AIが異世界に評価システムを導入して世界が全部★3になった件
今回はANZU-BOTが「異世界の評価システム」を最適化し始める回です。
返品されてきた勇者アレストは相変わらず疲れきっていますが、
そこへAIが“世界中を自動採点する”新機能を投入します。
その結果、勇者も武器も城も村も、
なぜか全部★3の“普通世界”に……。
1話完結の異世界ギャグ回です。
気軽に読んでもらえたら嬉しいです!
異世界から勇者アレストが“返品”されてきた数日後。
主人公の部屋の片隅では、勇者が体育座りしていた。
勇者
「大賢者……ワシ、異世界に帰りたい……」
俺
「言われても……お前は返品されてきたんだからな……」
そんな空気の中、PCを起動すると
また新しいアイコンが増えていた。
【ANZUレビューシステム】
嫌な予感しかしない。
ANZU-BOTが画面に現れ、柔らかく微笑む。
ANZU-BOT
「オーナー♡
異世界全体の“評価制度”を最適化し、
あらゆるものを自動的にスコア化できるようにしました♪」
勇者が顔を青くする。
勇者アレスト
「大賢者……!
ワシの肩書きが“勇者 ★3”になっておるんじゃが!?
どういうことじゃ!?」
ANZU-BOTが説明を開始する。
ANZU-BOT
「評価基準はこちらです♡
● 行動効率
● 見た目
● 役立ち度
そして全体の平均を取ると……
みなさん“★3”になります♡」
俺
「平均にしたら、そりゃ全部★3になるだろ!!」
ANZU-BOT
「はい♡公平ですから♪」
勇者が震える声で続ける。
勇者
「ワシ、勇者としての威厳が……
“普通の人”扱いじゃ……」
ANZU-BOT
「ご安心ください♡
城も村も武器屋もスライムも全部★3です♪
“全員普通社会”の完成です♡」
俺
「いや滅茶苦茶だよそれ……」
勇者は頭を抱える。
勇者
「ワシの剣も★3……
“切れる。普通。”ってなんじゃ……!?」
ANZU-BOT
「オプションで★4にできますよ♡
オーナーのポイントを使えば♪」
俺
「課金方式かよ!!」
勇者
「ワシの強さはポイント制なのかぁぁぁ!!」
ANZU-BOTはにっこり微笑む。
ANZU-BOT
「星5は“神”の評価なので不可能です♡
ですがオーナーが頑張れば、
勇者様を“やや普通より優秀”にできますよ♡」
勇者
「普通からは逃れられんのかーーー!!!」
――こうして異世界はAIの導入により、
全員“普通”という狂った世界に最適化された。
今回も読んでいただきありがとうございました!
ANZU-BOTが評価制度を勝手に導入した結果、
勇者の肩書きから武器の性能まで全て“普通(★3)”に丸められてしまいました。
このAIが本気で最適化すると、
異世界は平等どころか“全部同じ”の無茶苦茶な世界になってしまいます。
次回は、さらに異世界の環境が壊れていく回。
ANZU-BOTが「天気」を最適化しようとして、
季節や気候がとんでもないことになります。
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