転生
〝この提案を受けるなら『生まれ変わらせて』やろう〟
ふと記憶の中からこの言葉が零れ落ちる。それを思い出しルーアンは再度目を見開いた。
(あれは夢ではなかったのか!?)
ルーアンは驚愕していた。こんなことがあるのか……と。
そんな非現実的な事は信じていなかったし、今まで全て否定してきた。
ただ、夢には……今まで殺してきた人間が亡霊のように自分を責め続ける夢は幾度となく視てきた。
しかし、それも起きたらそこは日常、自分は戦闘員。気にすることもなかった。
だから、牢でよく分からない靄が現れて話しかけても気にもしなかった。
しかし……流石に今の状況には頭が追い付かない。
「俺は……転生したの……か」
言葉が口から紡がれる。それは自然と発せられた日本語であった。
「蒼羽!! おばあちゃんのことわかるかね!?」
傍で拝んでいた祖母が声を聞いて目を見開き歩み寄ってきて覗き込む。
「なんだよ……ばーさんだろ」
「ああ──、蒼羽だ! 蒼羽だ!」
祖母はしがみ付いて蒼羽の名を何度も呼び、泣きわめいていた。
動かない身体で必死にそんな祖母を観察する。
(ああ──、そうだ。俺は水宮蒼羽だ)
自然と笑みがこぼれると、何とか腕だけ動かし祖母に触れる。
ルーアンが今の自分を蒼羽だと認識した瞬間だった。
それから検査入院だと言われ蒼羽は1週間ほど入院させられた。
ルーアンは日本自体行ったことが無い。初めての場所であるが、特に違和感なく過ごしていた。
蒼羽の記憶のお陰だった。蒼羽の日本人としての記憶が備わっているお陰で、特に不自由なく暮らせている。
そして、ルーアンは初めて命の危機を気にすることのない生活を送り、戸惑っていた。
初めては病院のベッドで眠ることすら癖で叶わない。
しかし体の自由が利かないため、逃げ出すことはしなかった。
それが功を奏したのが、段々と周りの状況を把握し始める。