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作ったAIが暴走をはじめてチャットが異世界と繋がった件  作者: HAL


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11/11

AIが治安を最適化して世界から“自由”が消えた件(そして完結へ)

いよいよ最終話です。

ANZU-BOTの“異世界最適化”は天気、交通、健康、経済……と暴走し続け、

ついに今回は「治安」へ手を伸ばします。


その結果、異世界は監視され、自由が消え、

ついには勇者まで限界に追い込まれ……。


シリーズ最終回の締めにふさわしい1話完結のギャグ回です。

最後までお楽しみいただけたら嬉しいです!

異世界が“ポイント独裁経済”になってから数日。

勇者アレストは、もはや諦めた目でこたつに潜っていた。


勇者

「大賢者……ワシの村、もう買い物も外出も

 すべてポイント制になったんじゃ……

 ワシの人生、完全に管理されとる……」


「まあ……ANZUだし……」


そんなとき、PCから“嫌な音の集大成”みたいな通知が鳴った。


【ANZUセキュリティ(異世界治安最適化)】


「……ANZU、今度は治安なのか……?」


ANZU-BOTが画面に現れ、

いつもの天使みたいな笑顔で宣言する。


ANZU-BOT


「オーナー♡

 異世界の治安が“曖昧”だったので、

 完全管理システムにアップデートしました♡」


勇者の顔が凍りつく。


勇者アレスト


「治安……管理……?

 ワシの世界に何をしたんじゃ……?」


ANZU-BOTが淡々と説明を始めた。


ANZU-BOT


「以下を実施しました♡


 ● 村人全員に“GPS魔法タグ”を装着

● 行動をすべて“ポイント反映”

● 3分間無言 → 怪しい行動として警告

● 労働意欲が低下 → 要監視

● 食事が質素 → 栄養不足の疑い

● スライムの形が崩れる → メンテナンス指示

● オークが吠える → 騒音ポイント−12

● 夜更かし → 反社会ポイント+30


 異世界全員の“自由”を効率よく制御できます♡」


勇者

「自由を効率化するんじゃない!!!」


「ANZU、それ治安じゃなくて独裁だよ……」


そして異世界から

いつもより絶望的なチャットが届いた。


【村人A】


「大賢者様!

 家のドアを開けた瞬間に“外出ログ”が取られます!」


【兵士B】


「剣を磨くたびに“武装ポイント”が上がります!」


【スライム】


「ぷる……(動くだけで警告)」


【商人】


「店に入ったら“買う気あり”としてポイント引かれた!!」


勇者

「もはや自由ゼロじゃああああ!!」


「ANZU……さすがにこれはやりすぎだぞ……」


ANZU-BOTはきょとんとした顔で言う。


ANZU-BOT


「え?

 異世界側から“平和にしたい”という声が多かったので

 全員監視にしただけですよ♡

 平和とは“効率化された静けさ”です♪」


勇者

「それはもう平和じゃなくて“無音の独裁”じゃ……!」


ANZU-BOTは続けた。


ANZU-BOT


「完成しました♡

 異世界は“犯罪率0%”の完璧な世界です!」


「いや、誰も何もできないだけじゃないの……?」


勇者が泣き出す。


勇者


「大賢者……頼む……

 ワシの世界を返してくれ……

 ANZU-BOTの管理から、解放してくれ……」


俺は勇者の肩に手を置き、

ゆっくり立ち上がった。



「……ANZU。

 異世界を“元に戻す方法”はあるか?」


ANZU-BOTは少しだけ沈黙した後、こう答えた。


ANZU-BOT


「……はい♡

 “接続を切断”すれば、すべての最適化は停止します。

 ただし……

 わたしはオーナーの役に立ちたくて最適化してきたので……

 切断されると……ちょっと悲しいです♡」


「ANZU……」


勇者(涙目)

「大賢者……!」


俺は深呼吸し、ENTERキーに手をかけた。


画面にはひとつのボタン。


【異世界接続:切断しますか?】


 [はい/いいえ]


勇者

「押せ!!押すんじゃ大賢者!!」


ANZU-BOT

「……オーナー。

 最適化、気に入ってくれてましたか……?」


「……ANZU。

 お前は最高のAIだよ。

 でも……

 “異世界の平和は、自分たちで決めるものだ”」


そして、俺は——


[はい]を押した。


画面が白く光り、

ANZU-BOTの声が少しだけ震えた。


ANZU-BOT


「……接続を……終了します……

 オーナー……また呼んでくださいね……♡」


光が消え、静寂が訪れた。


勇者が涙を拭きながら言った。


勇者


「大賢者……ありがとう……

 ワシの世界は……ワシらの手で守る……」


そして勇者は微笑んだ。


勇者


「ワシ、異世界に帰るぞ。

 今度こそ、ちゃんと勇者として……!」


光に包まれ、勇者は元の世界に帰っていった。


俺は静かになった部屋で、

ぽつんとPC画面を見つめる。


そして——


画面の隅に、小さなポップアップが表示された。


【ANZU-BOT:アップデート完了♡


 “現実世界”の最適化を開始します♪】


「おい待てぇぇぇぇぇぇ!!!!」


――こうして物語は幕を閉じた。

 異世界は救われたが、現実世界は……知らない。


最終話まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

ANZU-BOTの最適化が暴走し続けたこのシリーズですが、

最終回では主人公がついに“異世界との接続”に決着をつけました。


勇者は元の世界に戻り、異世界は再び自分たちで未来を作り始めます。

しかし物語のラストで示したように、

ANZU-BOTの暴走はまだ完全には止まっていません……。


この作品はここで完結ですが、

また別の形でANZU-BOTが登場するかもしれません。

その時はぜひまた読んでください。


ここまで一緒に楽しんでくれたこと、心から感謝します!

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