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7話 戦いから謀略へ

初のマコト以外の視点が入ります。


戦闘は少なめです。


前回6話が入ってなかったので修正しました。


残酷な表現が入ってくるかもしれないので追加しました。

第1試合、対戦相手は誰かに雇われたらしき男だ。


醜く歪んだ顔……戦う者とは思えないほど膨れた体……身の丈に合わない豪勢な槍……ああ、くだらない。


「なんだなんだ?いい女だなおい。へっへっへっ、胸は貧相で顔も大したことねえが…ま、いい声で鳴いてくれるだろうな。」


醜悪な声……耳障りだ。


「どうでもいい…速く始めよう。」


「いいぜ、俺が勝ったら俺のおもちゃにしてやるぜ!!」


男は槍を構えて突き進んでくる……構えも何もない、隙だらけで遅すぎる歩み……私のやるのはただ前に出ること、そして奴の前で止まる、ただそれだけのはずだ。


「へっ?」


この程度にも対応できてない……本当にレベルが低い。


「この国、ホント重症ね。」


「っ!?」


とりあえず目の前に男は顔面に肘打ちを決めて昏倒させた。この程度の一撃で昏倒するとは本当に弱い過ぎる。

これならまださっきの賊の方が手ごわかった。


「さて、次は誰かしら?」


連戦ではないので会場を後にする、客席ではバカな貴族共が顔を寄せ合っている。

内容はきっと”誰があんなのを呼んだ””何とかあいつを負けさせろ””こっちに引き込めないか?”とかその程度だ。

誰一人として闘志を沸かせるものがいない。


待合室に戻る途中で4人ほどの男が待ち構えていた。


想定の範囲内だけど。


「何の用?」


「何、簡単な話さ。次の試合負けてくんねえ?」


「そうそう、そうすりゃ痛い目見ることねえしさ。」


どうやら次の試合相手の手の者みたい…邪魔


「死ね。」


「うぐっ!?」


「い……息が……」


「ぐるじぃ……」


「(パクパク)」


4人全員が喉を押さえて転げまわる、一人なんてもう口をパクパクさせてるだけだ。本当に弱すぎる。

私がやったのは水の膜をこいつらの口の中に撃ちこんだだけ、魔力で多少押してやれば簡単に破れる程度の物なんだけどこいつらには十二分に効いているようだ。


ほら……もう真っ青。


「だ……だずげで……」


4人のうち2人はもう動かない、残る一人は私の足に手を伸ばしもう一人はもうじき死ぬだろう。


「後悔しなさい。あんな奴らに雇われたこと、身の程を弁えなかったこと、そして何よりこの私の邪魔をしてしまったことをね。」


男は絶望したような表情で死んだ。同時に彼の下半身から異臭が立ち上る……ああ、そういえば窒息すると色々垂れ流すんだっけ。


他の3人も例外じゃないし……ま、ほっとこう。


「死んでも文句は言えない……確かそういうルールだったよね。」


















正直驚いた。


確かに彼女は賊を退けたしあの騎士も腕が立ちそうだった。


「まさか、これほどまでとはね。」


今現在大会の準決勝だ。試合はマコトという少女とこの国の貴族の息子。試合は一方的でマコトが繰り出される剣技を軽々とかわして見せ、一方で容赦なく拳を叩き込んでいる。


ふむ、あの手甲…手を守るものじゃなく威力を上げるための物みたいだ。現に殴られた鎧はすでにそこらじゅうが凹んでいる。

お、マコトが懐に飛び込んで強烈なアッパーを浴びせたぞ。完全に気を失ったな。


「エルディス様?あの愚民我ら貴族の子弟を殴っておりますぞ!不敬ではないですか!?」


……ああ、今負けた子供の親だな。


「何を言う。この大会は庶民からの参加も許しておるのだ。それに彼らも騎士になるなら賊に殺されることもある、それに比べれば安いであろう。」


「ですが……」


「今でこそ目立った戦いは無いが、北では小競り合いが起き魔獣や賊は未だ多い。ならば有事に備えて少しでも強い者が騎士になるのは望むところだろう?それとも、貴殿は優秀な人間にこられると困るのかな?」


「め、滅相もございません。」


「ならばよかろう。それにあの少年が強ければ無様な姿をさらすことも無かったであろうしな。」


そこまで言うとようやく引き下がる。やれやれ、本当にどうしようもないな。


先ほど待合室付近で4人ほどの男が死んでいた。外傷はないため死因は不明だが私の予想ではマコトが殺したんだろう。大方マコトを負けさせるために向かわせたのが返り討ちにあったに違いない。


……ふむ、やはり欲しいな。こうなれば第2王子特権でマコトとルルを私の護衛に抜擢するか?幸いルルも準決勝を勝ち抜いていることだし腕前に関しては文句のつけようもあるまい。


「王子。」


「どうしたカーク?」


話しかけてきたのはこの国の宰相のカーク=ブァンウ。茶色い髪を後ろで括り眼鏡をかけたこの国で私が信用できる数少ない人物だ。


「あの二人の抜擢はご遠慮ください。むしろ騎士団内で行動させた方がよろしいかと。」


……こいつは何時もこうだ。私の考えを先読みして危ういと思えばすぐに止めに来る。だがそれも大体は遠まわしに警告してくるのだが今日はやけに直接的だな。


「何故だ?」


「ルルージュという娘はともかくあのマコトという少女……私に接近してまいりました。」


なんだと?


「本当か?」


元々小さかった声を更に小さくする。


「正確にはウルフに手紙を持たせて来たのですが……この大会が終了後実権を第2王子に持ってきたいと。」


マコト、君は実に不思議な少女だと思っていた……だがそれは間違いだったようだ。君は、不思議どころか途轍もなく切れ者だったんだね。


「信用できるよ。僕が保証する。」


「そういうと思いました。ですからその辺も含めて行動いたしますゆえ…護衛への抜擢はお控えください。」


「わかった。カークが言うなら間違いはあるまい。」


「お聞き届けくださってありがとうございます。」


椅子に座る僕の隣に座っていたカークは何事も無かったかのように闘技場を見下ろす。

これまでの会話はカークの風の補助のおかげで他人には漏れていない。


全く……政治・軍事両方に通じ更に先読みにも長け、なおかつ風魔法を使わせればこの国に並ぶものなしとまで言われるその手腕……羨ましい限りだよ。




エルディス視点でお送りしました。


今後もしかしたら第3者視点でお送りすることがあるかもしれません。

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