8話 名づけ
皆さん!どうも僕です!
入学祝い&カイ兄様の婚約祝いのパーティー後に父様に呼ばれて父様の執務室に行くと父様とハント親方が待っていた。
要件はパーティー内のサプライズで受け取った刀達だった、これは僕がハント親方に制作依頼を出したアダマンタイト製の刀でハント親方が言うには製作中に精霊達が騒ぎかなり協力的であったらしい、それに加え完成した刀達に上位の精霊2人が自ら宿ると言う驚愕の出来事に遭遇したハント親方は真相を確かめようと わざわざ公爵家の屋敷に出来上がった刀達を届けに来たらしい。
パーティー内であった出来事もあって父様と僕に直接疑問をぶつけて見た所またもや驚愕の事実を知る事になったのだがもはや納得の方が勝ったらしい。
そして今僕は刀に宿った精霊達に事情聴取を行い、刀に名前を付けた事で精霊達に何か影響が出ないか聞いて見ると。
『刀の名前と私達の名前を別々に付けても良いし、刀と私達を一緒のものとして名づけてもあまり変わらないの、私達は自らの意志で刀に宿っているので名づけられたからと言って宿っている物に縛り付けられたりはしないわ』
との事・・・
(ん?待てよ?なんで今ナチュラルに精霊達の名前も一緒につける事になっているんだ?刀に名前をつけると同時に精霊達の名前になるって事は僕は必然的に精霊2人と契約する事になる…と?)
「ねぇ、精霊さん達、君達は良いの?僕が刀につける名前が君達の名前になるのは嫌じゃないの?」
『良いの!私達は貴方の側にいたくてわざわざ刀に宿ったんだから♪』
「えぇ⁉︎そうなの⁉︎わざわざ そこまでして僕と契約を結ぼうとするなんて…どうしてそんな事に?」
『だって貴方ったら私達精霊が見えるようになっても全然誰とも契約してくれないんだもの、貴方に近寄っても皆んなと一緒に遊んでくれたりはするけど誰か特定の精霊を気に入っている様子もないし・・・』
「え!精霊達が近寄ってくるのって契約がしたかったの⁉︎てっきり遊んで欲しかっただけだと思ってたよ…」
『遊んで欲しいのも本当だけど、1番は貴方の契約精霊になる事よ、貴方は精霊達の中で大人気なんだから』
と、教えてくれたのは太刀に宿った雷の上位精霊、見た目はできるキャリアウーマン風の綺麗な大人の女性の姿をしている、周りにうっすら電気が走っているような感じで黄色や青白いオーラを纏っている美人系精霊、サイズは小さいけどね・・・
(おぅ…、精霊達の中でもアイドル扱いか・・・何故だ?)
僕の膝の上に座っていた天華が、
天華『以前 精霊王も言ってたでしょう?アトリーの魔力と質が精霊達好みだと』
(あ~、そう言えば言っていたね、そうか僕の魔力は精霊達にとってのチ○ールみたいなものか)
天華『チュー○って・・・猫じゃ無いんですから・・・、ま、まぁ、でも似たような物ですかね?・・・』
天華が呆れつつも否定はできないようだ。
『それに貴方がたまにくれるお菓子とかお庭やお風呂で歌ってる歌とかがとても素敵なの、特に貴方の歌声が皆んなに人気で私も大好きなのよ♪』
と、言ったのは脇差に宿ってる雪の上位精霊で見た目が僕達とさほど変わらない年齢の女の子の外見でクリッとした可愛い目をして色白の肌からは冷気が漂っているような白いオーラを纏っている可愛い元気っ子系精霊。
2人はシンプルなワンピースを着た全長30~40センチぐらいの可愛いサイズの精霊さんだ。
雷の精霊『私も貴方の歌声が大好きよ❤︎』
天華『おや、魔力だけが理由じゃなさそうですよ?』
ジュール『良かったね♪アトリーちゃん♫』
(ふふっ、そうみたいだね、歌声が好きって言われると悪い気はしないな♫)
「ふふっ、そうなんだね、気に入って貰えて何よりだよ、じゃあ二人共このまま僕が刀につけた名前が君達の名前でも構わないのかな?それとも別に考えた方が良いのかな?」
雷の精霊『う~ん、別に考えて貰えるのなら その方が嬉しいけど貴方が付けてくれるのなら私達は何でも良いのよ、だって貴方の側にずっといれるようになるからね、それに名づけて貰えるだけで他の精霊達とは別の存在になれるのよ?それ以上の贅沢は言えないし、言わないわ』
雪の精霊『だから貴方に判断を任せるわ!』
(おっふ、決定権丸投げられた!!あぁ重要な仕事の案件を任された気分だよ・・・・あ、胃が痛くなってきた…)
「う、う~ん、・・・うん、分かった、じゃあ こうしよう、僕が刀に付けた名前の一部を君達の名前にするって言うのは…どう?」
雷の精霊『本当⁉︎それでいいわ♪別に名前を貰えるだけで嬉しい♫』
雪の精霊『わ~い、有り難う♪私も嬉しい~♫』
名前を考えるのを面倒に思って出した提案だったが思った以上に喜ばれて少し罪悪感が残る僕はちゃんと真剣に考えようと思い直した。
(う~ん、雷の精霊さんに雪の精霊ちゃん?どちらも美人で可愛いからなぁ悩む、それに刀は日本風にしようと思ってたからな~、う~ん)
僕が悩み始めたの見たハント親方以外の人は僕がなぜ悩み始めたのか理由が分からず困っていると親方から事情を説明されてやっと理由が分かったようだ、その原因は今までの精霊達とのやり取りは僕と親方以外の人間達には僕が鈴の音がなる刀に向かって独り言を言っているようにしか見えなかったかららしい、
その事を後で聞かされた僕は盛大に恥ずかしがったのは言うまでも無いだろう・・・
しばらくの間考えて思いつく限りの名前を捻り出した僕はやっと刀と精霊達につける名前が決まった。
「よし!名前が決まったよ!」
フンスッと、気合を入れて顔を上げると精霊二人がキラキラした眼差しでこちらを見た。
ハント親方「おぉ、早かったな!、もっと時間がかかると思ってたぞ!」
「ふふっ早く名前つけてあげたくて一生懸命考えたよ♪」
(“並列思考スキル“をフル活用してやったぜ!)
ソル「それは良いのですが、あまり無理をなさらないで下さいね、アトリー様」
(おっと、ソルにはスキルを使ってるのがバレてしまったな、もっとバレないように気をつけよう…)
父様「そうだよ、いくら魔力量が多くて肉体的疲れがなくても精神的疲れは残るんだからね」
と、父様にも頭を撫でながら心配されてしまった。
(おぉ、父様にもバレてら)
天華『まぁ、魔力を使用しているのが見えているからでしょうね』
(あ、・・・・そうだった、くっ、今後は魔力隠蔽に力を入れるかっ)
夜月『ほどほどにするんだぞ』
(・・・はーい)
1人心の中で悔しがっていると天華や夜月達にチャチャを入れられた。
ハント親方「で?どんな名前にしたんだ?」
親方もキラキラした目で聞いてくる。
「あ、はい、え~と、
太刀の方は“雷凛刀“《らいりんとう》で雷の精霊さんは“春雷“《シュンライ》
脇差の方は“鈴雪刀“《りんせつとう》で雪の精霊さんは“雪花“《セッカ》
で、…どうかな?」
(精霊2人には前世での記憶の中で思いつく限りで属性に合った可愛いと思う名称を名前にしてみたんだけど、気に入ってくれるかな?)
ちょっと自分のネーミングセンスに不安になりつつも言ってみた、すると精霊2人は黙って少し震えながら俯いていた。
(あ・・・、ダメだったかな?)
気に入らなかったかと思い始めていると。
雷の精霊『うっ、・・・嬉しい!私の名前は“春雷“《シュンライ》、“春雷“《シュンライ》ね!有り難う!ご主人様!』
雪の精霊『“雪花“《セッカ》!私の名前は“雪花“《セッカ》!私だけの名前を貰えるなんて!すごく嬉しい!有り難う!ご主人様!』
(ほっ、・・・良かった、気に入ってくれて)
顔を上げると同時に満面の笑みでお礼を言われた、先程まで震えていたのはどうやら感激で震えていたようだ、2人が喜んでくれているのが分かった僕は安心して喜び合う2人を静かに見つめた。
ハント親方「ほう!中々良い名前じゃねえか!本人達も喜んでるな!刀の方も東方風の名づけ方で良い感じだしな!
“雷凛刀“《らいりんとう》“鈴雪刀“《りんせつとう》か・・・、刀の共鳴音と精霊の属性から取ったのか…、うん!分かりやすくて中々良いな!」
(おぉ、ハント親方からもお墨付きを貰えたようで良かったが、名前も付けたしこれで精霊契約が完了したのかな?)
と、思っていると、喜び合っていた精霊2人がこちらを向き嬉しそうな表情のまま姿勢を正して僕の前に並んだ。
雷の精霊『素敵な名前をつけて頂き有り難うございます、・・・私、“春雷“《シュンライ》はこの名を授けてくださったアメトリン・ノブル・デューキス様を主人として仕える事を誓います』
「えっ」
そう宣言すると、雷の精霊が光り出しその光が光の束を創りだした、光の束が僕の右肩に向かって伸びてきて右腕に触れると服の下の二の腕の上辺りがふんわり温かくなり自分の中に何かが繋がった気がした、光の束がスウッと消えてなくなると肩の温かさもなくなり光の束が触れた服には何も影響は出ていないようだった。
するとまだ光っていた精霊の光がより一層強まって大きな丸い塊になった、数秒して徐々に人型になってきた人型がはっきりし出すと光が弱まりシンプルなワンピースから装飾の美しいスレンダーラインの黄色のドレスを着た雷の精霊の“春雷“《シュンライ》が普通の人間サイズで出てきた、先程まで40センチぐらいのミニサイズだった身長が170センチぐらいのセクシーなお姉さんになっていた。
春雷『末長くよろしくお願いします、ご主人様』
「ぅわぁ~、大変身した…」
ニッコリ微笑んだ“春雷“は小さく驚きの声をあげる僕の前から横にずれた、その後に雪の精霊がニコニコ楽しそうに笑いなが目の前に来て。
雪の精霊『じゃあ、次は私が、・・・私、“雪花“《セッカ》はこの名を授けてくれたアメトリン・ノブル・デューキス様を主人として仕える事を誓います』
そう宣言した後、春雷 同様の現象が起きた少し違ったのが光の束が向かった場所が左の二の腕の下、肘に近い部分だった事ぐらいだろうか、光の束の温かさが消えると雪の精霊“雪花“《セッカ》の変化が始まった大きな光の塊が人の形を形造り光が収まると裾が短めのAラインがたの可愛いデザインの薄い水色のドレスを着た身長150センチになって可愛い笑顔で出てきた。
雪花『お役に立てるよう頑張ります!ご主人様♪』
「・・・あ、2人とも宜しくね、後、僕のことはアトリーって呼んで、お願い」
あまりの変わりように驚きはしたもののご主人様呼びはやめて貰いたいと思った。
ハント親方「おし!これで精霊達は“主従契約“を完了したな!良かったなアトリー坊!精霊が主従契約を選ぶなんて中々ないぞ!しかも上位精霊が自ら主従契約を結びたがるなんて無いに等しいからな!ガハハハハッ!」
「「「「えっ⁉︎」」」」
父様「ちょっ、ちょっと待って下さい!親方!“主従契約を選ぶ“って何ですか⁉︎他にも契約の種類があるんですか?そもそも“精霊契約“は名前を付けるだけではないのですか?」
父様の言葉に他3人も頷く。
ハント親方「うん?あぁ、そうか人族には精霊と契約している人間が少ないから“精霊契約“の基本を詳しく知らないのか…、
そうだな、簡単に説明すると“精霊契約“に3種類ある、基本として契約者はまず精霊の好む魔力質を持つ者で魔力量が多い事が前提だ、
そこを踏まえて1番一般的な契約方法が“友人契約“ この契約は名称の通り契約を交わした精霊が契約者を友人として認めて何か困った時に呼び掛ければ手を貸して貰えると言う契約だ、これには精霊の気分次第で力を借りれるかどうかが決まる欠点がある、まぁ大半は断られたりしないが精霊の性格次第ではくだらない事に呼び出した場合は出てきてくれても手を貸してくれなかったりもするな、後は精霊に嫌われるとすぐに精霊側から契約を切られる事があるぐらいか、
次は“信頼契約“だな、これは俺も火の精霊と交わしてる、この契約が友人契約と違う所は呼び掛ければ必ず出てきてくれる所だな、友人契約で話がしたいからと呼び出しても精霊がそれを拒否して出てこない時があるが信頼契約の場合は必ず出てきてくれる、だがそれでもこちらがした質問に答えてくれるかはその時の精霊達の決まり事や気分次第だな、それと精霊の力を借りるのはほぼ拒否はされない、この信頼契約は友人契約から始めて精霊との友好関係を深める事で信頼を得てから契約を交わす事が普通だ、これも精霊に心底嫌われると契約を破棄される、
まぁ、あれだ、人間同士の人間関係の構築とほぼ変わらないだろう、ここまではいいか?」
父様「はい、精霊相手でも人間関係のような礼節が大切だと言う事ですね」
ハント親方「おう、そう言う事だ、相手は意思があって趣味嗜好がある訳だからな、嫌な事をされれば嫌われるのが当たり前ってことだ、よし次が肝心な所だ、
アトリー坊が交わした“主従契約“とはまず前提として契約者が精霊に物凄く好かれていると言うことだ、魔力の質や量も今まで説明した契約方法より条件が厳しい上に人柄まで惚れ込まれた人間じゃないといけない、と言うかしないな、精霊が惚れ込んだ相手しか心を許さない契約方法がこの主従契約だ、
契約をした精霊は基本的に契約者から離れず常に契約者の役に立とうとしてくる、それに精霊は契約者に自分の力の一部を契約者に渡したりもする、契約も精霊自ら切ることは殆どなく契約者が意図的に切るか死ぬまで契約したままだ、その“証“が契約者の体の一部に浮かび上がるらしいぞ」
「え、・・・それって、さっきの光の束が触れた所?」
そう呟くと皆んなの視線が僕の両腕に注目した。
(ぅわ~、なんて重い契約したんだと思ったら、“契約の証“まで付けられるなんて聞いてないよぉ~)
天華『まぁ、いつかこうなるとは思っていましたし、精霊達の契約内容は“主従契約“一択でしょうからと説明を怠ってました、私達はアトリーが気に入る者が現れるのを待っていたんですが・・・、流石にこんな形で契約することになるとは思いませんでしたね』
『予想外です』と、天華が言う言葉に、(僕がする精霊契約は“主従契約一択“なんだ)と遠い目をした。
父様「アトリー、ちょっと袖を捲って腕を見せてくれるかな?」
「あ、はい」
現実逃避をしていた僕に父様が“精霊契約の証“を見せてほしいと言ってきたので着ていたゆったり目のシャツの左手首の袖のボタンを外し袖を肩まで捲り上げた。
「「「「!」」」」
父様「こ、これはまた綺麗な模様だね…」
父様の言う通り僕の二の腕の肘上ぐらいに薄い水色で綺麗な雪の結晶の模様が風に流されている感じの構図で描かれていた。
「雪の結晶・・・、綺麗、・・・ん?、じゃあ反対側は雷の模様?」
いつの間にかまたミニサイズになって刀の上に戻っていた春雷を見ると笑顔で頷いたので正解らしい、反対側の腕も見ようと右腕の袖も捲り上げた、そこには装飾の凝った稲妻模様が数本斜めに描かれている、色が黄色から青白い色にグラデーションが掛かっていて綺麗だった。
(おぉ~、綺麗に色が入ってる!しかしこれはこの先半袖とか着れなくなっちゃったね、知識がある人が見ればすぐに僕が上位精霊と主従の契約を結んだのが分かってしまうね)
父様「・・・これは今後人目に触れさせてはダメだよアトリー、いいね?」
父様も僕が考えていた事と同じ考えに思い至ったようだ。
「はい、父様、外での着替えなどは特に気をつけます」
父様「良い子だ、ソルも十分に気にかけてやってくれ」
ソル「はい、承知いたしました、旦那様」
ソルがお辞儀をして承諾したのを見た父様は親方の方を真剣な顔をして見た。
ハント親方「おう、そう睨むなラト坊!俺はここで見て聞いた事は誰にも言わねぇよ!」
父様「ふぅ、本当お願いしますよハント親方」
ハント親方は父様の言いたい事を察知して先回りする形で他言無用を口にした、そんな親方を見て父様はため息をついた。
父様「これで、大体の疑問は解決したわけだが精霊達は今後も刀に宿ったままになるのかな?」
「2人の話では出たり入ったりする事は自由なようです、僕は本人の希望があれば他人には見えないようにしてくれていれば側にいてもらっても良いとは思っています」
父様「そうか、私としても他の人間にバレなければどちらでも良いとは思っているが例のエルフの件もあるからあまり表立って精霊達が刀から出ているのは好ましくないな、刀に宿っている状態ならばただ偶然 珍しい刀を持っているっと思わせる事もできるだろう、だが刀から出た状態でアトリーの周りにいると精霊が見える者には完全に精霊と契約した事が分かってしまうからね」
(確かに、精霊が見える人がいればバレちゃうか)
「そう、ですね、では屋敷の外に出る時は刀に宿って貰うことにしますか?」
父様「うん、そうだね、それなら屋敷外でエルフやドワーフのような精霊が見える一部の者達に勘付かれない、かな?」
ハント親方「そうだな、一般的には武器や魔道具に自ら宿る精霊がいる事は知っていてもそれが契約精霊だとは気づかねぇとは思うぜ」
「・・・君達はそれでもいい?」
僕は精霊達に先程の条件をのんでくれるかと聞いてみると2人はそれで良いと笑顔で快く承諾してくれた。
「ふふっ、有り難う2人とも、父様、彼女達はその条件でもいいと、言ってくれています」
父様「良かった、アトリー、くれぐれも外出時は気をつけるんだよ?」
「はい!、父様!・・・あ、そうだ父様に聞いておきたい事があったんでした」
父様「うん?何だい?」
「明日の学園の帰りに冒険者ギルドに寄って帰ってきても良いですか?」
父様「あぁ、そう言っていたね、どうしても明日じゃなきゃいけないのかな?明日は父様は仕事で連れて行ってあげれないんだ」
「むぅ、父様、僕はもう今年で10歳になるんですよ!街中を馬車で連れて行って貰うぐらいできますっ、聖獣の皆んなもいますし、それに早めに行かないと母様の気が変わるかもしれませんし」
父様「ふふっ、最後のが本音だね、分かったよ、明日の帰りに護衛騎士を多めに付けるからソルと2人で行っといで」
「はい♪、有り難う御座います、父様♫」
父様「でも、気をつけるんだよ、冒険者中でもわざと子供に絡んでくる悪い大人がいるんだからね、まぁアトリーを傷つける事はできないとは思うけど」
「はい、気をつけます」
父様「うん、宜しい、では今日はもう色々あって疲れただろうから夕食まで部屋でゆっくりしなさい」
「はい、ではそろそろ自室に戻ります、ハント親方今日はわざわざご足労頂き有り難う御座いました、また今度 工房の方にお邪魔させて頂きますね、ではお先に失礼いたします」
僕が退出の挨拶をしている間にソルが開きっぱなしになっていたトランクケースを閉めて手に持っていた、挨拶を済ませるとそのまま父様の執務室を退出して部屋に戻った。
>ーーーーー<>ーーーーー<>ーーーーー<
アトリーが退出して行った後の執務室で・・・
父:アイオラト視点
ハント親方がアトリーが出て行った扉を見つつしみじみと言った。
ハント親方「規格外の息子を持つと苦労するなラト坊…」
「規格外でも可愛い我が子のことですから苦労はしてませんよ」
ハント親方「規格外なのは認めるのかよ!」
「まぁ、事実ですし、隠そうとしてももう隠せないですからね、それに神々から愛されているのであの子にはほぼ危険は無いと分かっていますから、後は政治的な面倒ごとだけ気をつけるだけですし、そこは大人の仕事ですからね、学園に通っている間ぐらい周りを気にせず過ごして欲しいと思うのが親心じゃないですか、それぐらいの配慮なんて苦労のうちに入りませんよ、家族の為ですからね」
ハント親方「・・・まぁそりゃあ違いねえか!じゃあ頑張れよ親父殿!ガハハハハハッ」
「えぇ、励まし有り難う御座います」
(まぁ、あの子は問題が起こったとしても自分で解決してしまうから本当は後始末するだけだったりする事の方が多いのだけれどね・・・はぁ)
自分の息子が手がかからな過ぎるのも不安だと心の中でため息をついた。
その後 親方は少し雑談をして帰って行った、見送りを済ませた私は明日の護衛騎士の選抜をカイルに任せ 自分は今日の書類仕事を夕食の時間までにこなす事にした。
「さて、この書類の山が今日中に終わったら明日はアトリーと一緒に行けるかもしれない、よし!頑張るか!」
その日の午後は夕食の時間までみっちり書類仕事をしたが書類の山は片付かなかった・・・