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スカイクラウド ―それは復讐の物語―  作者: 青木珊瑚
第1章 「俺はシリアス。シリアス・スカイクラウド。記憶を探す旅をしている。」
13/16

 君の意識は吟遊詩人の前に戻される。

 とても苦しい、何とも言えない感情が君を襲う。

 怒りと悲しみが同時にやってきたその感情は、しかしすぐに収まる。

 まるで自分が物語の人物と一体になったような、不思議な感覚。


――1人の男の物語。


 吟遊詩人の女は君の事など気にも留めず、詩を続ける。

 しかし、君は立て続けに体験する疲れで、少し休憩したいと思った。

 吟遊詩人に別れを告げて、街の中を歩く。

 旅人の街と呼ばれるだけあり、いろんな人々で溢れている。

 街に立ち並ぶ店も様々あり、多くは宿を兼営している。


 君は少し気になった事があった。

 街を見下ろすことのできる丘の存在だ。

 高い建物の並ぶ街中では見えないが、外に出れば見えるのではないかと考え、一旦街の外に出ることにする。

 街の外に出た君は、辺りを一周見渡し、そして見つけた。


 街から歩くこと15分くらいで、その丘の頂上に着く。

 空は青く、白い雲が浮かんでいるのがよく見える。

 街を一望でき、非常に良い景色だ。

 しかし、君が予想していたようなものは特別何もなかった。

 何の変哲もないただの丘である。

 詩の中にあった墓石のようなものは見当たらない。

 少しがっかりして丘を降りようとした時だった。


――ある街に男の姿がありました。


 君はその声に体をびくりと跳ねさせた。

 吟遊詩人の女がそこにはいた。


――街は煌びやかな生活を送る者。そしてその闇に生活する者。


 何故こんなところにいるのか。

 まさか君を追ってきたとでもいうのだろうか。

 しかし吟遊詩人の女は詩以外の声を出さない。

 だた静かにリュートの奏でる音だけが丘の上に響く。


――まだ何も知らない彼を迎えたのは、その街の当たり前の光景でした。

次回更新は21日20時30分頃予定

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