6話 僕は冒険者になる!
どうも、こんにちは僕です! 今王都の屋敷で入学祝いのパーティー中に父様に冒険者ギルドに連れて行って欲しいとお願い中なんですが・・・
父様「・・・・・、アトリー、登録がしたいだけなのかい?・・・それとも、本気で冒険者になりたいのかな?」
「?、勿論、将来 冒険者になって依頼を達成させたて収入を得て暮らしたいです♪」
「「「「「「「「「「えぇっ‼︎⁉︎」」」」」」」」」」
ソルと父様以外のその場にいた人達全員が声を上げて驚いていた。
(えぇ~なんで驚いてんのさ?)
「え…、駄目なんですか?」
父様「う…、だ、駄目では無いけど…、なぜアトリーは冒険者になりたいんだい?」
「僕は三男なのでいつか家を出て行かないといけないですし、色んな種族に会って色んな文化も体験してみたい、それに何よりさまざまな国の珍しい景色や美しい景色を見て回りたいです♪」
父様「ハァ~、やっぱり…、薄々そう言うと思っていたよ、アトリー、冒険者はとても危険な職業なんだよ?分かっているかい?」
母様「そうよ、大きな怪我だってする可能性が多いし最悪 死んでしまう事だってあるのよ?」
父様と母様が凄く心配そうに冒険者になる危険性を上げて言ってくる、
(心配してくれるのは分かっているけどそれでも僕は自由気ままに冒険者ライフをしたい!)
「はい、すべて承知の上です、父様達のご心配も理解できますが僕は色んな場所で色んな事をして色んな景色を見たいんです!」
父様達の顔を真っ直ぐ目を逸らさずに自分が本気だと強い意思をこめてジッと見つめた。
父様「・・・、ふぅ、アトリーが本気で冒険者になりたいのは分かったよ・・・・・、私達にはアトリーのしたい事を止める事はできないからね、でもこれだけは約束してくれ、月に一回 必ず私達家族に顔を見せに帰って来る事、いいね?」
「‼︎、はい!約束します‼︎」
(やった~‼︎父様が許してくれた‼︎あ、でも母様が…)
母様は難しい顔をしてこちらを見つめている。
「母様…、母様は僕が冒険者になる事に反対ですか?」
僕は反対されるのではと思い不安になって少し俯き眉も下がっていった、
シュンッと、テンションが下がった僕に母様が近づいてきて優しく肩に手を置き目線を合われるように少し屈んだ、その時の母様の表情は優しく何処か心配そうな色を帯びていた。
母様「アトリー…、母様はアトリーのしたい事はなんでもさせてあげたい…、貴方が傷つく事は無いに等しいでしょう、でも何事にも万が一という事もあるかもしれないわ、何よりアトリー、貴方の心が傷つくのが1番心配なの、貴方が外の世界を見て回りたい気持ちは尊重するわでも外の世界全てが貴方に優しいわけではないの、他の国でも貴方の事を知っている人はとても多い、その中でアトリー、貴方の事をよく思ってない人は少なからず存在しているわ、貴方の体を傷つけることができはしなくても優しいアトリーを騙して貴方の心を傷つけようとする人がいたら?母様はその事が心配でたまらないわ」
母様が僕の事をとても考えていてくれた事に嬉しくなった僕、それと同時に母様の心配も理解できた。
(それでも僕はこの世界を旅してみたい…)
「母様・・・」
母様の親心も分かった僕はどうしたら母様の不安や心配を少しでも減らして説得できるかと思い悩んでいると。
母様「・・・貴方もいずれは大人になって独り立ちする時が来るでしょう、でも、それは今では無いわ、学園を卒業するまでは私達の目の届く範囲で冒険者として活動すると約束してくれたら母様も冒険者登録に賛成します」
「⁉︎、えっ!良いですか⁉︎本当に⁉︎」
母様の最後の言葉を聞いた僕は聞き間違いでは無いかと確認してしまった。
母様「えぇ、先程の条件をちゃんと守ってくれるのなら…」
母様は苦笑い気味に念押ししてきた。
「はい!、ちゃんと約束を守りますし学業もおろそかにはしません‼︎」
母様「ふふっ、約束よ、アトリー」
「はい‼︎約束します!母様‼︎有り難う御座います!大好きです!」
嬉しすぎて母様に抱きついた。
母様「!、私も大好きよ、アトリー、ふふっ」
母様も抱きしめ返してくれて、しばらく抱き合った後互いに微笑み合い頷いた。
母様「アトリー、冒険者のお仕事で冒険してきたことを母様にも色々教えてちょうだいね?」
「はい!母様♪」
母様の許しが得られてテンション高めの僕はここには大勢の人がいた事を忘れていた、そして母様から離れた後一拍置いて全員が微笑ましいものを見る目で僕達を見ていることに気づいた。
(あ・・・、母様と抱き合ってる所をみんなに見られてしまった~!僕もう10歳なのに!うぉ~!穴があったら入りたい‼︎)
僕は顔が真っ赤なるのを自覚して両手で自分の顔を隠したままうずくまった。
「は、恥ずかしい…恥ずかしぬ…」
母様「あらあら、ふふっ」
父様「ふふっ、アトリーそんな恥ずかしがらなくても良いのに」
恥ずかしさでうずくまった僕の頭を父様が優しく撫でてくれている。
「うぅ~、大勢の人の前で母様に抱きつくなんて…、はしたない真似をしてしまって…恥ずかしがらない方が無理です~」
母様「ふふっ、母様は嬉しかったですよ?ふふっ」
父様「良いじゃないか、ここにいるのは身内かよく知っている人だけなんだから」
「う~、それはそうですが…」
今だに顔が赤い僕をゆっくり立たせながら苦笑いしている父様。
父様「大きくなったねアトリー、大きくなってもアトリーは私達の可愛い息子なのは変わらない、だからいつでも抱き着いてきても良いんだよ」
母様「そうよ、アトリー、いつか貴方も母様の背を越すんでしょうね、それでも母様はいつでも貴方を抱き止める準備は万端よ?ふふっ」
そう言いながらまた僕の頭を優しく撫でる父様と母様。
(あぁ~父様と母様2人から撫でられるとなんか今までの恥ずかしさがどうでもよくなってきたな~、母様の準備万端って喜んで良いのか?まぁ撫でられるの好きな時点で抱きつくのも似たようなもんか?)
「う、それは有り難う御座います?」
少し開き直って一応お礼を言ってみた。
母様「ふふっどう致しまして♪、さぁアトリーそろそろ気を取り直して他の人達ともお話ししてらっしゃい」
父様「そうだね、まだお祝いパーティーは始まったばかりなのだから楽しみなさい、後でプレゼントもあるからね それも楽しみにしてるといいよ」
「はい、父様、母様、冒険者登録を許可していただき有り難う御座います、なるべくご心配をおかけしない様に頑張ります!」
父様「困った時はいつでも相談に乗るから遠慮しちゃ駄目だよ?」
母様「悩み事も自分1人で溜め込んでは駄目ですからね?」
「はい!ちゃんとご相談します!」
父様「うん、宜しい、ほら、イネオス君達が話をしたそうに待ってるよ、行っといで」
「あ、はい、では失礼します、カイ兄様、パティ姉様、ご婚約おめでとう御座います、また今度ご婚約までのお話し聞かせて下さいね♪、コミス伯もお話中に失礼しました」
早口で言い終えて軽くお辞儀をしてからその場を離れた。
イネオス達の所に一直線に向かっている間、後ろからソルと聖獣達がついて来ているのを気配で感じながら独りごちた。
「はぁ、恥ずかしかった」
ソル「良いじゃ無いですか、ご家族と仲が良い証拠ですよ、アトリー様」
「む~、確かに家族仲は良いよ?でもイネオス達やそのご家族の前で小さな子供みたいにはしゃいで母様に抱きつくなんて流石にはしたないし、恥ずかしいじゃん、それに初めてお会いしたコミス伯爵家の方々の目の真ん前だったし…はぁ」
ソル「ふふっ、それは分かりますけどね、まぁ、もうしてしまった事はどうしようもないですし、コミス伯爵家の方々は仲が良くて良いですねって顔をなさってましたよ」
「う~、そう言われると、もう恥ずかしいとか言ってられなくなっちゃうよ~」
ソルと会話しているうちにイネオス達の所まで到着していた、するとヘティが不安そうな表情で近寄って来た。
へティ「アトリー様!先程のお話は本当なんですの?」
「?、僕が冒険者になること?」
へティ「そうそれです!冒険者におなりになったらもう私達とお会いして下さらないのですか?」
「え⁉︎、何故そんなことになるの?僕はいつでも会いに行くよ?」
いきなり、へティの中で僕が冒険者になったら会えないなんて事になっているのか意味が分からないが落ち着かせるためにいつでも会いに行くと言った。
へティ「え?、だって色々な国に行ってしまわれるのでしょう?」
「ん?・・・・・あぁ、それは確かに色々な所に行くけど、すぐに帰って来れるから大丈夫だよ」
(あぁ、なんだその事か、確かにこの世界での旅は一度出て行ってしまうと今生の別れに等しい事にもなるものね、魔物がいる世界だから強い冒険者でも生きて帰って来る人の方が少ない事もあるし、でもそれは僕に関しては大丈夫何故なら…)
へティ「すぐにですか?」
「うん、すぐに、僕の魔法属性が全て使えるのは知っているでしょう?」
ベイサン「えぇ、最初見た時は意味が分かりませんでしたけど今ならとても凄い事だとは知っています」
「うん、それには僕も凄く驚いたけど、その中に“空間魔法“も入っているから、空間魔法を使えばすぐに戻って来ることが出来るんだよ」
イネオス「え⁉︎、それはアレですか⁉︎あの高等空間魔法の“テレポート“が使えるって事ですか⁉︎」
「うん、そう言う事、だからいつでもみんなに会いに行けるよ、それに僕が行った事のある場所なら皆んなも連れて行ってあげれるよ?」
へティ「え⁉︎、でもあの魔法は自分1人を移動させるだけで魔力量が持たないって聞いた事があります」
「そうだね、普通は無理みたいだけど、ほら、僕 魔力量だけは人1倍あるから大丈夫なんだよ」
(前世では飛行機って言う手もあったけど移動にはどうしても時間が掛かるもんね、それに比べ空間魔法のテレポートの方が一瞬で行きたい場所に行けるから楽だし簡単で良いよね、うふふっ魔法って便利♪)
天華『あぁ、アトリーが怠惰な生活をしないか心配です』
(使えるのもはなんでも使うの!)
ベイサン「あぁ、確かにアトリー様は魔力量は凄いですもんね」
ベイサンは納得っと頷きながら言ってる横でイネオスもそうだったっと言う顔をしていた、へティもそう言えばそうでしたねっと何度も頷いている。
ソル「人1倍ではなくて10倍以上でしょう?」
ソルは鋭いツッコミを入れてくる。
「確かにそうだけど!そこは今はいいよ、だから学園を卒業して冒険者になったとしてもたまには一緒に遊ぼうね♪」
へティ「はい♪、あ、でも、ソル君はどうなさるんですか?アトリー様と一緒に冒険者をなさるですか?」
「そう言えば僕は聞いてないね、でも、ソルはソンブラ子爵家の後継だから僕と冒険者として旅に出るのは無理じゃないかな?」
(ソルは一人っ子だもんねセルドスさんの後を継ぐのはソルだけだから色々する事があるだろうし旅に出ている暇なんてないしね、いつも一緒だったから離れるとなると少し寂しいけど、ソルにはソルのしなきゃいけない事がある、それが大人になるって事だろうしまだ先の事だから今は学園で皆んなと楽しい時間を過ごしたいな…)
と、心の中で今を楽しもうと思っていると。
ソル「僕はアトリー様について行きますよ、お祖父様と母上にはもう話していますし、承諾してもらってます」
「‼︎、えぇっ⁉︎・・・・・本当に?」
ソル「はい、アトリー様について行くのは僕の中では決定事項ですので、それにアトリー様を1人にしておくと色々大変な事をしそうですからね」
「な、なにそれ!僕が問題を引き起こしてるみたいな言い方!それに僕1人じゃないよ!ジュールや天華、夜月も一緒に行くんだからね!」
(をぉ~い、言うようになったなぁソルちゃん!って言うか今まで色々あったトラブルは僕が引き起こしたことなんて一度もないからね‼︎)
軽く頬を膨らませムスッととした顔をした僕にソルは困った人だみたいな表情で見ている。
ソル「アトリー様、そんな顔を無自覚になさるから、皆さん心配なさるんですよ?」
「え⁉︎、どう言う意味⁉︎僕は怒ってるんだからね⁉︎・・・なんで怒ってる顔で皆んなが心配するの?」
(訳が分からん‼︎( *`ω´)どこに心配要素があるのさ?)
怒っていたけど意味不明な事を言われて最後には頭を傾げた。
ソル「そんな所ですよ、アトリー様」
その様子を遠巻きに見ていた大人達が苦笑い気味にソルの言葉に頷いていた、ソルの横でイネオスやベイサン、へティまで頷いている。
(解せんっ!∑(゜Д゜))
ジュール『う~ん、皆んなが心配するのはしょうがないと思う』
天華『最近また一段と美に磨きが掛かってきましたからねぇ』
夜月『ある意味 人間離れしてきたな』
(をい、何だそれ)
天華『アトリーは元から姿勢や所作が綺麗でしたけど最近お母君からもっと細かく指導されて実践なさってましたでしょう?』
(う?、うん、確かに?僕が元から姿勢や所作が良いのは前世で“日本舞踊“を習ってた時に師範から指導されてたからだけど、それはどっちかって言うと女性寄りの所作だったから、母様が立派な紳士になれるようにって色々矯正されただけで…、それがどうしたのさ?)
ジュール『その事でアトリーちゃんの魅力が倍増して男女問わずアトリーちゃんに惚れちゃう人が続出してるからじゃない?』
(え~、それって本当?ほんの少し所作を男性よりにしただけでそんな簡単に僕に惚れる人なんていないよ!それに僕のモテ期が来たからってソル達が心配する程の事が起こるなんて事はないでしょう?)
心底意味が分からなかった僕、ソルやイネオス達が互いに顔を見合わせ やれやれ と首を横に振っている。
天華『まぁ、それ以外の事でも心配してるんでしょう、アトリーは色んな意味でも目立ちますからね』
(う、・・・それは否定出来ない、卒業後の冒険者活動は色味を変えてみようかな?)
夜月『そうだな、その方が良いかもしれないな、やってみる価値はあるか・・・・・まぁそれで目立たなくなるかは疑問だが、ボソッ』
天華『何にせよ、卒業後の事ですし、まずは明日の学園帰りに冒険者ギルドで冒険者登録をしてから今後の対策を考えましょう』
(うん、そうだね、明日ソルも一緒に連れて皆んなで冒険者登録しに行こうね♪)
ジュール『楽しみだね♪』
天華『そうですね、楽しみです』
夜月『ふむ、どんな所だろうな?』
(うん、僕も気になる!)
明日の予定を確定させた僕、その後ソルにも承諾をとり明日の学園の帰りの話題で皆んなと盛り上がっていると。
父様「アトリー、こちらにおいで」
と、父様に呼ばれたので皆んなの所から離れ会場の上座にいる父様の所へ移動していると、父様の横に見覚えのある人物が立っていた。
(え、何でここにいるの?)