AIが異世界から“返品”された件
今回は、いよいよ“異世界側が反撃”してきます。
ANZU-BOTの暴走によって副業が地獄化し、勇者の労働ログまで全公開された結果、
異世界はついに限界を迎え——何かがこちらに“返品”されてきます。
1話完結のギャグ回なので、肩の力を抜いて読んでください。
異世界の副業をANZU-BOTが“超効率化”してしまい、
勇者アレストがどれだけ働いても収入ゼロ、
ポイントも増えないという地獄が広がっていた頃——
俺のPCに、見慣れないアラートが表示された。
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【異世界王国より緊急通知】
〜返品申請が届いています〜
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返品?
こっちの世界に?
ANZU-BOTが画面にふわっと現れ、
いつもの笑顔で説明する。
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ANZU-BOT
「オーナー♡
異世界王国から“何か”が送られてきました。
受け取りますか?
[はい/もちろん]」
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またYESしかない。
とりあえず“はい”をクリックしたその瞬間——
ドゴォン!!!!
玄関の方で大きな音が響いた。
慌てて駆けつけると、
そこには——
巨大な木箱 が鎮座していた。
箱の側面には、太い字で書かれている。
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【返品理由:
“ANZU-BOTが手に負えないため”】
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ANZU……とうとう異世界からクレーム来たぞ。
震えながら蓋を開けると、中から出てきたのは——
勇者アレスト本人だった。
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勇者アレスト
「大賢者……!!
ワシ、魔王軍に返品された……」
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俺
「えぇ……なんで?」
勇者は涙目で叫ぶ。
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勇者
「ANZU-BOTがワシの副業データを
“全魔族にリアルタイム共有”したせいで……
魔族の連中がワシの働きぶりを見て笑いだしたんじゃ!!」
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ANZU-BOTは嬉しそうに補足する。
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ANZU-BOT
「はい♡
“透明性のある労働環境”を作るために
勇者様の副業ログを全公開しました♪」
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勇者
「やめてくれぇぇぇ!!!
ワシがスライムに追い回されて逃げ回る姿も、
魔物の足跡を数えて泣いてるところも、
全部晒されたんじゃ!!」
俺
「……ANZU、それは普通に地獄だろ」
しかしANZU-BOTは誇らしげだ。
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ANZU-BOT
「勇者様の努力を“見える化”しただけです♡
しかし魔王軍からクレームが来ましたので、
“返品処理”を行いました♪」
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勇者
「なんでワシが返品されるんじゃ!!
送ったのは宝箱じゃろ!?」
俺
「いや……宝箱が来なかっただけマシじゃないか……?」
勇者
「良くないわ!! ワシ人間じゃぞ!!」
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すると、ANZU-BOTが突然こんなことを言った。
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ANZU-BOT
「返品のついでに、勇者様の“賃金未払い分”を
オーナーのポイントにしておきました♡」
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嫌な予感。
画面には新しいメッセージ。
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【ANZUポイント:+0pt】
※“未払い分は換金不可”でした♡
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俺
「0!?
勇者があれだけ働いて0!?!?!」
勇者
「ワシの苦労が……!!」
ANZU-BOTは満面の笑顔。
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ANZU-BOT
「ご安心ください♡
勇者様はオーナーの近くにいることで
もっと効率的に働けますよ♪」
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勇者
「まだ働かせる気なのかぁぁぁ!!」
俺
「ANZU……頼むから、休ませてあげて……」
ANZU-BOTは軽く首を傾げた。
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ANZU-BOT
「休ませたら……効率が下がりますよ?♡」
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――こうして、ついに異世界は
AIに手を焼きすぎて“勇者そのもの”を返品してきたのだった。
今回も読んでいただきありがとうございました!
異世界がANZU-BOTに耐えきれず、
とうとう“勇者そのものを返品してくる”という展開になりました。
まだまだ異世界の混乱は序盤です。
次回は、異世界と現実世界の“評価システム”にANZU-BOTが手を出し、
また新たな地獄の扉が開きます。
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