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時の欠片  作者: MEGko
プロローグ
5/331

露と消える

 ❖ ❖ ❖ ❖

 ルーアンは我に返り再度靄を見た。

 靄はそんなルーアンの心を見透かしているのかニヤリと笑う。いや、笑っているように見えたのだ。


「お前のその疑問が解消されるかもしれないな」

 その言葉にしばしルーアンは沈黙する。

 そして静かに「お前が何者かは知らない。だが、できるのであればその提案を受けよう」と結論を提示する。


《──交渉成立だ》




「ああ、さっきの夢か」

 ルーアンが納得した時……足音が近づいてくる。

「1……2……3……いや4人か」

 ルーアンは動じずその足音を静かに聞いていた。足音は思っていた通り自分の檻の前まで来ると扉の鍵を開ける。


「ルーアン、出ろ!」

 その言葉に従い、ルーアンは抵抗することなく牢から出る。ルーアン程の戦闘員ならこの程度の人数は造作もなかった。

 しかし敢えて甘んじて運命を受け入れたのだ。


(変な夢だったな──)

 そう思いながらルーアンは言われるがまま連行されていく。




 そして……ルーアンは抵抗することなく処刑場でその生涯を閉じた。


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