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君の、君の神様になれたなら

作者:

文字を読むのは嫌いだ。


他人の書いた文字が頭の中に入ってその人を想ってしまう事が嫌いだ。


ーーー少し斜めに掛った眼鏡を元の位置に戻す仕草。柔らかい日光に包まれ、薄っすら埃のかかるあまり広くない本屋のレジで北條旅人という、その男は座っていた。


小説や漫画の世界に憧れていくらその場所を想ってみたってそこに行けた試しはなかった。


無論僕の人生経験が少ないだけかもしれない。


憧れは憧れでしかなく、言葉では夢のない無気力な表現になってしまうのに、実際のところそうであると思うことを簡単な否定で無くす事が出来ないのは事実であると思うのだ。


曰く人生経験という。


日々本屋で働く中で僕よりも年上のお客さんを見かけることだって少なくはない。


でもその人が全知全能ではない事など容易に判るはずだ。言わなくても全知全能な人間などいない。


全知全能な人間などいない事を否定したいと思うのは、どうしようも出来ない事態なんていくらでも存在するからだろう。


消化して消化して昇華して…。


目の前に積まれた本の山を顧みる。ただ眺めるだけでは何冊も積まれた…、何冊も、と一区切り出来るような状態で存在する一冊一冊の本達。


昔は、読む事も苦痛では無かったのに。どうしてだろうか。


知ってしまったのだろうか。いや、上手くなってしまったのかもしれない。読むという行為が。


そんな事あるのかなんて今は知ったことではないとしても。


知ってしまうのだろうか、物語以上の何かを。


伸ばしても触れられないような、もやのかかるような。


一瞬ではないのに刹那の娯楽。


終わってしまったら、放心してしまうような何か。


旅人は机の上に置かれた本を眺める。


「禁書…」


何故本を読むというだけの行為をこんなにも躊躇してしまうのだろう。


面倒臭い?他にやらなけらばならないことがある?忙しい?時間がない?他にやりたいことが、大事なことがある?


本を読むという一次的な行為にかける礼儀など重んじるものではない。そこで完結してしまうのなら。


影響されてしまうのが判る。


届かない届かない手を伸ばすことが叶わない世界で、


生きたいと、思えない。


存在する無数の本に、一体どれ程の影響を受けるだろう。これには言葉のあやがあるのだが。


どれだけの影響を受けながら読み進める、と言った方が近いかもしれない。


何を守ってるんだか。


この先に進んだら一体どれだけのものが崩れるだろう。


こんな興味を持つことに一体何の意味があるのだろうか。



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