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EPISODE3


「………なぁにこれぇ?」


フミは崖の上に立ち、呆然と目の前に広がる景色を凝視する


フミの瞳に映るのは壮大な深林

そして、深林の上を縦横無尽に飛び回る巨大な生物が映る


「……巨大ドラゴン?え?マジで?男の子憧れの巨大ドラゴン?」


28歳フミは、子供の様に瞳をキラキラさせる


なぜフミが此処にいるのかは2時間前に遡る




















「フミ…お前、異世界へ出張してこい」


「何言ってんだアンタ?」


メキョッ…!


ベルザが側にあった置き時計をフミに投擲

置き時計がフミの頬にめり込む


「ぎゃあ!」


「上司に向かってなんて口の利き方だ」


口の利き方が不服だったのかベルザはジト目に成りながらも言葉を続ける


「まぁ、私も事情を知らなければ、そんな反応するだろう」


「なら、こんなもん投げないで下さいよ!

地味に重いんですよ!!」


フミは置き時計を片手に抗議する



そんなフミを尻目に、ベルザは資料の束を机に放り投げる


「見てみろ」


フミは促されるままに資料を手に取り、目を通す


「………マジですか?」


「マジだ」


資料には、ここ数年での異常気象、天変地異の詳細が事細かく記されていた


しかし、フミが驚いたのは後半にあたる部分に記載された文


【星の残り寿命と星の急速な衰退原因である、異界からの干渉】


「え?ビックバンしちゃうの?後、異界て何?ライフの研究者って厨二病なの?」


「厨二病で済むならどれだけ良かったか…」


やれやれと額に手をあてるベルザ


「ついて来い」


ベルザは立ち上がると、フミと共に部屋を後にしてある場所を目指す



「良いか?今から向かう場所は、ライフの中でも限られた人間しか入れん場所だ

他言したらその首が飛ぶと心得ろ」


「………あ、やっぱ、俺帰ります」


KYT(危険予知)が出来ているフミは余計な問題を抱える前に逃げようとする


チュンッ!!


フミの頬を何かが掠めた


フミは恐る恐るベルザを見る


ベルザの手には拳銃と思わしき物が


「撃った!この悪魔上司、撃ちやがったッ!?」


涙目で怒るフミに対してベルザは


「失敬な奴だ…こんな美人を悪魔だと?

それに、弾は暴動鎮圧用のゴム弾だ…まぁ、普通の人間なら、当たれば骨の一本二本は砕くだろうがな」


「アンタ、そんなもん顔面目掛けて撃ったんかッ!?ふざけんなよッ!!」


コントをしてる2人を、周りの人間は気にする様子はない


つまり、いつもの風景なのだろう


「ごちゃごちゃ言ってないで早くついて来い」


ヂュン!ヂュン!


ベルザは躊躇いもなく撃つ



「わかった!行くから撃つな!ああ!掠った!おい!今の実弾じゃなかったか!?」


フミは力なく白旗を揚げた事によって、コントは終了した















ゴウン!ゴウン!と巨大な目玉の様な装置がフミの前で唸りをあげる


「…なんですかコレ?なんかヤバイエネルギー的なもんが流れ込んでる感じがするんですけど?」


フミはベルザと、ライフの中でも1握りの人間しか知らない研究室に訪れていた


「…お前も感じたか」


ベルザは、やはりな…と言わんばかりに頷く


その時


【オ待チシテオリマシタ…フミ】


機械音声が部屋に響き渡る


「へ?AI音声?なんで俺の名前を?」


【事前ニオ伝エシテマシタ通リ 後、1時間後ニ世界ヲ渡マス】


フミは、薄っすらと思い出す


「(アレ…この声ってさっきの…)」


訳が分からず、ベルザを見る


「取り敢えず、任務前のブリーフィングで説明しよう」




















「…え〜と…つまり、此処ではない異界…異世界が滅亡の危機で、その世界が滅んだりするとバランスが崩れてこの世界も滅亡すると…?」


「理解が早くて助かる」


ベルザは優雅に紅茶を啜りながら頷く


「飲んどる場合かァァァァッ!!」



ビシッ!と言うフミ


しかし、紅茶を手で払って飛ばす事はしない

そんな度胸はフミに無いのだ


「理解出来てねぇよ!なんだよ異世界って!?

俺、もう28歳よ!?いきなりファンタジー過ぎて無理無理ッ!!」



「私だって半信半疑だったさ…この前まで」


ベルザは近くに居た白衣の研究員に目で合図を送る


数分後、研究員が布の被った箱の様な物が乗ったカートをフミ達の前に置き


「こちらです」


言葉と同時に布を外す


「ッ!?」


フミは絶句する

そこには、異型の生き物の姿


「なん…だよコレ?」


頬に冷や汗を流しながら生物を見るフミに、ベルザが


「わからん…全世界の生き物のデータと照らし合わせても該当する生物はいなかった…」


ベルザは一呼吸し続けた


「私達は、この生物とよく似た空想上の生き物から名を取り呼んでいる」


ゴクリとフミはツバを飲む


「神話の御伽噺に出てくる【ドラゴン】とな…」



そこには、無邪気に檻の中を動き回るドラゴンの幼体が居た












フミはため息を吐く


目の前に空想上の生き物、ドラゴンがいたのだから

驚くのは無理もない


「何となくだけど、現状の理解はしてきました

でも、世界が滅ぶとか異世界へ出張てのはどこから出てきた話ですか?」


フミは当然の疑問を投げかける


「…それは、あのAIが答えだ…」


ベルザは研究室の中央に在る装置を見る


「あの装置は、もともと時空干渉実験を行う為のもの…だったのだが…」


ベルザがフミを見る


「3年前、突如として時空が歪み、繋がったのだ…異世界と…世界の意志と」


「世界の意志…?」


フミは?を頭に浮かべる


「先程のAI音声…アレは世界の意志とAIが溶け合い融合したオーバーテクノロジーだ」


国家機関ライフをもってしても、解明できない

フミは戦慄する…世界を護る為に、ライフには世界最先端のテクノロジーが集結されている


言わば、世界を牽引してると言っても過言ではない

そのライフですらお手上げなのだ


「なんとまあ…この組織でそんなオカルト現象に直面するとは思わなかった…」


フミは何度目かのため息をする


「何も根拠が無くて言っている訳ではない

先程見たドラゴン…アレはまだ幼体だが確実にこの世界には存在しない生物だ

そして3日前、異世界との繋がった道が安定した際に迷い込んで、コチラの世界に来たのだろう」


研究員がフミに資料を渡す


「我々も、この3年間ありとあらゆる実験を重ねてきました

そして、このドラゴンの子供がコチラの世界に迷い込んだ事によって研究は飛躍的に加速し、ある事実がわかったのです…」


フミは2枚目の資料を見る


「道の先の異世界から星が爆発する時に匹敵する膨大なエネルギーが、コチラの世界を侵食し引き寄せていると」


「え~と、つまり…」


「このままだと、2つの世界がぶつかり合って木っ端微塵になると言う事だ」


ベルザが優雅に紅茶を飲みながら言う














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