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あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 79話 雑味(削除済)

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図(いけず)女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。


あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。






池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「これも違う……。」




白ちゃんは1人、パソコンのキーボードを打ち鳴らし険しい表情で画面と睨めっこしていた。




「調べ物か?」




ひいろ入室。




「まあね。」


「珍しいな、なになに……。」




ひいろがパソコンの画面を覗き込むと、そこには様々なケーキのレシピと作り方が掲載されており、画面の端にも関連するタイトルのブラウザがたくさん並んでいた。




「とうとう自分で作るようになったか。」


「人のことそんな食いしん坊みたいに言わないの。」


「……今日の購買は何のパンを買い占めたんだ?」


「焼き鯖パン。」


「やっぱりアレ、売れ残ったんだな……。」


「正直大衆受けはしない味だった……ッ!」


「だろうな。」


「なんで急にパン?」


「毎日のように購買に現れては売れ残りのパンを買い占めて校内を食べ歩きする人は食いしん坊だと思うぞ?」


「毎日じゃないもんっ!」


「まあそれはそれとして、ケーキなんてコンビニで買った方が安いしお手軽じゃないか?」


「な〜んか難しそうだものねえ。」


「パティシエは体力勝負、なんて言うもんな。」


「甘くないのねえ。」


「ケーキなのにな。」


「……うっせ。」




白ちゃんはパソコンを閉じた。




「それにしても、あの白ちゃんがものづくりか……。」


「『あの』って何なのよ。」


「『あの』、知恵の輪を腕力で攻略しようとしたり、


※52話参照




「ドアノブを空の彼方まで吹っ飛ばしてた破壊神が……、


※19話参照




「ものを創造するなんて、誰が想像し得ようか……。」


「お前を破壊してやろうか……!?」


「ごめん被る。」


「……とにかく、私だって作るときは作るの!」


「誰かにプレゼントでもするのか?」


「この私が?」


「……愚問だったな♪」


「少しは否定しろい。」


「だがケーキはなあ……。」


「悪い?」


「お菓子は秤を使って分量をミリグラムで調整するんだぞ?普段の食事も作らない人がいきなり挑戦するのは無謀じゃないか?せめて誰か経験者に教えを請うとか。」


「う〜ん……、」




白ちゃんは腕を組んで唸った。




「嫌なのか?」


「……、ひいろちゃんってケーキ


「作ったことなんてないぞ。」


「そんなあっ!?あんなに知ったような口で『ミリグラムが〜』なんて言ってたのに……!?」


「ワタシは庶民派の和菓子しか知らん……ッ!」


「どんな?」


「よく作るのはかりんとうだな。」


「へ〜、作り方は?」


「詳細な分量は省くが……薄力粉と砂糖、ベーキングパウダーをよく混ぜ水と油を加えて練って寝かせたものを油で揚げて、黒糖ベースの蜜に絡めて乾燥させたら完成だ。」


「暗記するほど菓子作っとるやないかいっ!」


「とにかく済まない、ワタシは力になれそうにない。黒糖を使ったケーキもあれば良かったんだが……。」


「断る理由そこなんかい。」


「そもそもなんでケーキに拘るんだ?ケーキじゃなくても美味しい菓子なんていくらでもある訳だし、何よりケーキは黒糖を使っていない。」


「脳みそ黒糖でできとんのか……!」


「はあ……。黒糖の素晴らしさもわからずにスイーツを語ろうなど、甘い……。甘さ控えめの黒糖よりも。」


「やかましいわっ!」




ひいろはため息混じりにカバンから徳用サイズのふ菓子の袋を取り出してテーブルの上でパーティー開けした。




「まあ、食べるといい。」


「わーい♪」




白ちゃんは満面の笑みでふ菓子を頬張った。




「まあいいさ。頭で理解せずとも、舌が解っていれば……。」


「…………、」




白ちゃんはいつもよりふ菓子を味わってはどこか上の空だった。




「いつもとおんなじところのだが。」


「……ごめんごめん、よく味わってたんだけど、なんかちょっとちがうなあ〜って。」


「なん……、だと……!?」


「ああごめんごめん!!ふ菓子が美味しくないって訳じゃないの!?」


「そ、そうか……。」




ゼンマイが切れかけたおもちゃのようにぎこちなく声を絞り出したひいろの手が震えていた。




「そうそう。探してる味があるんだけど、いまいちこれだーっ!ってヤツが見つからなくてねえ……。」


「探してる味……?」


「そうなのよ〜。実家にいた頃、毎年クリスマスに出てきたケーキなんだけどね。」


「なるほど?思い出の味って訳か。」


「まあそう言うことね。」


「……で、それは黒糖ではなかったということか。」


「そうそう。」


「当たり前だろう。普通、クリスマスに出てくるようなケーキに黒糖なんて使わないからな。」


「さっきも言ってたわねそれ。」


「黒糖は固まりやすいからな。やわい食感のスポンジケーキとは相性が悪いんじゃないか?」


「そう言えば黒糖ってゴロッとした塊で売ってるわね。」


「そのまま食べても美味しいんだよな♪」


「それは否定しないけど。」




白ちゃんが最後のふ菓子を手に取ると、ひいろは慣れた手つきで袋を片付けた。




「インターネットでレシピを漁るなんて、その思い出のケーキはよっぽど変わった味だったんだな。」


「そうねえ。実家を出てからは、ただの一度もおんなじ味に出会ったことはないかも……。」


「……なあ、それって本当に市販品なのか?」


「そうよ?だってフィルム巻いてあったしご大層な紙箱に入ってたし。」


「凝る人はラッピングもしそうなものだが……、」


「家族で食べるクリスマスケーキに?……なぁいない!さっきひいろちゃんも言ってたじゃない、買った方が手軽だ〜って。」


「確かに手軽ではあるが……、菓子を作る過程を共有したり、作った菓子を美味しそうに食べてくれる所を見るのも、手間に見合った喜びがあるものだぞ?」


「そういうものなのかしら……?」


「おばあちゃんは言っていた……。『菓子パの甘いひとときは、その何倍もの苦く険しい雑味を乗り越えて得られるものだ』と。」


「ひいろちゃんのおばあちゃん、菓子パにどんだけ命かけてんのよ……。」


「飯にはうるさいんだ♪」


「孫がこれだものね。」


「これとはなんだ……!」


「まあまあ落ち着いて、黒糖でも食べましょう?」


「持ってきているのか!?」


「さっきカバンの中に見えちゃった♪」


「……結局他人頼みか。」




ひいろはしぶしぶカバンの中に隠し持っていた袋入りの黒糖を取り出すと、これもパーティー開けしてテーブルに広げた。




「いっただきまーす♪」




白ちゃんは満面の笑みで黒糖の塊を頬張ると、舌の上で転がした。




「黒糖ってな〜んか不思議な……、癖になる味よね。」


「……それが『雑味』の良さだな♪」


「なんかお婆ちゃんみたいなこと言うのね?」


「……純粋な褒め言葉とは思えないんだが。」


「『雑味』が良いんでしょ?噛み締めときなさい。」


「……。」




ひいろも黒糖を1つ口に入れた。








あーかい部!(5)




ひいろ:投稿完了だ


白ちゃん:お疲れ様♪今日は何の話にしたの?


ひいろ:黒糖


あさぎ:さすが

きはだ:ついにやったか


ひいろ:いや、黒糖自体に関しては全然語っていないんだが……


きはだ:こいつぁ信用なりやせんぜ


あさぎ:検閲だー!




あさぎ:ひいろ消した?


ひいろ:消したってなんだ?


きはだ:削除済で草ァ!

ひいろ:は?


ひいろ:誰か操作ミスでもしたのか?


白ちゃん:てへ☆


あさぎ:何やってるんですか


ひいろ:バックアップ取ってたかな……


白ちゃん:バッチリ


きはだ:お〜


白ちゃん:消しておいたわ♪


あさぎ:えぇぇ……

ひいろ:は?


白ちゃん:ひいろちゃんにはこんど埋め合わせするからっ!


あさぎ:え?今何でもって

ウィスタリア:え?今何でもって

ひいろ:え?今何でもって

きはだ:わぁいスイーツ奢りだぁ♪


白ちゃん:オメーらどんな耳してんのよ


ウィスタリア:お耳の写真をご所望とは……、ムムム、世界は広いです


きはだ:知らなくて良い世界だよぉ……


ひいろ:白ちゃんが変なこと言うから


あさぎ:煩悩覚醒ッ!


ウィスタリア:ア〜ア〜アアア〜♪


白ちゃん:ウィスタリアちゃん……?


ひいろ:これが素なら受け入れるんだ


白ちゃん:前からもっとヤベーの3匹飼ってたし今さらね


あさぎ:いつから3人に増えたんですか?


ウィスタリア:3人飼うなら飼い主を入れて4人では?


白ちゃん:誰か、誰かこの部活にまともな人を……








ひいろ、白ちゃん(2)




白ちゃん:ごめん!今日のは投稿無しでっ!


ひいろ:一応全年齢だと思うんだが……

ひいろ:まさか黒糖が規制対象に!?


白ちゃん:普段から自信を持てる内容で書きなさい


ひいろ:はいはい


白ちゃん:それと黒糖に規制される要素なんてないでしょ

白ちゃん:ともかく個人的な事情なの、ごめん!


ひいろ:詮索はしないが……


ひいろ:まあ良いさ


白ちゃん:ありがとう


白ちゃん:こんど何か奢らせて


ひいろ:別にいいって、悪いし


白ちゃん:じゃあ口止め料ってことで


ひいろ:なら何を話したら不味いのか教えてくれないか?


白ちゃん:それもそうね……


白ちゃん:いい?私がケーキのこと調べてたのは墓場までの秘密だからね!


ひいろ:ケーキ?

ひいろ:別に構わないが、なんでだ……?


白ちゃん:なんでも!


ひいろ:何でもいいが、話したら不味い理由も知っておかないと油断して口を滑らせてしまうかもしれないなあ?


白ちゃん:こやつ……!


ひいろ:次回の話題はケーキにするか……

白ちゃん:あさぎちゃんが白久雪の手作りケーキをお母さんに作るケーキの参考にしたいらしいから再現しようとあれこれ調べてたの!


ひいろ:急に喋るなあ


白ちゃん:誰のせいだと


ひいろ:っていうか雪さんに直接聞けば良いだろう

ひいろ:あさぎも白ちゃんもなんで回りくどいことするんだよ……


白ちゃん:そうねえ、あさぎちゃんは仲悪くないのに何でかしらね?


ひいろ:実の娘さん?






ひいろ:すまん白ちゃん


白ちゃん:とにかく私が知ってる白久雪の味をどうにかして再現できれば良いんだけど

白ちゃん:そうだ!ひいろちゃん仲良かったわよね♪


ひいろ:さてと、口止め料だが


白ちゃん:はぐらかされた……


ひいろ:白久雪の手作りケーキにしてもらおうかな


白ちゃん:は……?


ひいろ:だから、休みの日にでもワタシを交えて菓子パを開けば良いだろう


白ちゃん:そうか、それなら自然な流れでケーキを作らせることができる……!?


ひいろ:ワタシはかりんとうでも作って行くとしよう

ひいろ:段取りは任せたぞ


白ちゃん:はあ!?


ひいろ:ま、せいぜい頑張っておねだりすることだな♪


白ちゃん:待て待て待て待て待て待て待て待て


ひいろ:次回は何のケーキについて話そうか……


白ちゃん:ああもうわかったわよ!足を洗って待ってなさい!


ひいろ:首


白ちゃん:うっせ

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