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1話 現実から異世界へ

兄に勝る弟はいない


良く聞く言葉、あるいは弟に勝る兄などいない


これもよく聞くけど私にしてみればどうでもいい。


私が言いたい言葉はこれだ。


片方が優秀だともう片方が不憫


私がこれに該当する。


私、朝野真あさの まことは二人姉妹の姉だ。


小学校、中学校ともに平均レベル。


やや身長が高いのと喧嘩が強いのを除けば一般人と変わらない。


しかしだ。


私の妹は例外中の例外。


名前は朝野光あさの ひかり


歳は一つしか変わらないが、能力の差は歴然としてる。


テストの点数は常にトップ、スタイルはぼんきゅぼーん(古い?)。


運動も駄目って程じゃない、弓道に関して言えばプロだし。


容姿端麗、成績優秀、才色兼備、褒めようと思えばどこまでも褒められる自慢の妹だ。


そしてお人好しで人懐っこい。


この性格のおかげで女子も嫉妬が薄れて高校生になっても苛めどころか諍いさえないという奇跡の子。


羨ましくはないよ?足は私の方が速いし身長だって高いもん。


べ……別にスタイルだって気にしてないんだから!


ぺったんこで何が悪い!スリムの何が悪い!!





……くすん





と、とにかく私の妹は神様に愛されてる、あるいはチートなのだ。


それだけならまだいい。


だがわたしには似たような幼馴染がいる。


名前は星野太一ほしの たいち


こいつはテストの点は妹よりも劣るけどそれでも上位は確実な天才……ちっ。


更に運動もできるため良く助っ人を頼まれる剣道部だ。


剣道部の癖にバスケ、サッカー、野球なんでもござれは可笑しいだろと思いたいけど事実……私より足速いのがムカつく。


さらにこいつはイケメンでファンクラブまである。(光にもある、規模は同じくらい)


しかし、特定の誰かと付き合ったことは無いようだ……取り放題の癖に。


女子のハートを次々と落としてるくせに……いつか刺されろ。


え?光はどうかって?ヤダなあ、変な男を近寄らせるほどうちのクラスの連中は優しくないよ。


とまあ、こんな具合に下に天才、隣に天才がいる私はふつう。


兎に角普通、告白なんて一度もない……喧嘩なら散々したけど……この私がやることは妹の監視。


悪い虫がついたり変なことに首を突っ込んだりしないかを日夜監視しているのだ。


悪い虫は偶然を装って追い払い、危ないことに首を突っ込みそうならあらかじめ処理しておく。


……ああそうだよ!足が速いのは妹のもとにすぐに駆けつけるため!喧嘩強いのは妹に火の粉が降りかからない様にする為!私の長所は全部妹のおかげだよチクショー!


はぁ……そんである日、私はあの二人の一緒に帰ることになり……後悔する羽目になる。












「真!光!一緒に帰ろうぜ。」


「部活は?」


「休みさ。当然だろ。」


「何が当然か。急に部活をやるようになれ、あるいは他の誰かに誘われろ、もしくは先に帰れ。」


私はこいつに冷たいのは悪ふざけじゃない。純粋にこいつの事が嫌いなのだ。


「そんなこと言うなよ。な、光。」


「そうだよお姉ちゃん。一緒に帰ろう。」


こいつは知らないだろうがこのイケメンが私に親しくするために私は要らん嫉妬を買っているのだ。それを処理するのにかかった労力は私がこいつに貰っているものには到底見合わない物であり、そもそもこいつがさっさと誰かと付き合って身を固めれば嫉妬を買う事さえ無い。よってこいつが全部悪い。


「ちっ…光に感謝しなさい。」


「なあ真……何でお前そんなに俺を毛嫌いするんだよ。小学生の頃はもっと仲良かったじゃん。」


「そういえばそうだよね。太一君が苛められたりした時真っ先に駆けつけたりしてたのに。」


そんなこともあったけねえ……


「光、永遠なんてこの世に存在しないのよ。だから太一との絆はもう切れてる……いつか姉妹の絆も切れるわね。」


「切れないよ!?お姉ちゃんが切っても私が結ぶからね!!というか切っちゃやだよ!!」


「俺のとの絆も切らないでくれよ。寂しいだろ。」


軽く涙目な妹とハンサム笑顔な幼馴染……うわ、並んでると幼馴染に殺意が湧くね。後歯の浮くような台詞を無意識にしゃべんな。他の乙女と違って私はそれを聞くと鳥肌が立つ。


「しゃべるな。私は太一アレルギー、太一って名前の人に話しかけられたり近づかれるとじんましんが出る。」


「ふえ……そんなアレルギーが。」


「そうなのか、じゃあ名前変えれば大丈夫なんだな。」


ツッコメえええええええええええ!!或いは否定しろおおおおおおおおおお!!!

何その反応!?受け入れたの!?順応性が高いのか天然なのかわからないよ私は!!


「ああもう……そろうと頭痛い。」


「「大変だ!風邪でもひいた!?」」


……ああ、面倒だ。


「風邪じゃない……うん…………」


「じゃあテスト?また悪かったのかい?」


テメエ、まるでいつも悪いみたいな言い方すんな。私の成績はいつでも中の中から中の上なんだよ。


「お姉ちゃん英語と地理が全然だもんね~」


「お姉ちゃんの悪口を言う口はこれかな~」


「いひゃいいひゃい!ほへんなはい!!」


「判決、有罪。ほっぺた伸ばしギネスに挑戦の刑に処す。」


というわけで、光のほっぺを左右に伸ばす……限界?否!


「限界を超えろ光のほっぺ!!」


ムニーーーーーーーーーー


「いひゃい!いひゃい!いひゃいれふ!!」


「真、その辺にしとけって。」


「ふ、まあ執行猶予をつけてやろう。」


「うう…もう執行してるし。」


何を言う、実際に何年かの禁錮と執行猶予何年って言われてるし。あれって様はとりあえずこれだけやったら出してやる。ただしそのあとこの間になんかしたらもっと酷いからなって事でしょ。


「真はもう少し優しくしてやれよ。妹だろ、後幼馴染の俺にも優しくしてくれると嬉しいんだけど。」


「はっ。」


「鼻で笑うなよ……」


いやいや、ここは鼻で笑うとこでしょ。


「うう、まだほっぺた痛い……あれ?」


どうしたんだい妹よ。怪しいおじさんでもいたのかい?


光が指差したのは怪しいおじさんじゃなくて光、名前じゃないからね。太陽の光とかの光だからね。

兎に角それが私たちの目の前に現れ大きくなりつつある。


「!!」


「光!」


「わっ!」


この時三人の行動はまさに三者三様だった。


私はとっさに後ろに飛び、すぐに逃げの体制に。


太一は呆然とする光を抱き寄せ自分の影に。


光は太一に身を任せて抱きつく形になっている。


抱き寄せるのいい。光は立ったままだったし、だけど何故後がない。

何故抱き寄せてから動かないんだ!


「バカ!逃げろ!!」


私の声に反応して二人はこっちを振り向く……同時に光が私たちを飲み込んだ。

















…………………………………………………あれ?生きてる。



まぶしい光の性でまだチカチカする中、何とか自分の状況を確認する。


鞄…よし


靴…よし


靴下…よし


制服…よし


髪…よし


下着…は気にしなくても大丈夫


周囲…よ……くねええええええええ


「何処ここ!?」


森!?何で森!?目の前にはでっかい池があるし!日本なら琵琶湖とかそんな感じだけど残念!周囲には売店も家も人影すらない!こんなでっかくてきれいな湖を日本が利用しないわけがない。


「……外国……いやでも、こんな場所でも一人くらいいてもいいよね。」


人影どころか気配さえないってどうよ?まあ素人が気配がなんだって言っても説得力無いけど。

となると……あれか、異世界か。サモン○イトみたいに召喚されたのか。となると本命は間違いなくあの二人だね、近くにいた私は偶然飛ばされて離れてたせいで変な場所に飛ばされたと……ああ、納得。




「出来るかああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」




私の叫びは鳥たちの羽ばたきと共に飲み込まれていった。



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