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黒歴史を晒していく『馬鹿に馬鹿って言った話』

作者: 一氿

おそらく中学から高校の間の黒歴史です。小学生時代と違って、痛々しさが段違いです。ちょっと自分では笑うに笑えないレベルの恥ずかしい作品ですが、笑っていただければ幸いです。

 他人に、変わっていると言われる事がある。

 そうはいっても、『頻繁に』というわけではない。

 三年に一度…いや一年に一度?まあ、その程度だ。仲良くなったばかりの友人に、ちらっと言われたり、馴れ馴れしいクラスメイトにさらっと言われたり。年を取るにつれて、頻度は少なくなったが、たまに思い出したかの様に言われる時がある。

 そう言った時は決まって、適当に流すものの、心の中ではうじうじと考えたりする。それが好意的な話であるのかどうかなどを。

 『変わっている』と言われる事を失礼だな、とはあまり思わない。そうかも知れないと思う反面、私程度ではその分類には入らないだろう、だなんて考える。

 私の特徴を敢えてあげるならば、『友達が少なく』、『内弁慶で』、『考え無し』の『インドア派』といったところだろうか。さして目立ったところは無い。クラスに一人はいる、没個性的な人間だと自分では考えている。

 つまるところ、クラスの人間からは浮いて見えるけれど、クラスからは浮いてはいない。実際、クラスの外を出れば、私を気にかけている人物などほぼいないだろう。

 少し話は変わるが、『自分で天然だとかいうやつは天然ではない』だとか、『変人には変人の自覚が無い』なんて話を聞いた事がある。

 そんな話を聞いたとき、まず考えたのは、自分が当てはまるかどうかだった。まあ、まず当てはまらないだろう。私は多少、『自分は他人とは違う』なんて、思春期特有のどうしようもない私感がある。ちょっとした違いを針小棒大にしようとしている節があることを、自覚している。恥ずかしい事だが、年頃だから仕方が無い。

 つまるところ、私はその話の通りにいくと、ちょっと痛い普通の人なのだ。

 だから『あなたって天然だよね』なんて、言われたとしたら、微妙な立場に立ってしまうのだ。

 もちろん『そうだよ!天然だよ!』とは言えないだろう。だからといって『そうかな?』なんて言い方は、いかにも肯定しているようで歯痒い。『違うよ!普通だよ!』なんて、否定するのはむきになっているようだし…前述した話を知っていると『やっぱりそう思っちゃう?困るなー』ってな感じで、まんざらでもなさそうな態度になる。それは一番、私が嫌いなタイプの反応だ。

 では、どうするか。私はそんなことをいう友人もいないのを知りながら、ある種妄想めいた考えを巡らしていた。だいだいいきなりこんな事を言う人間は、周囲の人のほとんどに言っている…だろう。くだらない話だ、なんて馬鹿にしながらも、私はその考えを楽しんでいた。どうせそんな事を言ってくる人物などいないのだから、想像だけでもしてみよう。そう思ったのだ。

 夢見がちな少女が、『可愛いね』っていわれたら、どう返そう!…と夢想するのと似たようだものだ。それに比べると、大分可愛げがないが。

「篠原さんって天然だよねー」

「…天然って天然ぼけの略だよね?それって私が抜けているってこと?」

 後悔した。本気で後悔した。

 ある日のこと、とあるクラスメイトが会話の途中に突然そんな言葉を投げかけて来たので、私は先日たどり着いた『遠回しにドジを注意されているのでは?』という考えを展開した。

 当然のごとく、もちろん彼女にそんな気は毛頭なかっただろう。

 そうして私は自覚した。

 私は自身の個性のひとつが『馬鹿』であることを、やっとのことで気づいたのだ。




馬鹿に馬鹿って言ってねーじゃねえか。自分で読み返した後にそう思いました。でもこの作品、ご丁寧に題名が付けてあったんですよ。もう、なんというか、いくつになっても自分は自分なんだなぁと考えさせられるような馬鹿っぷりです。どうもありがとうございました。

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