第2話: 「最初の仲間はお弁当で手なずけたモンスター?」
「……どうやら、俺、マジで異世界転生したっぽいな」
森の中で、自分の手元にいる小さな狼のようなモンスターを見つめながら、ユウは現実を少しずつ受け入れ始めていた。まさかお弁当をモンスターに投げたことで懐かれるとは、予想外すぎて今でも信じられない。
「しかし、やっぱり異世界ってすげーな…って、いやいや!問題はそこじゃない!」
ユウは頭を抱えた。確かにモンスターを手懐けたけど、戦闘能力は相変わらずゼロ。しかも、手元のスキルは「お弁当作りLv1」や「靴紐を結ぶLv1」など、使えないものばかり。とりあえず、まずはどうにかして食料を確保しないといけない。
「お弁当を作るスキルはあるけど…材料がないと使えないんだよな…」
ユウは少し前のホログラムを思い出し、「お弁当作り」のスキル説明を確認する。
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**スキル: お弁当作りLv1**
・効果: 特定の材料を揃えてお弁当を作ることができる。自分で食べると一時的にステータスアップ効果。
・注意: 材料が揃っていない場合、スキルは発動できない。
・成功率: モンスターに与えた場合、確率で懐く。
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「材料が必要か…そりゃそうだよな。空気からお弁当が湧いてくるわけないし、これ、案外リアルだな…」
とりあえず、この森の中で食材になるものを探すしかないと判断したユウは、手なずけた小さな狼のようなモンスターに声をかける。
「なぁ、あんたも腹減ってるんだろ?一緒に食材探そうぜ」
モンスターは尻尾を振り、嬉しそうにユウの顔を見上げている。
「よし、行くか!」
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ユウと手なずけたモンスターは森を歩き回り、食材になりそうなものを探し始めた。ベリーのような果実や、キノコを見つけたが、キノコは見た目が怪しい。
「これは、さすがにやばいかもな。食べたら一撃でゲームオーバーってやつかもしれん」
ユウは慎重に食材を選びながら、少しずつ集めていった。ベリー、葉っぱ、そして何とか手に入れた獲物――森の小動物が、何とか一日の食糧として形になってきた。
「よし、これなら『お弁当作り』で何か作れそうだ!」
ユウはさっそくスキルを使ってお弁当を作り始めた。頭の中に浮かんだレシピに従って、集めた材料を使ってお弁当を作成。できあがったのはシンプルな肉とベリーのサラダ弁当だ。
「これ、どう見ても異世界の食材なんだけど、案外うまそうじゃないか?」
ユウは自分で作った弁当を一口食べてみた。すると――。
「……な、なんだこれ!?うまい、めちゃくちゃうまいぞ!」
異世界の材料で作ったお弁当は意外にも美味しく、さらに食べるたびに身体が軽くなっていく感覚がした。スキルの効果で一時的にステータスが上昇しているようだ。
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「これで戦闘にちょっとは耐えられるってことか…でも、戦闘はどうすればいいんだ?」
ユウは少し考え込んだ。自分のスキルでは戦闘には向かないし、まともな武器も持っていない。しかし、ここでさっき手なずけたモンスターの存在を思い出す。
「そうだ、このモンスターを使えばいいんじゃないか?戦闘力は俺よりはあるだろうし…」
ユウは小さな狼のようなモンスターに声をかけた。
「頼むぜ、お前が頼りだ!」
モンスターは嬉しそうに尻尾を振って答える。ユウはこれで戦闘がどうにかなるかもしれないと考え、少しだけ安心する。
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その時、森の奥からガサガサと音が聞こえてきた。
「おいおい、また敵かよ!?勘弁してくれよ!」
ユウは慌ててモンスターに向かって指示を出す。
「よし、行け!お前の力を見せてくれ!」
すると、モンスターはすぐさま敵の方向に向かって走り出し、木陰から現れた大きなイノシシのような生き物に飛びかかる。
「よし、いいぞ!」
モンスターは見事にイノシシを倒し、ユウは驚いた。
「おお!強いじゃん!俺より全然強いぞ!」
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こうして、ユウはモンスターを頼りにしつつ、少しずつ異世界での冒険を進めていくことになった。自分のスキルはまだしょぼいままだが、仲間になったモンスターと一緒に少しずつ成長していく。
「これからだよな、俺の本当の冒険は!」
次なる冒険の舞台を見据え、ユウは新たな挑戦に向けて歩み始めた。