12話 獣人って・・・
どうも、僕です、今、学園の廊下の端で盛大に困ってます!・・・・・イネオス達が、
僕も多少困ってはいます、これから皆んなで冒険者ギルドに行く予定だったのにイネオス達に何やらお願い事をしている、ケモ耳集団がいてすぐには行けなさそうです・・・
(はぁ、彼らはしつこいんだよねぇ~この3年間で僕に面会希望を出しては断られを繰り返していて、とうとう学園まで来て僕に接触をはかって来たよ~、まぁ本命は僕じゃなくて聖獣(本当は神獣)のジュールや夜月・天華達だろう・・・はぁ全く持ってしつこい)
ジュール『本当しつこいよね、あ、アトリー、私達このまま気配消しておくねぇ~』
(そうだね、その方が良いかも僕が話し掛けて引いてくれると良いけど無理だったら無視して馬車に乗り込もうか)
天華『その時、結界で足止めした方が良いかもしれませんね』
(あー、確かに、ついて来そうだもんね)
「ソル、彼らと話してなるべく穏便なやり方でここを早めに離れようと思うから話が終わりそうに無かったら結界で足止め宜しく」
ソル「はい、畏まりました」
「よし、行こうか」
頼りになるソルの返事を聞き、気合を入れてイネオス達の元に行った。
イネオス「申し訳ございませんが、僕達には聖獣様方をご紹介できる権限は持ちません、僕達はアメトリン様と親しくさせて頂いてますが聖獣様方との話はまた別の話です」
?「なぜだ?彼、デューキス子息と共にあの方々が常に一緒にいるのは事実なのだから君達が彼に僕達を紹介すればあの方々に紹介するのと一緒ではないか」
イネオス「ですから、僕はあなた方をアメトリン様にご紹介する事はできないと・・・・・」
視線の先に僕を見つけたイネオスがスッと頭を下げたのを不思議に思った獣人の王子様はイネオスの視線の先を見るために後ろを振り返り僕を見た、
僕も彼をみてニッコリ作り笑いで笑いかけた、フリーズしたのを確認した後イネオスに話しかけた。
「お待たせ、イネオス、ベイサン、へティ・・・それで、あなた方は僕の友人達に何か御用ですか?僕達は今から行く所があるので急ぎの用でなければ後日改めてご連絡いただけませんか?」
?「・・・・・っ、丁度よかった、今まさに君の話をしていたんだ、・・・・・今日は聖獣様方は?」
「どうしたんですか?僕に御用がおありだったんじゃ無かったのですか?彼らは今はいませんよ?」
話しかけてきて早々に本心が出ている獣人王子にニコニコしながら答えた。
?「そ、そうか・・・、では、今度、聖獣様方に合わせてくれ!僕達はいつでも良い連絡を貰えればいつでも行く!」
「うーん、すみませんが僕ではあなた方に彼らを紹介できるとは確約できません、それにまだお名前も教えて頂いてないのでご連絡も入れようがないのですが・・・」
?「ん?あ、あぁ、そうだったなすまない、僕はショウスデット獣王国 第13王子の“ワンズ・ショウスデット・ナムザ“だ、君の友人と同じ隣のBクラスに通ってる、で、なぜ聖獣様方を紹介できないのだ?もしや君は聖獣様方を独占し閉じ込めているのではないだろうな?」
何か勘違いして僕に牙を剥き出しにして威圧し凄んでくる将来のワイルドイケメン候補の黄色い立髪に真っ赤なの瞳の迫力のあるライオンの獣人王子。
(わぁー、牙すご!・・・こんな状況じゃなきゃ獣人さん達とは仲良くしたかったんだけどなぁ・・・はぁ)
夜月『此奴、馬鹿なのか?今朝 私達がアトリーと一緒に学園に来ているのは知っているはずだが?』
(そうだよねぇ~、一年生の大半が目撃してたのに彼らだけが知らないなんてあり得ないんだけど・・・)
「あの、そのような事実はありません、今朝も、一緒に登校しておりますし、僕からご紹介でき無いのは聖獣達の意思を確認して許可が出なければ会え無いのです、なので僕からは確実にご紹介できるとは限ら無い、と言う事です、基本的に彼らは自分の意志で好きに過ごして貰ってますから、会うか会わないかは彼らの気分次第なので」
獣人王子「むっ、そうなのか?・・・・・では、君の方から聖獣様方に面会のお伺いを立てて貰えるか?と、言うか君は聖獣様方が何と言ってるのか分かるのか?」
(あっんれ~?なんか認識がずれている気がする~、それにさっき脅してきた事は完全にスルーですかぁ?だいぶ失礼な事言ってたのに手のひら返しして自己中なお願いとかさすが王族、そして簡単に謝らないねぇ、まぁ、それより今は…)
盛大に心の中で愚痴った後はこの認識のずれの元を探る事にした。
「えーっと、第13王子様は僕と聖獣達との関係をどの程度知ってますか?」
獣人王子「ん?関係?それは君の“祝福“の時に主神様の神像からお生まれになって主神様から君がお世話を言いつかったのではないのか?」
(あら~、話が全然正確に伝わってない!)
天華『その様ですね、むしろ私達がアトリーに“仕え“、自由に生きられるようにお世話、サポートする為 造られたのですから全く正反対ですね』
(ですよね~、けど僕的には“大事な家族“が増たって認識なので“仕えて“貰ってはないのそこは天華達も認識を再度改めて頂戴ね、・・・しかし表向きはそうなっている筈なのに情報がちゃんと伝わって無いなぁ何でだろう?結構知られているはずの僕とだけ会話可能となっているって言う情報が1ミリも入って無いって変だよね~)
天華『ん゛、私達は常にアトリーと家族だと思ってますよ?それと、彼らの情報不足は多分、彼らの国が崇めている神が違うので正確に伝わらなかったのではないかと…』
(あぁ~、それは仕方がないのか?しかし、つい数時間前にも似たような人がいたなぁ~僕が天華達と話してるって言っても信じなかった人が…、うーんあれか?国内で有名でも他国では伝わって無い感じか?もしくはこの話を本当とは思って無いとか?)
「そうですか・・・、第13王子様のお国にはちゃんとした情報が入って無いようです、僕と聖獣達の関係は僕の望む人生を保証する為の証に神々から直々に授かったのです、なので彼らは僕の生きていく上で必要な事を補佐して常に側にいてくれて守ってくれるのです」
獣人王子「⁉︎、で、では、君が、いや、君の為に聖獣様方が生まれたと?常に側にいると言う事は君を聖獣様方が“主人“と認識しているのか?」
「・・・、そうですね、そうなります…、ですが僕としては“家族“として一緒に過ごしているので“主人“、と言う言い方はあまり好きじゃありません」
僕は獣人王子が言った言葉に不快感を表し厳しめに指摘すると、
獣人王子「っ!…す、済まなかった」
と、素直に謝った。(さっきの脅して来た件については謝らなかったのに今のは嫌に素直だね?)
「第13王子様、あなた方や他の留学生の方々全員に言える事なんですが、もう少し相手の心情と状況を冷静に分析し相手の正確な情報を得て相手を不快にさせ無い交流を心がけてみてはいかがですか、ここは他国、それも身分は通用し無い学園の中なのですから、人にお願いしたい事があれば無理強いは頂けませんよ?」
ニッコリ、と、黒い笑顔で笑ったと、思う・・・
獣人王子「あ、あぁ、・・・わ、分かった、じょ、助言感謝する・・・」
獣人王子達は顔を引きつっていた、ようやく僕がイライラしている事に気付いたのだろう、そして周りで聞いていた他のクラスの留学生達も自分達の聞いている情報に誤りがないか疑い始めた、中には顔色を悪くしている人までいる。
(どんな、情報聞いたら あんなに顔を青くする事があるのか、逆に聞きたいわ!)
「いいえ、大した事ではありませんよ、思った事を少し言葉にしたまでなので、それでは僕達は急ぎの用がありますのでここで失礼させて頂きますね?」
この場をさっさと去ることにした僕に、
獣人王子「あぁ、今日は無理な頼みをして済まなかった、また今度 話せる機会を貰えないだろうか?」
嫌に素直な獣人王子に驚きつつも、
「え、…そうですね、僕は基本的に学園のある平日の昼休みは図書館で過ごそうと思っているので、そこに向かう前でしたら多少お時間が取れると思います」
と、返事を返した。
獣人王子「分かった、その時は君と話がして見たい」
「僕とですか?」
獣人王子「あぁ、聖獣様方を家族と言い切る君に興味が湧いた」
ニカッと嫌味のない笑顔を見せ「では、また今度」と、颯爽と去っていった獣人王子達。
「うっわぁ、なんか やばい人に目をつけられた気がする」
ソル「まぁ、良いじゃないですか、聞き分けの言い方でしたし」
(確かに、今まであった王族の中では聞き分けが良くて賢そうだったけど、なんかやばい気がするんだよねぇ~、獣人ってもっと本能に忠実な荒っぽい人のが多いってイメージだったけど、第13王子ね、厄介なことになら無いと良いけど…、まぁ、1回話してその後は近寄らなければいいか、あぁ、でもあのケモ耳には触ってみたい)
僕は嫌な予感と願望を持ちつつ皆んなを促し学園の馬車専用入り口に向かった。
馬車専用入口に着くといつもは4人程度の護衛騎士が馬車に付き添うのだが今日は馬車も2台になって護衛騎士も10人いた、増えた馬車はどうやらイネオスの家、ヴィカウタ子爵家の馬車であちらとはもう話が通っているようだった。
(あー、これは元から父様知ってたな、イネオス達が一緒に冒険者ギルドに行くの)
夜月『だろうな、大方 向こうの親達から相談されていたんだろうさ』
(ですよね~、もうあれだ、なるようになれって感じだね、皆んなが自分で決めたことなら僕には止める権利はないからね)
夜月『それもそうだな、まぁ、危険な事を率先してしようとするのは止めた方が良いがな』
(そこは危険度にもよるかな、多少 危機感は持ってほしいからね)
夜月『ふむ、それは大事だな』
気配を元に元に戻した夜月と、会話しながら馬車の前に着くとそれぞれの家の専属の使用人達が一斉にお辞儀をした。
使用人一同「「「「「「皆様、おかえりなさいませ」」」」」」
少しビビった僕達、1番早く復活した僕が一応代表して。
「えっと、ただいま、遅くなってごめんね」
オーリー「いえ、そんなにお待ちしておりませんのでお気になさら無いで下さい、今日はイネオス様方もご一緒にお帰りになられるとの事なのでこちらの方で護衛の手配をしております、では、皆様 早速 馬車にお乗りになられて下さい、ご昼食の準備もできておりますので」
「うん、分かった、皆んな着いたらお話ししようね」
オーリーは周りの状況を見て早く馬車に乗ることを進めてきた、なぜならこの馬車専用入口には授業が終わり様々な学年の生徒達がひしめき合っていてかなりの注目を集めているからだ、その中に上の学年の集団が近づいてきていた事が馬車に入るように促された起因だと思う。
(他にも誰かが近寄ってきていたみたいだしね)
オーリーに言われた通りにさっさと馬車に乗り込むと護衛騎士が周りを素早く護衛体制に入り馬車が動き出した。
「ふぅ、やっと一息つけるよ」
ソル「そうですね」
「これが毎日続くと思うと憂鬱だ」
オーリー「アトリー様、今日のお帰りの時間より少し遅かったようですが学園内で何かありましたでしょうか?」
「うん、今日は面倒な事が2回もあって大変だったんだよ」
その後 僕とソルは今日あった出来事をオーリーに話した。
オーリー「そうでしたか、それは大変でございましたね、しかし、他国の情報部は何をしているのでしょうね?普通は王族の留学先の事情を事細かに調べて、その場所に友好関係を築きたい人物がいる場合はその人物の人となりをも確認してから好感を持って貰えるように注意しながら接触を図るものなのですが…」
オーリーの言う事はものすごく正しいと思う、まずリトス教から各国に僕の存在と“神々の警告“の内容が大々的に知らされているはずなのに留学に来ている各国の王族やその側近達は警告の内容をちゃんと知らないのか、もしくは知っていて警告自体を本当にあったものかと疑っているのか、そのどちらでも無いかはわから無いが知っていて疑って来ているのだったら その人もしくはその国は かなり お馬鹿なのだろう、
この世界は神の存在が知れ渡っていて神との距離が前世での地球より近いのにも関わらず“主神のリトスティーナ“が唯一自分を崇めることを許しているリトス教の情報を疑って信じ無いのは正直自殺行為に近い、
言っちゃあ何だが僕は神のティーナちゃんや天照ちゃん、月詠様達からはかなり可愛がられて大切にして貰っている、その証が皆んなの加護や授けてくれた聖獣の皆んな(本当は神獣)に警告に書いてあった神罰、これだけガッチガッチに守りを固めて過保護を拗らせている神々の寵児(本当は友人)の僕に何の情報の裏取りもせずに上から目線で絡んで来るとか、自殺願望があるとしか思えない。
そんな自殺希望者達から絡まれる僕はかなり気を遣っている、なるべく感情を抑えて子供のする事だと頭に言い聞かせ彼らに悪い感情を持たないようにして近づいてきても神罰が降らないようにと、そもそもあまり近寄らせないようにもしているのだ、周りの皆んながだけど、それでも僕にも我慢の限界と言うものがあるので今回は目立つの覚悟で大勢がいる場所で(一々絡んでくる前に自分で正確な現地の情報を仕入れてから絡んでこいや!ボケェ!)と、言った言葉をオブラートに包み品よく仕上げた(つもり)言葉を周りにいた人達にも聞かせたので今後、多少は静かになると思いたい。
(まぁ、反応は色々と分かれるだろうけどねぇ~、一時は情報収集のために大人しくしてるだろう・・・多分、…はぁ、その間だけでものんびり過ごしたいなぁ)
「はぁ、もう、サフィアス叔父様にこの事を言って留学に来ている各国の王侯貴族にまとめて事情説明して貰った方が楽な気がしてきた・・・ふぅ」
カイン「確かに、国王陛下も他国の王族がここまで正確な情報を入手できていないとは思っても見なかったんでしょう、留学生を受け入れる時に詳しい説明はしていなかったようですし・・・」
ソル「しかし、今更になって契約違反をしてまで裏の者を使い情報を得ようとはあまりにも愚かとしか言いようがないです」
「僕もそう思うよ、・・・うん、やっぱり今回の事は父様に話してサフィアス叔父様にお願いできるか聞いてみよう」
オーリー「その方が宜しいかと、詳しい話は私から旦那様に報告を致しましょう」
「オーリー頼むね、・・・有り難う」
オーリー「はい、お任せ下さい」
こうして話している間に王城の北側にある学園から貴族街を南に抜けて南門大通り沿いにある冒険者ギルドに向けて南下して、後もう少しで目的地に着くところだった。
(後は父様に任せて今は冒険者ギルドに行くことだけ考えよう、でも、ギルドでも絡まれたりしないよね・・・)
天華『アトリー、それフラグになりませんか?』
(あ、・・・・・・・)