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職業、ニート。  作者: nao
4/4

初仕事

 初出勤の日。普通の人ならソワソワして予定より早く起きたりするものなんだろう。私は6時37分の埼京線に乗り、赤羽で京浜東北に乗り換え、西日暮里で千代田線に乗り換えるという、上京して1週間の田舎者には結構レベルの高い電車通勤であった。そんな不慣れで絶対戸惑うことがわかっているその日。・・・・・・・

 

 7時5分。私は朝の気持ちの良い日差しに気づき目が覚めた。

 

 「うわー!やべー!」

 

 私は1分で着替え、安全靴、ヘルメット、安全帯、作業着をカバンにグシャグシャに突っ込み、猛ダッシュで駅まで走った。まぁ、間に合う訳ないのだが・・・

 

 私は電車じゃ絶対間に合わないと思い、駅前にいたタクシーに乗り込んだ。

 

 「丸の内の二重橋前まで。飛ばして下さい」

 

 私は汗だくになりながらドラマでよく使われるセリフを吐いた。本当にバカである。運転手は「え?」みたいな表情をしながら発車した。ところが10分もしないうちに渋滞にハマった。

 

 「7時半までに着きますか?」私は当時東京の地理など知らないから平気でこんなことを聞いた。

 

 「いやー7時半は無理だよ。赤羽で降りて電車で行った方が早いんじゃない?」

 

 結局1000円かけて電車より遅く赤羽に着いて降りた。初日から最悪である。しかし当時の私はもうテンパりまくっていて、またダッシュで駅に向かい、京浜東北に乗った。なんとか西日暮里まで着いたものの、既に7時25分である。私はここで観念し、会社に電話を入れた。

 

 「もしもし。工藤です。乗り換え間違えて、今西日暮里なんですけど、どうすればいいですか?」

 

 私は嘘をついた。しかし

 

 「あー?お前ついさっき会社の前走っていったろ?寝坊したんだろうが!初日から何やってんだよ!」

 

 バレバレだった。

 

 「すいません。寝坊しました。」

 

 「・・・。とりあえず待ち合わせ場所に向かえ!いいか、伊藤さんにあったらまず謝れよ。分かったか!」

 

 「はい・・・」

 

 8時頃、到着した。10分後、作業着を着たおじさんが近づいてきた。

 

 「工藤くん?」

 

 「はい。遅刻してすいませんでした。」

 

 「まぁ最初は仕方ないよね。んじゃ現場行くか。」

 

 優しい感じの人だった。とりあえず少し緊張が解れた。私は現場に入った。作業着に着替え、新規入場教育というものを行い、ヘルメットにシールを貼った。

 

 私の初仕事はスタッフ持ちだった。スタッフというのは5ミリ単位で刻みが入ってる標尺である。それをレベルという高低差を測る機械で覗いて寸法を読む。初日は結構楽であった。

 

 こうやって振り返ってみると、私がなんでダメなのかが浮かび上がってくる。今でも仕事に行く時は時間ギリギリだし、都合が悪くなると平気で嘘をつく性格は治っていない。直さないとダメだなぁ・・・。

 

 続く。

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