彼が死神と言われた理由 1
前々から予告していた新しい小説です。
ちょっと短編として出そうとしていましたが、ちょっと短編ではまとめられないので連載として出しました。
おそらく三つか四つで終わります。
~~~序章~~~
彼は地球という惑星に生まれたごく普通の高校生だった。
彼の両親も普通の会社員と公務員だった。前述のとおり彼の両親は共働きだった。
彼は家で一人でいる時間がとてもおおかった。だからかわからないが彼はゲームや書籍などに熱中することとなった。
彼には親友で幼馴染の佐藤健が居た。彼は親友に誘われ最近はやっているというライトノベルというのを読んでみた。その内容は勇者と魔法使い、聖騎士の三人パーティで幼馴染の大魔王を討伐するという話だった。彼はその小説を読んで今度はライトノベルにはまった。彼は普段両親には迷惑をかけないように生活していたが彼はそのとき初めて両親を頼り大量のライトノベルを買ってもらった。彼はとてもうれしそうに両親にお礼を言い、部屋にもどっていった。
彼はその後の生活のほとんどを買ってもらった小説の読破に費やした。彼はその日々が幸せだった。しかし、幸せは長くは続かなかった。
変化は突然起きた。彼が学校の昼休みにご飯も食べずにいつも通り小説を読もうとしていた時だった。
教室の床に巨大な謎の模様が描かれた。いや、その模様は教室の床だけではなく壁や天井まで描かれていた。クラスの人たちは突然のことで呆然としていた。かくいう彼もその一人だった。
そして彼の脳がこれはまずいと判断する前に教室中に声が響いた。
「みんな!いますぐ教室から出て!早く!」
そう叫んだのはクラス委員長の朝倉露さんだった。クラスの人たちはその声に反応して教室から出ようとした時、図ったかのようなタイミングで模様が光り輝いた。そして視界が塗りつぶされた。
~~~第二章~~~
彼の視界が戻るとそこは見知らぬ場所だった。彼の周りにはクラスメイト達がいた。
彼はそのことに少し安心しながらもまわりを見渡した。そしていくつかわかったことがあった。
その空間はよごれの一つも見当たらない一面真っ白な部屋だった。素材は大理石のような物でできていた。そして彼らが乗っている場所は少し高くなっていた。その周りには祈りをささげるような恰好をしている人たちがたくさんいた。
彼はひそかにすこし興奮していた。彼は仮想の出来事だと思っていたことだったがまさか現実で起きるなんて思ってもいなかった。
彼がひそかに興奮しているのをよそにクラスメイト達は呆然としていた。そこにとても高そうな服をきた初老の男性が近づいてきた。
「失礼、私があなた達をこの世界に召喚した者です。名前をローフ・モロウといいます。以後お見知りおきを」
その初老の男性はそう自己紹介をした。それに反応したのはクラス委員長の朝倉露さん。朝倉さんはローフにここはどこですかと質問をしていた。その質問にローフはこうこたえた。
「それについてはひとまず座ってお話しましょう。ついてきてください」
ローフはそういうとクラスメイトに立つよう言った。
クラスメイトはローフの言葉に素直に従い座っていた状態からすぐに立った。彼もいっしょのタイミングでたった。
「では、ついてきてください」
「わかりました。みなさん!いきますよ!」
ローフが先頭を歩き委員長がそれに続く。他のクラスメイトも委員長に続いて歩いて行った。
彼もクラスメイトたちについて行った。
彼らが通されたのは同じく大理石のようなものでつくられた円卓と椅子だった。
「では、座ってくだされ。みなさまが座られたらお話をいたしましょう」
ローフのその言葉を聞いたクラスメイト達は今までの出来事がすこし衝撃的だったのか何もいわずに思い思いに席に着いた。
「全員座ってもらったようですね。それではまずは謝罪を。私たちの都合でこちらの世界に召喚してしまい、もうしわけありませんでした」
そういうとローフは席を立ち頭をさげた。周りにいたほかのひとたちも一斉に頭をさげた。
「いいんです、もう起きてしまったことなので。ですが、説明はきちんとしていただきますよ?」
委員長がそういうとローフさんたちは頭をあげて席に着いた。そしてこう言った。
「もちろんでございます。それではお話しましょう。この国...いや、この世界の人類の危機のことを」
そういうとローフさんは語り始めた。
「まずこの世界の名前は『ダリア』といいます。そして今あなた達がいるこの国を魔法国家:レイオスといいます。ほかにもこの世界には武装帝国:ダギンと地底王国:ドレイモンに深海国家:メールがあります。
大昔には天空国家:エイリアスがあったようですが、1000年前に突如消失したといわれています。ですので今現在この世界の国はレイオスとダギン、ドレイモンとメールがあります。
しかしその四つの国は人類...人間の国です。人間以外にもこの世界には存在します。獣人族と森人族、そして...魔族。この三種族の国もあります。
獣人族の国家は一つだけです。国の名前は牙獣王国:レギオン。この国とは我が国は国交もあるので仲は悪くない。
エルフ族の国家も一つだけ...といいますか多数の国家が存在するのは人間だけなのです。...おっと、話がそれました。エルフの国家は森林国家:世界樹です。エルフたちは世界樹から生み出され、世界樹の中に国家を構えています。エルフ族との仲も悪くありません。
最後は魔人族の国家です。名前は魔国:ゲンム。魔王という人物がその国を統治しています」
ローフさんがそこまで話すとクラスの陽キャ...というかうるさいやつ筆頭の荒田和樹が声を上げた。
「なるほど!つまりその魔王に人類が殲滅されそうだから魔王を倒してほしいということですね!」
荒田がそういうと彼の取り巻きがすかさずよいしょする。
「さすがです、荒田さん!さっきの少ない情報でそこまで考察するなんて!」
「なんてすごい人なんだ!」
そこまで言うと荒田はさらに調子に乗ろうとしていたところに待ったをかけた初老の男性がいた。
「残念ですが、そうではありません」
「...え?」
「魔人族とは現在良好な関係にいます。我々の敵は魔族ではありません」
「...はぁ?何言ってんの?定番じゃ魔族が敵なんだよ。ってか何かってに水差してんだよ」
「ちょっと!そんな言い草ないでしょう!第一最初にローフさんの話を断ち切ったのはあなたでしょう!いい加減にしてください!」
荒田は朝倉にそう怒鳴られるとおとなしく席に着いた。
「すみませんローフさん。お話を続けてください」
「...わかりました。では、続けましょう。
なにか誤解しているようなので説明いたしますが魔人族は人間が魔力を増やした結果、魔法に特化した者たちの子孫です。決して邪悪なものではありません。
しかし、荒田様がおっしゃった魔族はいます。魔族というのはこの世界のから抜心理から抜けた異常者です。
奴らの体は魔力でできており、倒してもどこかでまた体を再構成して蘇ります。ですので奴らは異常者と言われております。
ここまで話せばお判りでしょうが、我ら人類はその魔族に滅ぼされそうなのです」
彼はそこまで話を聞いて思ったことはその魔族はどのくらい強いのか、という疑問だ。
「あの~すみません、ローフさん」
「はい、なんでしょう?」
「その魔族たちはどのくらいの強さなんですか?」
「そうですね,,,魔族というのは獣人族より身体能力が高く、魔人族より魔法の使用が長けています」
「それはつまり...あなた達ではどうしようもない、ということですか?」
「そうではありません。奴らは確かに身体能力や魔法技能などの戦闘技術は我ら人類よりは上手ですが、知恵などのずる賢さは我ら人類のほうが良いのです。つまり、戦略などがこちら有利なので今までなんとか拮抗できていたのですが、最近はなぜか奴らの知恵や統率が高いようなのです」
「それはつまり...魔族が賢くなったか、もしくは魔族に知恵をかしているやつがいる...と」
「そういうことです。話を続けましょう。奴らの知力が高くなったので、我ら人類との拮抗も解けてしまいました。ですので我ら人類は最後の手段...異世界からの強制召喚を実行したのです」
ローフさんの話はどれも本当の話のように聞こえる。しかし、彼はまだ少し警戒をしていた。彼は召喚した側が悪で利用される話などもあったからだ。無論、ライトノベルの話だが。
「異世界からの強制召喚で召喚されたのが、私たち、ということですね?」
「そうです。我らはその魔法の名前を勇者召喚と名付けました。
ながながと話しをしてしまいもうしわけありません。皆様にはこれからステータスの確認をしていただきます」
「ちょっとまってください!私たちはまだ戦うと言っていませんよ!」
委員長の朝倉がいいことをいったが、他のクラスメイトは興奮しているようだ。朝倉の話を聞いていない。
みんなイヤッホー!とか俺の時代!とか洗脳ハーレム!などなど言っている。最後のやつ、残念ながらこの小説はR18じゃないからそんなことはできないぞ。
「もう!なんでみんな話を聞いてくれないの!さっきの話を聞いてたの!絶対危険なんだよ!」
朝倉が叫んでいるが周りには聞こえていないようだ。さて、どうしようか。
あまり目立ちたくないんだが、しょうがない。
「ねぇねぇ、ちょっと委員長まで伝言してくれない?(ボソッ)」
「いいよ。なんて伝えればいい?」
「そんな心配なんだったらみんなで多数決で決めるとかどうかな?もしくは何かしらのルールを決めるとかって伝えて」
「わかった」
そういうと隣の人は委員長に話をしに行った。ていうかさっきの人ってだれだ?クラスの人たちの名前ほとんどしらないな。まぁどうでもいいかな?」
「もぉ~!なんでよ!...ん?どうしたの?寧々ちゃん。何々?...う~ん...それしかないか。しょうがない」
委員長はそういうと手をたたいてクラスメイトの注目をあつめた。ていうかさっきのやつ寧々というのか。一応覚えておこう。
「みんながどうしてもやりたいってことはわかった。けど、みんなの安全のことを考えると賛成できない。だから、私たちでルールを作りましょう。そのルールを破らないように行動してくれればいいわ」
委員長がそういうとみんな納得したのか素直にルールを決め始めた。しかし彼は参加する気は無いようだ。薄情なやつめ。
大体三十分ぐらいしたときに話合いは終わったようだ。
「じゃ、ルールを確認するね。まず一つ目仲間は裏切らない。二つ目自分たちの命を優先。三つ目一人でどこかに行く場合は他のだれかに出かける旨を伝えること。この三つを守ってね」
ふむふむ、無難な奴に決まったな。これなら問題もとくに起きないだろう。
そこでルールを決め終わったのを見計らったのかローフさんがしゃべり始めた。
「それでは、ステータスの確認をいたしましょう。皆様、ついてきてください」
そういうとローフさんは席を立った。クラスメイトも席を立ち始め、最後に彼が立った。
全員が席を立ったことを確認したローフさんはこう言った。
「こちらです。ついてきてください」
ローフさんはそういうと歩き始めた。それに続くように委員長を先頭にクラスメイト達が歩いて行った。
しばらく歩くと巨大な図書室のような場所についた。
「皆様にはこれから自身のステータスの確認をしていただきます。
そのためにはこの書庫に貯蔵されている魔法の書を使います」
そういうとローフさんは司書さんに人数分の本を受け取った。ちなみに召喚された人数は彼も含めて三二人だ。結構多い。ってか他のクラスの佐藤まで居るし。
「皆様、この本を一人一冊受け取ってください」
クラスメイト全員が本を受け取るとローフさんが説明を始めた。
「この本は数ある魔法の書のなかでも誰しも必ず持っているものです。名前を魂の書といいます。
この本はこの世に生を受けたものが必ず教会で受け取る本です。この本に所有者の血を垂らすことで登録されます。
血液でなくとも唾液などの体液ならばなんでもよいようです。しかし一番手っ取り早い方法が血液を使用することなのです。皆様はどれでもよいですが」
ローフさんがそういうとクラスメイトは全員が唾液を使うようだ。まぁそうだろな。現代日本に生まれた人ならば誰だって痛いのは嫌だよな。彼も唾液を使うようだ。死神を知っている側からすれば彼が血液を使わないことに少々驚きを隠せないな。まぁ死神と彼は同一人物だが時間が違うからな。しょうがないか。
そんなことを考えていると全員登録が終わったようだ。ローフさんが説明をはじめる。
「どうやら無事登録が終わったようですね。では、皆様本の表紙を見てください。表紙には自分の名前とこの世界の適正職業が書かれているはずです。ちなみに私は最初は神官でした。今は枢機卿ですがね」
ローフさんがそういうと自分の本を見せてきた。ローフさんの説明どおり、表紙には名前と職業が書いてある。彼の職業はどうかな?俺の記憶が正しければ鍛冶師だったはずだが...
『名前:海里 影斗
職業:鍛冶師』
ふむ、記憶どおりだったな。ここからは彼の視点から行こうか。
鍛冶師...クラフトマン?鍛冶師はわかるがクラフトマンはなんだ?まぁ、聞けばいいか。
「では、皆様。よろしければ職業を見せていただいてもよろしいでしょうか」
ローフさんはそういうと、一番最初に立候補したのは荒田だった。
「はいはーい!まずは俺」
「では、荒田様。この台座に本を置いてください」
「りょうか~い!」
荒田が台座に自分の本を置くと文字が空中に浮き出てきた。
『名前:荒田 和樹
職業:魔法剣士』
「荒田様の職業は魔法剣士ですか。この職業は滅多に出ない職業です」
「やっぱり~?やっぱ俺ってすごいんだなぁ!」
荒田は上機嫌で自分の本を回収してクラスメイト達のところに戻っていった。
魔法剣士って、それ訓練しないと普通の器用貧乏で終わりそうだな。まぁ荒田は真面目に訓練する性格じゃないしきっと器用貧乏で終わるな。
「次はだれが行きますか?」
「で、では私が」
そう言って台座に近づいたのは委員長の朝倉さんだった。彼女、最初は戦うことに否定的だったのに今はそんな雰囲気ないな。きっとルールを決めたからだろうな。
『名前:朝倉 露
職業:治癒師』
「朝倉様は治癒師でございますね。これは回復に特化している職業でございます」
「そ、そうなんですか!よかった。この力があればみんな傷つかずに済む」
そういいながら朝倉さんは戻っていった。次は誰だろう。ってか、今のところルビが降ってあるのだれもいない。これは早めに出たほうがいいかな?それとも一番最後がいいかな。どっちでもいいか。どうせバレるんだから。
「次、私行きます!」
「では、この台座に本を置いてください」
「は、はい!」
あの人は伝言頼んだ人だ。たしか名前は寧々だっけ?苗字は知らんけど。
『名前:新谷 寧々
職業:剣聖』
「ほぉ!剣聖ですか!剣聖とは伝説でも勇者と一緒に魔族討伐で活躍した職業です」
「そ、そうなんですか!?けど、私に務まるかな...」
「問題ありませんよ。この国には騎士団がいます。その人たちに習うといいでしょう。それに、魂の本がその職業があなたに一番合っていると思ったからその職業が選ばれたのです。もっと自信をもってください」
「は、はい!がんばります!」
新谷さんはローフさんに励まされて元気になってもどっていった。
「次はだれでしょう」
「はーい、俺、行きます」
「では、こちらの台座に本を置いてください」
「はーい」
『名前:模倣 無法
職業:倣う者」
「これは...どういう職業なのでしょう?」
「さぁ?俺もしらね。もうもどっていい?」
「ええ、問題ありません」
「ん」
あいつ、模倣か。あいつの職業...俺と同じでルビが降ってある。一体どういう基準なんだ。
「では、気を取り直して...次の方、どうぞ」
「では、行こう」
『名前:山武 夢者
職業:夢操り』
「これは、なかなか珍しい職業ですね」
「そうなのか?」
「ええ。この職業は自身が見る夢を溜め、使用します。使用する形はあなたの想像次第です」
「ふむ...」
山武さんは思案顔で戻っていった。
「では、次の方」
「僕いきます」
『名前:新文 達也
職業:情報屋』
「情報屋ですか。この職業は魔力を対価として払うことで相応の知識を得ることができます」
「そうなんですか。僕にぴったりですね」
新文はそういって戻っていった。
「次は私ね」
『名前:華美 奏子
職業:裁縫士」
「裁縫士。この職業は裁縫で衣類や防具などを作成できます」
「なるほどねぇ」
「ほかにも、糸を使い罠なども設置できますが、裁縫用の糸なので強度はあまりありません」
「ふむふむ」
華美さんは思案顔で戻っていった。
「次の方は誰でしょう?」
「僕行きます」
『名前:火事 鉄代
職業:鍛冶師』
「鍛冶師ですね。皆様の武器や防具を作成して皆さんを支える立派な職業ですね」
「ですよね!よかった~。ラノベとかみたいな不遇職じゃなくて!」
上機嫌なまま鉄代は戻っていった。そろそろ俺も行ったほうがいいのかな?
「次、いってもいいですか?」
「ええ、よろしいですよ。では、こちらの台座に本を置いてください」
「わかりました」
さてさて、ローフさんはどんな反応をするのかな。
『名前:海里 影斗
職業:鍛冶師』
「おお、あなたも鍛冶師ですか!これなら武器や防具には困らなさそうですな!」
「そ、そうなんですか」
クラフトマンについての反応が無い?...見えていないのかそれとも意図して無視しているのか...。
そういえば模倣のときも反応して無かったな。じゃあはやり見えていないのか。周りの反応を見る限り俺以外にも見えていないようだし。
「さて、次は誰がやりますかな?」
「俺たちが行くぜ」
次はあの二人組は行くようだ。
「では、こちらの台座に本を」
「ああ。じゃ、俺からいくぜ」
『名前:弦月 大河
職業:拳聖』
「ほぉ!拳聖ですか!拳や足などの肉弾戦のエキスパートですな」
「まだ驚くのは早いぜ。もう一人のもすげぇからよ」
「ほっほっほ。それは楽しみですな」
「そんなプレッシャー与えないでくれ」
『名前:希和 大智
職業:賢者』
「なんと!賢者だと!」
「驚いたろ?」
「ええ、これは驚きました。賢者とは魔法の基本属性の炎、水、土、風のすべてを扱え、さらに味方を強化できる強化魔法もつかえます」
「なるほど。完全に魔法特化なんだな」
「ええ、そうです」
「そうか、少し残念だ。近接もやってみたかったんだがな...」
「かっかっか!そこは俺に任せてお前は援護でもしててくれ」
「ああ、そうするさ」
二人組...大智と弦月も戻っていく。
「次は俺たちだ」
「では、こちらの台座に」
こんどはあの六人組。男一人に女五人の俗にいうハーレムだ。日々修羅場ってそう。
「まずは俺から」
『名前:斎藤 翁
職業:大剣士』
「大剣士は大きな剣で多数を吹き飛ばすことができる剣士ですね」
「では!次は私!」
『名前:瑞浪 弥生
職業:双剣士』
「双剣士は二本の剣を同時に使うことに特化した剣士です。まるで生きているかのように剣をふるうことができます」
「なるほどねぇ」
「次はあたいだ!」
『名前:望月 茜
職業:盾使い』
「盾使い。これは大きな盾で大勢を守ることのできる職業です」
「へぇ~」
「次は私ですね」
『名前:梓玲 光
職業:聖女』
「せ、聖女...ですと!」
「な、なにかすごいのですか?」
「すごいなんてものではありませんぞ!聖女とは女性の神官が三年間修業してもなおなれるか分からないほどすごい職業なのです!」
「そ、そうなのですか!」
「ええ、すごいのです。あなたはきっと前の世界で善良に生きていたのでしょう。これからもその生活を維持できるようにがんばってください」
「はい!がんばります!」
「え~っと...そろそろ私いってもいい?」
「あ、すみません。取り乱しました。どうぞどうぞ」
「は~い」
『名前:希和 春華
職業:魔法使い』
「あなたは魔法使いですね。魔法使いは最大で三つの属性の魔法が使えます。賢者と違うところは頑張っても基本属性は三つが限度です」
「そっか~。残念。お兄ちゃんに勝ちたかったのに」
「いえいえ、まだ話は終わっていませんよ。たしかに基本属性は三つが限度ですが、それはあくまでも基本です。基本属性の応用である複合属性は賢者より覚えられる量が多いのです」
「そうなの!?」
「ええ、この属性の話は魔法の講義の時に詳しく説明されると思いますのでその時に聞いて下さい」
「は~い!」
「では、次の人」
「...私」
『名前:希和 静華
職業:魔術師』
「魔術師。これは魔法使いとは違い術を行使するには必ずなんらかの媒体が必要です。そして媒体はなかなか手に入らず、不人気なのです。しかし、媒介を使用した術は賢者も超えるといわれています」
「...おもしろそう」
そういうと六人組は戻っていった。
「では、次は俺らだな」
「そうだな、兄弟」
「だな。兄弟」
「では、この台座に」
「ああ、わかった」
『名前:役座 訳
職業:槍術士』
「槍術士は攻撃、防御の両方に長けた職業です」
「ほう」
「じゃ、次は俺だな」
『名前:役座 鷺
職業:弓使い』
「弓使い。この職業は遠距離からの狙撃が得意な職業ですな」
「そうなのか」
「では、最後は俺だな」
『名前:役座 浦至事
職業:機械技師』
「機械技師?すみませんがこの職業は初めて見ますな」
「む、そうなのか。残念だ」
「ですが、あまり問題はありません。自分の魂の本で自分の職業は詳しく見れますから」
「なら、問題ないかな」
そういいながら三人組は戻っていった。
半分近くの人たちの確認が終わったが、言い換えるとまだ半分近くも残っているということだ。さすがにつまらないな。
面倒だし、一応提案しておくか。
「あの、すいません。このままだと時間がかかりすぎるので、まとめてみることはできないのですか?」
「できますよ。そうですね...確かに、このままでは時間がかかりすぎますね。それでいきましょうか」
無事に俺の提案は受けいられたようだ。これなら時間もかからないな。よかったよかった。
他の人たちも自分たちの力を試してみたくてうずうずしているようだ。結果的にこの提案はよかったようだ。
「では、まだ確認していたない皆様。この台座に皆様の本を置いてください。
置いた後は先ほどと同じようになります。回収する場合は手に意識を集中させ戻れと念じると自分の本が戻ってきます」
ローフさんが言い終わると残っていた人たちは台座に自分の本を置きに行った。
そして、最後の人が台座に本を置いた。
『名前:鮮 圭角
職業:侍』
『名前:慧林 造花
職業:弓術士』
『名前:頑田 草太
職業:剣士』
『名前:佐藤 健
職業:拳士』
『名前:玄核 西進
職業:陰陽師』
『名前:在田 噴霧
職業:水使い』
『名前:希林 千切
職業:厳正者』
『名前:奈雲 生
職業:薬剤師』
『名前:霧島 散水
職業:暗殺者』
『名前:寝位 綾釣
職業:死霊術士』
『名前:桐新 銅鐸
職業:堅聖』
ここまでは普通だった。まぁ結構めずらしい職業もあったけど。
最後の一人。この人はとても有名な職業だった。なんども読んだライトノベルの主人公の職業。
『名前:獅子島 剛己
職業:光の勇者』
勇者
「ほぉ!あなた様が勇者ですか。勇者とはとても強大な力を持つ者のことをそういいます。この世界にはあなた様の持つ光の勇者や水の勇者、炎の勇者などの属性勇者と、職業ではなく称号を贈られた勇者の二種類います。
称号を贈られた勇者は職業が勇者ではないため、職業をもつ勇者には力では勝てませんが、力以外では敵うこともあるので、両方とも重宝されているのです」
「なるほどね。だいたいわかったよ。ありがとう。あとは自分で本を読んで確認するから」
「わかりました」
そういうと剛己は戻っていった。
「さて、これにて皆様の職業の確認もおわりました。今日はお疲れでしょうから、部屋でお休みください。皆様の部屋はすでにご用意されています。それぞれの付き人に従って自分の部屋にむかってください」
ローフさんはそういうと扉からメイドの服を着た女性たちが入ってきた。
その人数は俺たちと同じだった。おそらくこの場所に来るときに指示を出しておいたんだろな。じゃなければこんなぴったりの人数になるのは少々おかしい。
来るときに指示を出していなかった場合、おそらくその人数しか召喚しない術式なのかもしくは多かった場合は増やすか少なかった場合は減らしただろう。後者ならばまだいいが、前者の場合だったらさすがに信用はできなかったかな。
そんなことを考えているうちに黒髪のメイド服を着た女性が話しかけてきた。
「失礼します。私はあなた様の身の回りの世話を任されましたセリス・ミナモトと申します。よろしくお願いします」
「よろしくおねがいします」
(ミナモト...おそらく源かな。てことはこの人の先祖か親などは日本人ということか)
「では、さっそくあなた様がお休みになるお部屋に案内いたします。ついてきてください」
「はい、わかりました」
そういうとセリスさんは前を歩いた。俺はセリスさんの後を素直について行った。
(ついでだ。今のうちに自分の職業の説明を見てみよう。ローフさんに聞いても全く分からなかったし。
自分の力についてはさっさと理解しておかなければ)
俺は自分の本に意識を集中し始めた。
説明にはこう書いてあった。
『鍛冶師:鍛冶師の力を持つ職業。しかしなんらかの方法でその力は変化する』
なんか意味深な説明だな。しかし、なんらかの方法...か。きになるが、今は鍛冶師の力しかないんだ。この力にまずは慣れよう。
「きゃっ!?」
「おっと」
どうやら集中しすぎたようだ。誰かとぶつかってしまった。
相手はまだ15歳ぐらいの少女だった。髪色は黄色で瞳はスカイブルー。
「すまない、ケガはないか?」
「だ、大丈夫です。すみません。少々よそ見をしていまして」
「いえいえ、私の方もよそ見をしていましたので。すみません」
「いえいえ...えっと、その髪色は異世界からいらっしゃった...」
「はい、海里影斗ともうします。失礼ですが、あなたの名前は?」
「私はエリール。エリール・レイオス・マグネスです」
「レイオス...ということはあなたは王族の方ですか?」
「はい、この魔法国家レイオスの第三王女です」
「王女さまですか。これはとんだご無礼を」
「いえいえ、私もよそ見をしていましたので」
「そうですか。ありがとうございます」
「すいませんエリール様」
「いえいえ。こちらこそよそ見をしていたのでこちらも悪いです」
「そ、そうですか。わかりました。すみませんでした」
「いえいえ、では。私はお母さまに呼ばれておりますのでこれで」
「はい。わかりました」
「では」
そういうとエリールは速足で去っていった。
エリールを見送ると後ろからセリスさんが話しかけてきた。
「大丈夫でしたか?すみません。もう少し早くにお声掛けすればよかったですね」
「いえいえ。よそ見をしていた俺も悪いので大丈夫です」
「そうですか?わかりました。では、今度こそお部屋にご案内いたします。といってもすぐそこなのですが」
「そうなんですか?」
「ええ。そろそろつくので声をかけようとしていたのですが、その前にエリール様にぶつかってしまったので」
「そうだったんですか。まぁ過ぎたことなのでどうでもいいですね。では案内をよろしくおねがいします」
「はい。わかりました。ではこちらです。こんどはきちんとついてきてくださいね」
「はい。わかりました」
俺の言葉を聞くとセリスさんは前を向いて歩きだした。
さっき返事をしてしまったし今回は余計な事はしないでおとなしくついていきますか。
三分ほど歩いたところで前を歩いていたセリスさんが立ち止まりこちらに振り返った。
「では、この部屋がカイリ様がお休みになるお部屋です。私は隣の部屋で待機しておりますので、用がある場合は備え付けのベルを鳴らしてください」
「わかりました」
「では、私はこれで。なにか用がございましたらベルでお呼びください」
「わかりました」
俺がそう返事するとセリスさんは隣の部屋に入っていった。
俺はセリスさんが部屋に入っていったのを確認すると自分の部屋に戻った。
部屋の中は高級ホテルのような内装だった。広さはそこそこで家具は結構豪華だった。
さて、じゃまずはできそうなことの確認だな。
能力としては鍛冶に結構な修正が入って、他にはスキルとして能力がある。
スキル:鑑定眼 視認したものの詳細を知識として入手する。
スキル:生産者の槌 鍛冶に使用できる槌を出現させるスキル。戦闘には使用できない。
スキル:固有属性 本来は存在しない属性。誰かの強い思いで誕生した属性。
ユニークスキル:影箱 固有属性:影で生み出された箱。自身の影から出し入れが可能な箱を出現させる。容量はほぼ無限。
これは...なかなかチートだな。特に影箱と固有属性だ。影箱は容量がほぼ無限と書いてある。これだけで充分使えるし、だれにも見つからない隠し場所としても使える。
固有属性はおそらく複数の属性がある。ただの感だけど。まぁ今使えるのは『影』の属性。この属性は結構応用が利くかな。
まぁ今日はこんなところにしといて、さっさと寝るか。明日はできれば鍛冶の仕方を教わりたいな。
今回は一つ目です。おそらくあと二つか三つで終わらせます。
そしたらVRMMOの方も書き始めます。