的な力がいる。幸いにも他の種族の異世界人の血は薄まっておる」


「ヒューマンが特に弱っているってことは」


「おそらく、ヒューマンは一番寿命が短い上に、年中発情期じゃ、血が薄くなって当たり前じゃろうて」


「じゃあ俺に求めていることって」


「…みなまでいうでない」


催眠術?

今度は目の前が真っ暗になって、シャットアウトされた。



夢を見た。

夢を見るなんて、どれくらい久しぶりかと、冷静になれる位、久しぶりだった。


そこは、いつもの俺の職場。

俺しかいない資料庫だ。

唯一の楽しみといえば、何もする事がない仕事中に読む、ラノベ位だろう。


あれ、この物語どっかで読んだことある・・・やつ・・・


「起きたか」


目が覚めるとさっきまでの夢も忘れ、軽くパニックを起こす。


「ここはどこだ」


やたらに装飾が豪華な部屋。

そのベットの上で、俺は裸。

なんだか覚えがあるような、ムズムズ感がある。


「これで十分かどうかはわからんが、成しやすい魔法はつこうた。あとは、相性の問題じゃと思うが、たぶん大丈夫じゃろう」


「はい?」


「ご苦労と言っておこうかの。しかし万が一という事もあるしの、しばらくは妾の国でゆっくりしておくとよい。あと、好みの娘がおれば、好きにするといい」



「ちょっと」


「なんじゃ、意識がないままではと文句でもあるのかの」


「いや、それはまあそうだけど」


「卑しい異世界人よ。・・・まあよい。確率を上げるという意味ならば・・・なくもない」



決してそうした意味ではなかったが、峰麗しい姫君との情事だし、俺も男だ。

エミリアの事も過らなかったといえばウソだが、男とは悲しい生き物なのか


ひとしきり、相性とやらを確かめたあと、俺は聞きたかった事を聞く。


「俺がここにいるべきはわかったが、エルフの里にも戻りたい、それは出来るのか」


「5回も妾としておいて、他の女の事を聞くとは業腹よな。もちろんダメじゃ」


だよな。

あと5回の内1回は意識ないからな。


「我が国としても戦力が惜しい。お主の好みもあろうて強制はせんが、出来るだけ励むとよい」


これ以上はと言わんばかりに、足をガクガクさせながら、女王様が部屋から出ていく。

床に特徴的な汚れを垂らしながら。


俺自身に特殊な能力がない事もわかった。

無理をして死んでしまっても仕方がないし、痛いのはいやだ。

エミリア達が迎えに来てくれる可能性を考えて、このままこの城で過ごすことも悪くない。

クズかな?



それからは怠惰の日々を送った。

あのおぞましい連中の中に、俺がその気になる子がいるか心配だったが、それは杞憂に終わった。

女性の魔族は、多少、角があったり、尻尾が生えていたり、肌の色がケミカルだったりする位で、俺の目には美人に映った。

衣食住も、文句なく、俺にとって快適と言えた。


女王様と、時々、せがんでくる位であまり会う事もなく、それがさみしい位といったところか。


しばらくすると、女王の側近?美人魔族から、女王が懐妊したと聞いた。

デリケートな状態に入った為、しばらくは会えないそうだ。

俺がこの城にいる間、何度もヒューマン族が襲ってきたらしい。

それも今までには考えられない頻度で。


ヒューマンと交わったか聞かれたが、覚えはないし、ヒューマンは魔族程早く子供は生まれない。

別の異世界人を召喚した可能性を美人側近さんは言っていた。

もちろん、この美人側近さんとも、一夜といわず、何度も共にしている。

それ以上でもなく、それ以下でもない日々が過ぎ、ついに女王が出産をしたと伝達があった。



「ついに俺の子供か」


「異世界人、悪いが貴様の子供と言えど、会わせることはできない」


「え、どうして」


聞くと、子供に情が移ってしまい、戦いに出すことや、訓練に口を挟まれたくないそうだ。

今までがそうだったのだろう。

そのあとも風の噂で何人か、俺の子を産んだらしいが、人間ではありえ合いスピードで、俺自身も実感がわかなかった。



しばらくすると、美人側近さんが新しい俺の担当官を連れてきた。

まだ子供ではないのか?


「この子は素質がある、貴様のそばに置いておけ、私もいつでもそばにいる訳ではないからな」


美人側近さんも俺の子供を産むギリギリまでそばにいてくれたが、さすがに出産は立ち会いを許されない。

しかし、この子まさか。


「何か、疑っているようだが、詮索は無用だ…ゆくぞアリア」

「はい、か…いえ」


多分俺と美人側近さんとの子供なんだろうなあと無責任に思った。

この人も職権乱用で、自分の子供を父親に見せたかったに違いない。

母様とか言いそうだったし。しかし、お母さんに似て美人だなあ


それにしてもいつまで俺はここに居ればいいのだろう。

のんきなことを考えて日々を過ごしていた俺に、訃報が届いた。


「女王様がヒューマンに討たれた!逃げれるものは速やかに逃げろ!」



不思議だ。

何もかも、無理やりだったのに。

たぶん同じ種族なはずなのに、許せない。


「お父様!早く私についてきてください!」


美人側近さんの娘がまた一回り大きくなって、俺を呼びにきた。

緊急事態だから仕方ないけど、俺をお父さんと呼んでるよ?

などと、野暮なことは言わず、黙ってアリアについていく。



「城は今どんな感じなんだ?お母さんはどうした?」


アリアは、俺の前を引率してくれている。

その表情は見えない。


「お母さまは、女王様と共に・・・任務を全うしました」


たぶん泣いてはいない、強く育ったのだね。

でも、俺は強くない、涙が止まらない



「お父様、泣かないで、今は先を急ぎましょう」



狭くて暗いトンネルを二人きりで進んでいると明かりが見えた。

しかし、道が敵に知られている可能性を考えて、慎重に動く。


「大丈夫そうです、お父様」


「そのお父様って呼んでいいの?」


「お母さまから、言われています。もし、自分に何かあったら、お父様をお父様と呼んでいいと、そうすれば、お父様は私のいう事を信じてくれると」


「なるほど」


「私はお母さまのおかげで、お父様に会えていましたが、私以外の3人の兄妹はお父様の事を知りません。有事の際に、お父様の存在を隠す為です。」

「そのおかげで、ここまでスムーズに脱出が出来ました、他の兄妹も無事ならばいいのですが」


「そうだね…この後はどこにいくの?」


聞くと有事の際には、要人を連れていく場所があるそうなのだが、間違いなく待ち伏せがされているだろうとの事。

魔族の領地は狭く、すぐに見つかる可能性が高い為、他種族にいる協力者の所に俺は行くらしい。エルフ族かと思ったが、魔族からするとヒューマンに次いでエルフは仲が悪いらしい。


「ドワーフの里を目指します」


そこからは長かった。

昼夜、歩き続けた日もあったが、俺もアリアも疲労のひの字もなく、進むことが出来た。

やっぱり、この子は俺の子供なんだなあとしみじみ思う反面、ここまでの欲まみれの日々から、美人側近さんの顔をしているこの子に良からぬことも考えてしまった。


ある日の夜、間違いは起きてしまった。


「お父様・・・我慢できなければ、どうぞ。お母さまからもこんなこともあると教わっています」



罪悪感だけが残った。


「お父様、おはようございます。まだ予想の域を超えていませんが、私、昨日よりも身体能力が上がっています、昨日の夜がきっかけだと思うのですが、何かご存じないですか?」



もちろん何もしらん。

こんな事、過去に経験があってたまるもんかと言いたい


「そうですが、しばらく経過を見たいので、その、少し我慢させてしまいますが、よろしいですか?」


もちろん。とそれだけ伝えた。

もう二度としてはいけない。


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