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時の欠片  作者: MEGko
プロローグ
2/331

今までの人生の中で

「変な夢だったな」

 目を瞑りその夢を思い出す。


 それは……ある男がルーアンの枕元に立った。男かどうかも分からない。

 人の形をした黒い(もや)だったからである。

 声の質感から勝手に男だと思っていた。


 最初は処刑が早まったのか……それとも誰かが殺しに来たのか程度に思っていた。これで抵抗しても面倒なだけだ、と黙って寝たふりをしていた。


「選択肢を持ってきた」

 その靄は静かにそう告げた。


 ルーアンの想定していた事象ではない。

 びっくりして咄嗟に目を開ける。その靄は自分を覗き込んでいた。


「お前は誰だ。俺を殺しに来たのではないのか」


 その靄は笑っていた。

「間違いない、ある意味私はお前に死を与えに来た。だが選ぶのはルーアン、お前だ」


「──どういうことだ、何かの取引か?」

 ルーアンはその靄を疑う。

 こんな状態になって仲間に処刑されようという状況なのに、仲間を裏切るという選択肢はなかった。

 その選択肢を提示した瞬間、ルーアンは相手を殺していたであろう。


 そう()()されていた。


「キミの人生はキミの選んだものではない、『仕方がないもの』だったが、それでもキミのしてきたことの正当性にはならない。しかしキミには人生に於いて抗える分岐点も道もなかった。そんな不憫なキミに、私から選択肢を与えよう」

 ルーアンは無言だった。

 この靄の言っている言葉が理解できないのだ。


 確かに自分にはこんな人生しかなかった。

 選ぶポイントや、人生の転換期、分岐点などもなかった。


 いやあったのかもしれないが……ルーアンには分からなかった。

 靄はそんなルーアンには構うことなく続ける。


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