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追放された俺は逆行転生した〜TS吸血姫は文化を牛耳る〜  作者: 石化


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すろーらいふ

 

 麻の種籾をもらって、蒔いてみた。


 大麻の成長はゆっくりだった。2年でだいたい1mくらいだろうか。一回目は実験と思って特に世話をしなかったからかもしれない。

 刈り取って、紙工房に持っていくと大層喜ばれた。

 なんでも、布に需要が集中して、紙に回って来る麻が減ったらしい。

 いいことをしたな。

 この調子でもっとたくさん麻を作っていくぞ。


 この前は、きっちり一個ずつ植えて行ったけど、前回の様子を見ている限り、そんなに気を使わなくても大丈夫そうだ。丈夫な植物のはず。


 あとやるべきは生産量をアップする試みだな。


 なんだろう。肥料を与えれば問題ないと思うんだけど、どういう肥料がいいかな。まずは草木灰でも試してみるか。


 収穫した大麻は、成長期間2年で大きさは2mだった。

 うーん。成長は早くなったけど、できればもっと早くなっても良いんだよな。


 なんだろう。あとは、肥溜めを用いるくらいしか思いつかない。

 ⋯⋯あれはできればやりたくない。流石にそこまで女を捨て去るわけには⋯⋯。


 しかし、麻の安定供給が紙の安定供給、ひいては小説の普及に繋がるんだ。甘えたことは言ってられない。やれることはなんでもやらないと。


 堆肥を混ぜてみた大麻の結果は2年で1、5mだった。

 前のよりも悪くなってるんだが。なんでだよ。


 ひょっとしてあれか?

 連作障害ってやつ。

 同じ場所で同じものを作り続けることで、育ちが悪くなるらしい。


 土地を休ませる時期が必要という話だった。


 なるほど⋯⋯。仕方ないな。


 とりあえず農家は一旦休業しよう。


 ●


 都の大路を歩きながら俺は考え事をしていた。


 随分人が集まって活気が出てきている。ゆくゆくは本屋も簡単に開いているような世界にしていきたい。そのためにも大麻を大量生産しないといけない。


 どうしていくのが正解だろうか。


 ふと、気がつくと、街の一画に人が集まっていた。


 興奮した声が漏れていて、活気がある。


 何をやっているのだろうか。


「そこだ!やれ!東王あずまおう!」


「躱せぇ!都将みやこのしょう!」


 二羽の鶏が互いに戦い合っていた。


 闘鶏ってやつか。


 自分以外が戦うなんてと思っていたが、なかなかどうして悪くない。


 雄鶏たちは、飛んでお互いの爪を交錯させ、つつき合い、闘志を燃やしていた。

「東国から来たという東王は体が大きい。闘鶏においては体重が絶対の意味を持つ。この勝負、勝ちは揺るがないだろう。」

「いやいやいや。都将だって、こっちで一番の雄鶏の子供を代々継承してきた一羽だぞ。この血統の強さは折り紙つきだ。」


 解説おじさんたちが訳知り顔で語っている。


 なるほどなあ。面白い。闘鶏の世界にも色々なドラマがあるようだ。


 と、決着がつきそうだ。


 両方ともに疲れが見て取れる。次の一撃が最後だろう。


 東王が突進を敢行した。思い切りの良い動きだ。


 それに逆らわず、都将は、体を引いた。

 それは、東王の動きを完璧に見切ったかのようなタイミングだった。

 わざと置かれていたとしか思えない都将の足が、東王のバランスを崩し、東の王は無様に転がった。


「うおおおおー!」

「都将の勝利だ!!!」


 ⋯⋯。何あの鶏。そんじょそこらの人間よりも戦いの技術に長けているぞ。


「やはり都将か、強いものをより強く改良して行けば結果は違ってくるのだな。」


「東王も強かったが、所詮は一代限りよ。」


 解説おじさんたちはしきりに頷いている。


 暇なのかな⋯⋯。

 他の人々はしきりに嘆いたり、賭け金の交換に勤しんでいるというのに。

 いやこっちはこっちでロクでもなかったわ。


 でも、闘鶏は面白かった。またやってたら見たいな。

 今度は金を持ってくるか。


 金は基本的にはいらないので放置している。

 そんなものなくても俺は生きていけるし。


 ただ、天皇家が謎の献金を毎年くれるので、腐る程金はある。

 大丈夫?不透明支出に当たらない?


 というわけで金の心配はいらないのだ。


 それはそうと、大麻の大量生産の答えが見つかったかもしれない。


 そう。それはつまり、品種改良だ。


 2年でやっと育つ。

 なら、それを一年で育つようにする。

 連作障害が起こる。

 なら、連作障害を起こしにくいタネを増やす。

 これらを目標に品種改良をしてみれば、俺の考える最強の大麻ができるに違いない。


 幸い、俺の持つ時間は無限だ。品種改良に充てる時間は長いほうがいいに決まっているから、有利すぎる。


 大麻農家として頑張るぞー!


 ⋯⋯なんか、間違ってる気がする。


 気のせいだな。おそらく。



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