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52話 神様からの提案は事件の後始末でした? 父:アイオラト視点


  父:アイオラト 視点


 執務室に入って来られた聖獣様達から用事があると言われ、なんの用事かと問うと。


「用事ですか?」


テンカ様:『はい、今日の事柄に関しての神々からの提案がありまして、それをお父君にお伝えする様にと言いつかってます』


 と、神々からの提案を話にいらしたと言われ、息を呑んだ。


「神々からの提案ですか・・・」


テンカ様:『はい、まず今回の事件の首謀者は帝国貴族のヴァルケン伯爵とこちらの国の貴族のジャオフア伯爵と彼が懇意にしていた商会、タンユ商会が仕組んだ謀略の様です』


「タンユ商会?あそこは武器商人だったはず 承認を得ていない武器商人が我が国の宝石を売買する契約を交わすとは、だがヴァルケン伯爵が言っていた商会は別の名前でしたが…そうか、ジャオフア伯爵がこんな事を企んでいたとは…」


テンカ様:『その商会は名前だけ存在する実態の無い商会ですね、タンユ商会が新しく商業ギルドに別の名前を登録して営業実績を偽り帝国側の調査を欺いてヴァルケン伯爵と大口の契約を結んだ様です』(所謂ペーパーカンパニーですね)


「実態の無い商会ですか、だから私が名前を知らなかったんですね…」


テンカ様:『そうですね、実際に営業をしていた訳ではありませんからお父君の耳には入らなかったのだと思いますそれにお父君が宝石の売買の許可を出さなければこの国では宝石商として活動できないとお聞きしたのですが…』


「えぇ、そうです、なので私はその商会は他国の宝石商かと思っていました」


テンカ様:『他国の宝石商の場合は貴方の認証無しで宝石の売買ができるものなのですか?』


「場合に寄りますね、他国の宝石商が自身の国のから持ち込んだ宝石の売買には規制はありませんがこの国で採掘された宝石の売買に関しては私の認定証がなければ違法取引になりますし まず仕入すら出来ないでしょう、ですが地元の認定証を持った宝石商からは認定証無しでも買い取ることは出来ます」


テンカ様:『ふむ、仕入れとは公爵家が管理する鉱山で直接するものですか?』


「そうですね、我が国では鉱山の入り口前に街を作りそこに採掘された宝石の原石を集め厳重な警備の下 管理しています、その街には認定証を持った宝石商しか入る事は出来ません、なので街に入る事ができない者は直接仕入れは無理なのです、鉱山の採掘職人に至っては魔法契約を交わし採掘した宝石は街から勝手に持ち出すことはできない様にしてあります」


テンカ様:『それほど宝石の管理が厳しいのですね…』


「はい、この国1番の輸出品なので宝石の在庫の管理は徹底させてます、それに今回の事件の契約にあった大きな希少宝石の管理は我が公爵家の屋敷で直接しているので契約するには必ず公爵家の屋敷に来て直接 私と交渉せねば その宝石さえ見る事は出来ないでしょう」


テンカ様:『では、その契約書にはお父君のサインが無いのに契約が成立していたと?』


「はい、そう言う事になりますね、なので帝国の方でもそれが無い時点でその契約を疑わなければいけません、なのにその契約がヴァルケン伯爵の功績として陞爵するような自体までなっているのが理解出来ないのです」


テンカ様:『そうですよね、普通なら疑って掛かるべきですし、宝石の管理を一手に引き受けている公爵家に確認の1つも有るべき事柄です、それが行われてないのはもしかしたら帝国内でも不正をしている者がいる可能性がありますね…』


「確かに、皇帝は大きな希少宝石の取引に成功して純粋に喜んだからヴァルケンを伯爵に陞爵したのでしょう…、と、言うことは皇帝には契約の正確な内容を知らない可能性がありますね、契約証には我が公爵家の認定証を持たない宝石商の名前と公爵家のサインも無い事を見る者がみればすぐに解る筈ですから」


テンカ様:『ふむ、では皇帝にはこの国の宝石売買の仕組みはちゃんと理解できていると言うのですね?』


「はい、理解しなけれ今までずっと取引をする事は出来ませんからね、私達もこの仕組みを理解して頂いた上で信頼できる方と宝石を販売しているのですから」


テンカ様:『確かに、信頼関係は大切ですね』


「国の利益にも関係する事柄ですからね」


テンカ様:『そうですね、話して頂いて有り難う御座います』


「いえいえ、これくらいの事は公爵家の認定証を持っている宝石商なら誰でも知っている事ですので大した事ではありません、それでテンカ様神々からの提案とはどの様な事でしょうか?」


 色々と話してはいたが肝心な神々からの提案の内容を聞いた。


テンカ様:『あぁ、それなんですが、主神様には今の質問をする様にと仰せ使っていただけなんです』


「?先程の質問だけですか?」


 どう言う事だろうか?我が国の宝石売買に関しての仕組みを聞かれただけなのだが・・・


ヤヅキ様:『んっ?、・・・・・はぁ、そう言う事か…、父君、神々からの伝言だ、『今までのやり取りを睡眠中の皇帝に夢として送り込んだので翌日の昼までにはこちらに連絡が来る筈だ』と』


「え、え?そ、それは どう言う事ですか?」


 今までのやり取りが皇帝の夢に?それはどう言った方法で?い、いや、神々がなさる事だからできない事は無いのだろうけど…、

どう言う意図で?・・・・ん?・・・あぁ!そう言う事か!それなら向こうから連絡があるのを待つだけでいいな。


ヤヅキ様:『ふむ、察しがいった様だな、父君が予想した通り夢で今回のやり取りを見た皇帝が朝起きてすぐに今回の契約証を確認するだろう、そして先程言っていた契約証の不備に気づくはずだ、その事の事実確認をする為に向こうにいる大使を通して公爵領の屋敷か王城に連絡が届く、その連絡がここ コンテ領に滞在している父君にも入るっと言う事だ、それが昼頃には入っているだろうと神々が仰っている』


テンカ様:『それにヴァルケン伯爵が今回のアトリー様に手を出そうとした事も帝国側に連絡は既に入っていると思います、これで今回の事件と不正契約の件両方が解決できると思いますよ』


「神々の提案とは今回の事件解決へのお手伝いだったのですね?」


ヤヅキ様:『提案と言うか、強要だな』


「はははっ、それで神々のお役に立てるのならば願っても無い事ですよ、それにこれで我が王国と帝国で国際問題や戦争になったりしなくて済みますし」


テンカ様:『そうですね、これでアトリー様が憂なく過ごす事ができるでしょう』


「・・・・・、ご配慮 有り難う御座います」


 これでアトリーの為に神々が動いたと言う事が分かったので聖獣様方に深く頭を下げた。


ヤヅキ様:『気にするなこれも私達の役目の1つなのだから…、それにアトリーが今回この件で自分のせいだと思い詰める事の方が私達にとっては一大事だからな』


テンカ様:『えぇ、それだけは避けなければなりませんからね』


ジュール様:『アトリーちゃんには笑顔が1番だからね!』


 聖獣様方にとってやはり最優先はアトリーの心なのだろう、あの子の為にここまでして貰った事に最大の感謝を込めて。


「・・・本当に有り難う御座いました」


+・・・・・+・・・・・+・・・・・+


 翌日の昼前・・・


 神々の予想通り王城に帝国側からの連絡が来て今回の件に関しての問い合わせと ヴァルケン伯爵がしでかしたアトリー誘拐未遂事件への帝国としての処罰を知らせて来た。

 ヴァルケン伯爵への処罰の内容は爵位の奪爵の上 国外追放処分となりヴァルケン伯爵の身柄は我が王国で好きにして良い事となった、例の宝石の取引に関しては皇帝自ら選抜した交渉人を立てて再度 契約交渉を我が公爵領で行う事になり数週間後に派遣されて来るらしい、おって連絡するとの事だ、

多分、今回のヴァルケン伯爵と手を組んでいた帝国内のネズミの処理に忙しいのだろう私としては焦らずにしっかりネズミの処分をして貰いたい所だ。


 そして王国側としても今回の件で発覚した偽造商会を作ったタンユ商会とヴァルケン伯爵と裏取引をしたジャオフア元伯爵の新たな罪状への取り調べと処罰の再検討が早急に行われているそうだ。

 陛下からはジャオフア元伯爵が自信満々でデューキス公爵家を取り潰すと息巻いていた理由が分かってスッキリしたと手紙にあった、しかしそれがあの邪神教から提案された事ならだいぶ厄介な手口だったのは間違い無いだろう、今後は帝国以外の国々にも我が王国との宝石取引をする際には必ず折り返し確認を取る様にと注意喚起を行い、確認を怠って違法取引が発覚した場合、我が王国は国として責任を一切負わないと公言したらしい。

 取引国の中でも多少の反発があったが今回の違法取引の詳細を送って互いの信用問題になるからと説得し納得して貰ったようだ。


 これで全て丸く解決した事で国際紛争の火種が消えアトリーもホッとした様子で昨日お世話になった冒険者パーティーの“紅の牙“方々を見送った。


 その後に、


「アトリー、私達は明日の朝 出発する事になったから今日はどこか行きたい所はあるかい?」


アトリー「良いんですか?じゃあ昨日行った飲食店のりんごの包み焼きがまた食べたいです!」


と、元気良く答えた可愛い息子の頭を撫でて出かける用意をした・・・・















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[一言] 神罰がくだったらしいけどどんな神罰だったのかが気になる。
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