4.消える笑顔
外に出ると、城の衛兵達が取り囲んでいた。
私を見るなり全員ひざまずいた。
「姫様、お迎えに上がりました。」
「・・・・あっ、はい」
(みんな、私自信を見ていない。アーデルだったらきっと心配してくれるのに・・・。)
うつむきながら馬車に乗り込むと、アーデルの両親が家から出てきた。
できるだけ馬車に近づき、深々と頭を下げた。
(私を見てくれたのかな?)
その時が、最後の私の笑顔でした。
========================
それから2年。
私は9歳になった。
ここ2年の私の変化は、笑わなくなったこと。
アーデルが死んでから、私は一度も笑っていない。だれにも心を許していない。
アーデルのお墓には毎日いけそうにないので、3歳のころから作り続けている″森″に作ってみた。
といっても、簡単な墓石を作り花を添えるだけ。
私は最近、ほとんどの時間をここで過ごすようになっていた。
お勉強や食事以外は、ずっとこの小さな森に引きこもっていた。
誰も立ち入ることは許していない。
「アーデル、今日新しい芽が出ていたの。どんな花なのかしら?」
答える者はいなくても、一人話し続ける。
「わたしね、最近誰とも話していないの。けど誰もそんなこと気にもとめないわ。つまらないわ・・・」
今にもあふれ出しそうな涙を抑えるため、気を紛らわそうと鼻歌を歌いだした。
「♪~~♪~~」
鼻歌を歌いながら、花達の手入れをする。
そして一息ついたとき・・・
ガサガサッ
私はビクッと肩を震わせた。音がする後ろを振り返ってみる。
まだ、ガサガサと葉がゆれている。
私がいる場所は、城の隅。すぐ横には、城と町を区切るための柵があった。
音は柵の向こうだが、かなり近づいてきていた。
思い切って声をだす。
「だっ、誰・・・?」
ガサガサガサ―――――
「ぷはッ!」
「!!」