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6話 城下から闘技場へ

えー現在わたくしはアルトラズの首都リーレイアにおります。


「町はきれいなのにあんまり活気がありませんね。どうしてでしょうか?」


隣にはルルとアーサー、王子様はこの町に着くと同時に騎士に連れられてお城に連行されてました。両腕掴まれて殆ど引きずる形で連れてかれてたら連行と変わらないよね。


「エルディス様も言ってたでしょ?この国は権力争いの真っ最中。下々の事なんて見ちゃいないのよ。いつの世だって得をするのは権力を握った連中か金持ちだけなのですよ。」


「…悲しいですね。」


しょんぼりとするルル…可愛いけどさ


「なんでしょんぼりしてんの?」


「……何でって、民があっての国でしょう?それなのにその民を踏みつけてまで自分の欲を優先するなんて……」


「普通だよ普通。権力者なんて大抵そんなもん。一度味を占めたら手放さないためならなーんでもする。当然の行為だよ。悩むだけ無駄無駄。」


「……マコトさんって達観してますね。」


「まあね。」


達観というより理解してるだけどね。興味本位で読んだラノベとかんネット小説だよ貴族とかはかなり貪欲だったし、この世界でも例外じゃないって思っただけさ。


と、それより仕官だ。エルディス様によると丁度本日この国で武術大会が行われるらしい。そこで好成績を収めた者は無条件で仕官することが出来る。伝統的に庶民からの参加も受け付けているので参加するだけなら問題ないらしい。


ま、当然本業の騎士とか仕官代わりに貰える賞金目当て、あるいは名声目的の傭兵や冒険者、一部は自分の力試しもいるだろうけどそんなのは極一部に違いない。


そこに私たちも参加する。参加費は銀貨1枚と格安なので問題はない。


「ところで、ルルの武器って。」


「はい。お爺様から譲っていただいた”雪桜”という剣です。」


剣…ねえ


刃が片方しかなくて剃りのあるものを剣と言い切りますか。


鞘の模様とか形から見てどう考えても刀です、本当にありがとうございました。


「でもお爺様何故かこの剣で打ち合っちゃいけないっていうんです。結局どうすればいいのか聞く前にお爺様は亡くなられて。」


確かに刀で打ち合いはしたくないよね。刀って斬ることを主体とした武器だからまともに打ち合いとか鍔迫り合いなんてしたらあっさり折れかねないもんね。


「えーっと、その剣……っていうか刀だね。刀はあんまり打ち合わずに一撃で相手を仕留めるか無力化する戦い方をすべきなんだよ。理由としては脆さね。横から殴られでもしたらあっさり折れちゃうから強度勝負の打ち合いとかはもっての外……だったはず。」


簡単な知識しかないから納得させられたかな?


……何ですか?そのキラキラお目目は?


「凄いです……この武器はどの武器商人や鍛冶屋さんに聞いても詳細不明の代物だったのにマコトさんはそこまで詳しいなんて…」


あれ?もしかして好感度アップ?


「マコトさん!」


「は、はい!!」


「私、精進します!一緒に騎士になりましょうね!」


「う、うん。そうだね。」


「じゃあ急いで登録に行きましょう!闘技場までレッツゴーです。」


綺麗な金髪をなびかせながらかけていく姿はルルの背が低い事も合わせてまるではしゃぐ子供の様だ。

ちなみに私は170cm、ルルは160あるかないかくらいだ。






































登録を終えて闘技場の中に入った私は認識が甘かったことに気付かされた。


「うわー、派手な鎧を着た人が一杯いますね。あ、あれなんて金貨50枚はする武器ですよ。」


ルルは気づかずに他の選手らしき人たちの観察を行っているけど私にその余裕はない。何故ならここにいるのはほぼ全員貴族の子弟とその取り巻き連中だからだ。


確かにルルの言うとおり装備は立派だ、あくまでも装備は。


だけどその腕や足はヒョロイ奴ばかりで顔だっていくつもの修羅場を超えた顔じゃなくて肥えて脂ぎってる者、他者をあざ笑っているもの、優越感に浸っているものと覇気不足だ。


こんな連中はきっと町のチンピラにも劣るだろう。それどころか騎士になってもろくに訓練も実践も行わず権力を振りかざして好き勝手するだけだ。


取り巻きも明らかにお金で雇われました、途中で負けるように言われてますっていうのが丸見えだ。


はっきり言って失望した。


名のある傭兵も冒険者もいない、王子の話ならそれなりに伝統ある行事のはずなのにそういう輩がいないのはすでに見限られてるから、ここはすでに貴族の巣窟なのだ。


親の七光りで騎士になるよりこういう茶番で実績を作った方が色々便利なので行っている程度だ。


イライラする


私はたかが高校生の身の上だけどケンカの枠には収まらない決闘とも呼べるものを体験したことがある


青春ドラマみたいだけどどこぞの番長が妹に惚れて私がその前に立ち塞がった


私は妹を守る為に


相手は妹への愛の為に


拳と拳をぶつけ合う本気の決闘をした


最終的には私が勝って諦めさせたけどその時のそいつの顔はむしろ清々しいくらいだった


……まあ、その後私の舎弟になろうとしたのは頂けないけど


兎に角、騎士というのは気高きもののはずだ


日本の武士でさえ自分や主の誇りの為に時には死を選ぶことだってあった


けれどこいつらにはそんな誇りと呼べるものが無い


あるのは更なる地位と金を望む欲望位だ


いや、きっと保身の為のなんかも持ってるだろう


だけどそれは騎士になる為に必要か?


無いだろ


私の目的は保身


だけど私にだって誇りや忠誠心が無いわけじゃない


この国の第2王子にもあったし、あんな人なら仕えてもいいかなって思ったから情報収集もそこそこにここに来た


その結果がこれか


上層部どころか下の騎士まで腐敗が進んでやがる


こんな国に仕える気なんて起きないし大事な保身にだってこの体を貴族に差し出しでもしない限り危ういものになってしまう

























上等だ



そのケンカ買ってやる



相手は国…正確にはこの国にのさばるクソッたれども



こっちの動かせる駒は現在私一人



駒候補としてはルルとエルディス様



足りない



駒の数が圧倒的に足りない



必要な駒を揃えるためにも更なる地位が必要だ



最初の目標は騎士団に入り軍事の掌握



次いでエルディス様に接近して王宮内部での勢力拡大



最終的にはエルディス様を担ぎ上げてこの国を改革する



下手に細かい計画を練っても皮算用に過ぎないから大まかな目標だけでいいだろう



勝率は現在1割以下



分が悪いとかそういうレベルの問題じゃない



けどやはりワンサイドゲームより多少不利な方が面白い



さあ、始めようか



権力争ケンカいを

マコトは意外と熱いところがあります。


まあ策略や謀略はどこまでも冷たいですけど。



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