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9話 錯乱から鎮静へ

最近何故か途方も無くイライラする。

原因は恐らく寝不足……だと思うんだけどその寝不足の原因が今一わからない。一日中他人に監視されている…いや、別の方向へ考えが持って行かれそうになるのだ。人化の術式を構成してる最中に不意に誰かの視線のようなものを感じたり、諜報中に誰かの面影が映りこんだりと散々だ。


おかげで術式の構築が捗らない。諜報も今一進まない……嫌になってくる。


しかも部下の一人から呼び出されるしもう嫌だ。


名前……は覚えてない。いや、覚えようとしてないんだ。駒に名前なんて必要ないから。

あれ?可笑しいな。何で覚えてないんだ?クーデターを起こすのに必要なものは信頼関係だ。部下の信頼や忠誠が薄くて内通なんてされたら失敗して殺されてしまう。

そういう事態を避けるためにも男女も種族も年齢も関係なく接して確実に勢力を作り上げる予定だったんじゃ…………いや、どうでもいいか。


どうでもいい?よくないだろ。


どうでもいい


よくない


どうでもいいじゃん


よくないから


どうして?


何で?



あれ?私はいったい誰の為に?


















???サイド



今俺たちは城の一角に潜んでいる。

狙いは最近副隊長になったマコトって奴だ。


「なあ、本当にアイツ正気じゃないのか?」


俺たちが集まった理由、”正気を失った副隊長を助ける”なんて話を持ちかけてきた魔道士のリーン=

アルバートに聞いてみる。

リーンは魔道士としての腕前は宮廷魔道士並みなんだがアルバート家は政争に敗れて没落していて魔道闘士隊に回された一人だ。


「間違いないよ。最初は情緒を不安定にさせる薬の匂いだったからそこまで気にしなかったけど今は催眠用の危険な薬物の匂いをしてる。」


言い忘れたがこいつは魔道士の癖に薬の知識も半端じゃない。給金だってロクに出されず、任務で負傷しても公費の出ない魔道闘士隊では重要な役割を担ってる。


「さ、催眠ってどんな!?命に危険があるんですか!?」


えーっと、こいつはルルージュだったな。刀っていう珍しい武器を使って魔道闘士隊でもかなり上位の腕前を持ってる。ま、俺には敵わないけどな。


「命の危険というより精神的なものだね。精神に干渉して好きでもない相手を好きにさせたりする類の薬さ。」


「たたた大変です!!マコトさんが!マコトさんが何処の馬の骨ともわからない男の餌食に!?許せません!!マコトさんは……マコトさんのはじめては……わた…私が……はうううううう!!!」


「おい、こいつも薬の影響受けてんのか?」


「いや、地だね。百合ってやつだ。」


……いや、確かに魔道闘士隊は変人が多いぜ?だからって身元不明の無茶苦茶つええ格闘家に気品ある百合の剣士って……変人すぎだろ。


「賑やかになるね。さて、改めて作戦を説明するよ。副隊長の精神は今相当不安定だ。きっと奇襲も一度だけなら成功する。だからレイルが最初に襲い掛かって注意を引いてそこへルルージュが突っ込んで確保、レイルも一緒に押さえつけてその隙に僕が解毒薬を使う……大丈夫だね。」


「おう。」


「はい。」


この仕事をやるのは俺たち三人だけ、他の連中はあんまし仲良くねえんだよな。

てか、他の連中じゃ足手まといって言うのが本音だ。マコトが就任したとき隊長以外の全員と模擬戦して全勝するとか言う化物染みた真似をしやがったからな。今じゃマコトに文句をつける奴は誰一人居ねえ。隊長だって貴族に微々たる献金をして何とか今の地位を保ってるだけだからな。ビビって反論なんてしやしねえ。


「来たよ……うん、予想通り相当参ってるね。でも思ったより錯乱が酷い……普通ならとっくに落ちてるよ。」


武だけでなく精神も強いってか?洒落になんねえな。


「凄いです……流石マコトさん……」


目を輝かせてる奴もいるけどな……


「じゃ、手筈通りにね。」


「おうよ!」


適当に返事をして俺はマコトに向かって走り出す。そして愛用の槍”ファブニール”を構えて真っ直ぐマコトに向けて突き出した。


「!?」


やるじゃねえか……さっきまで頭押さえてやがったくせに今は最低限の動きでファブニールを躱しやがった。しかも槍の柄を掴んで離さねえしよ。


「ウゼェ……駒の癖に私に武器向けるなんて……信じらんねえ……あーイライラする。」


ブツブツ言ってやがるが聞こえやしねえ。喋るか握るかどっちかにしろよ!何で男の俺が引っ張ってんのにピクリともしねえんだよ!


「とりゃー!」


「がっ!?」 


ゴッ!


「うおっ!?」


左からマコトに飛びかかったルルージュは勢いのままマコトに突撃して地面に押し倒した……ああ、いいぜ。作戦通りだけどよ……


「……………………(ピクピク)」


マコトの奴思いっきり頭打ち付けて気絶してんだけど……つうか俺にも凄まじい衝撃がきやがったし……どんだけバカ力なんだよ。


「お疲れ。じゃ、さっそく解毒しようか。」


そう言ってリーンはピンに入った透明な液体を真の口に流し込む。気絶してるせいか大分口から洩れちゃいるが口が動いてるところを見ると飲んじゃあいるんだろ。


「うっ……ううっ……」


お、速くもお目覚めか?


「にっがあああああああああああああああああああ!!!!!なにこれ!?青汁!?風邪薬!?ピーマン!?どれにしろにがっ!!苦い!!口の中ににがりがああああああああああ!!!」


ああ、そういえばリーンの作る薬は効果は抜群だけど苦かったな。

もうおれたちは慣れたけど初めてあれを口にしたらそうなるよな。


「マコトさん!?お気を確かに!?マコトさん!!」


「わ……我が……天道………最早……貫け…………ぬ……か……………ルルよ……後は……任せ……ぐふっ」


「マコトさああああああああああああああああああああああああああああああん!!!」


あまりの苦さに気を失ったっぽいけどまあ、自分でぐふっとか言ってるうちは大丈夫だろ。



無理ありますかね?


今後も多分ちょっと無理がある展開あるかもしれませんが読んで頂ければ光栄です。

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