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職業、ニート。  作者: nao
2/4

入社

 無事東京に着いた。駅の改札では皆財布をかざしてスイスイと改札を通り抜けて行く。

 

 「すげー。あれがSuicaかー」

 

 皆無表情で通り過ぎて行く中、私は一人で感動していた。

 

 集合時間の30分程前に会社に着いた。新入社員の待合室にはもう20人程の人が既に緊張した面持ちで椅子に座って待っていた。なんか大半の人がスーツだった。私は赤のジッパーにジーパンという完全普段着だったため、なんか浮いていた。

 

 数分後、新入社員35人が勢揃いした。総務部長なる人が挨拶をし、各自に作業着、ヘルメット、安全靴、安全帯が支給された。その後社長が登場。よくわかんない挨拶を受け、その後総務部長が

 

 「では新入社員の自己紹介に移りたいと思います」

 

 と、自己紹介タイムに突入した。

 

 「では一番前の北村さんからお願いします」

 

 一番前の北村・・・ん?女!?35人の新入社員の中に唯一女がいた。

 

 「佐賀県出身の北村です。よろしくお願いします。」

 

 パチパチ・・・皆拍手。そして順番に自己紹介が進んでいった。当たり前だが、皆標準語で自己紹介をする。しかし、私にとっては大変なことなのだ。私は18年間、津軽弁バリバリの青森県弘前市で生まれ育ち、標準語のイントネーションというものが全くわからないのだから。土壇場で訛りを直すことなど出来るわけもなく、私の番になった。

 

 「青森げんしゅっすんの工藤直人です。よろすぐお願いします」

 

 ・・・・・・。3秒程間が空き、拍手。この間はなんだったんだろうか。

 

 全員の自己紹介が終わり、1週間程の間の研修期間の間の部屋割が発表された。この研修期間は都内在住の人も含めて全員会社の寮に宿泊する。私は篠村という都内在住のチャラ男君と同じ部屋になった。

 

 「俺、篠村。よろしく」篠村と挨拶を交わす。弘前で自分のことを「俺」なんていう人はいない。そんなやつは確実に馬鹿にされた。自分のことは「わぁ」相手のことは「なぁ」なのだ。

 

 「工藤すげー訛ってんね。青森だっけ?」

 

 単刀直入にそう言われた。

 

 「ああ、んだよ(そうだよ)。篠村はこっちの人なんだべ?」

 

 「うん。青森とか超寒そうだよね。ひろまえって俺知ってるよ」

 

 「ひろさきね」

 

 「あーそうそう。ひろさき」

 

 弘前の人の前で「ひろまえ」はタブーである。これを聞いて怒らない弘前市民はいない。こんな中身のない会話をしながら1日目は終了した。

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