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42話 影騎士の報告 父:アイオラト視点


   父:アイオラト視点


 昨日のお茶会が終わった その日の夜にシベラスが連絡要員として連れてきた、国に仕える影騎士2人が今日1日の報告をしたいと来たらしい、

彼らの役割としては陛下と我が家の情報共有の為の連絡要員の他に影騎士として得た情報をお茶会の来客に照らし合わせながら身辺調査も行って貰った、

そこでスポルコの動向も監視していてくれていたのだが、父上が言っていた通り お茶会の後のスポルコを監視していた影騎士なら奴の変貌の真相がわかるかもしれないと思った。

 暫くすると先程の執事に連れられて昨日紹介された影騎士2人がサロンに入ってきた。


影騎士1「夜分遅くに失礼します」


 影騎士の1人の背の高い男“エファセ“が挨拶をしてきたもう1人の背が低い影騎士の男?の“ゾサ“は頭を下げて挨拶していた、どちらもフードを目深にかぶり顔が見えないが“エファセ“は声から男性だと分かるぐらいだ、“ゾサ“に至っては声も殆ど聴いてないので性別不明だ。


「気にしなくて良い私達も今日起こった事を話し合っていた所だから、で、今日の報告とは?」


エファセ「はい、昨日から監視していたスポルコの様子と本日の王都散策中にシベラス補佐官から頂いていた“要注意人物表“に名前があった者の目撃とその後の追跡調査のご報告に参りました」


 “要注意人物表“私達はその言葉に眉を顰めた・・・


 その表はシベラスが記録の魔道具の調査を陛下達に頼んだ時に発覚もしくは疑わしいと判断した“噂をばら撒いた“者達の名前と数名の“小児性的愛好家“達の名前が書かれているのが“要注意人物表“だ。


 顔を顰めた私達にエファセは軽く咳払いし先を話した。


エファセ「んっん、まず、スポルコの帰宅後の動向ですが自宅に入ってからは暫くは書斎の中で焦ったように室内をぐるぐると頭を抱えながら回っていたのですが不意に止まり窓の外の空に向かって跪きながら祈りだしたのです」


「「「「「ん⁉︎」」」」」


「祈り出した?」


エファセ「そうです、祈り出しました暫く祈った後は自宅内に隠してあった金をかき集め出し、その集めた金を持って弟のイリクニス氏の自宅に駆け込み自ら横領の件を告白し許しを乞おうていました、その後はイリクニス氏に金を押し付けた後自らの足で衛兵隊詰所に行き横領の件を自白して牢に入れられました、

私どももあまりの展開に戸惑いましたが明け方まで様子を観察してこれ以上の監視は大して意味がないと判断し 早朝にお手紙で報告させていただき、そのまま本日の王都散策の周辺警戒に加わりました」


父上「ふむ、解らん、なぜ急に祈り出したかも解らんが自ら罪を暴露したのかも何もかも解らん」


母上「でも見ように寄ってはアトリーに横領の件を見破られてすぐ止めるように言われたから素直にやめて自白したと見えるわよね、・・・その間に神から何かしらの罰が降って改心させられたと私は思うわ、天に祈りを捧げていたようですし」


「・・・・・確かに、そう言われると納得できますね、アトリーはスポルコの父親のシンセロと仲が良いですからシンセロを悲しませたくなくて穏便に済まそうとこっそり忠告していたようですし、あの子はスポルコの改心を願っていましたしね、まぁこれでスポルコが我々公爵家に何かすると言う事が無くなった事で心配事が一つ片付いたと思いましょう」


「それでもう一つの心配事はどのようなことかな?報告の続きを頼む」


エファセ「はい、その後 私達は本日の王都散策の周辺警護に加わり、ご子息に不用意に近づく者や怪しい視線を向ける者の捜索し場合によって公爵家の影の方にその不審人物の追跡調査の依頼を出したりとしていましたが人形専門店から出て来られるご子息をジッと見ている人物がいました、それが今回シベラス補佐官から頂いた“要注意人物表“に名前が上がっていた“テフル・ノブル・ピリアー子爵当主“でした、

 彼は“要注意人物表“の中で“小児性的愛好家“の欄の2番目に名前が記載されていましたので、私達はその人物の追跡調査を優先的に行う事とし、そのまま“ピリアー子爵“の監視任務を実行していると子爵は公爵様方が乗られた長馬車を密かに尾行していました、ですが武具店の前で起こった騒動と時を同じくして子爵の体に異変があったようで 子爵はその異変が呪いではないかと推察し、貴族街の神殿に駆け込み神官様に解呪を依頼された様ですが解呪できず、

困った子爵は王城に務めている血縁者を頼り王城の城門前で警備をされていた騎士に拘束されて今は城内の牢で尋問を受けています」


「「「「「・・・・・はぁ?」」」」」


 急に話が飛んだな、“要注意人物表“の“小児性的愛好家“の欄にピリアー子爵の名前があったのは覚えているがその子爵に何があって王城に入る前に捕まったんだ?


「す、少し良いかな?、まず、ピリアー子爵にどのような異変があったのかな?」


エファセ「どうやら顔に模様が浮かび上がったようですね、その模様が顔を布で拭いても石鹸で洗っても落ちなかったようです」


「「「「「・・・あぁ」」」」」


 私達はその話を聞いてすぐさま原因が判明した。


「そう言う事かそれなら王城の城門を警備していた騎士に拘束されたのは理解した」


エファセ「ご理解いただき有り難う御座います」


「しかし、また分かりやすく✖︎印の模様だったのかな?」


エファセ「い、いえ、それが…」


 先程まで淡々と話していたエファセが言いづらそうに言葉を濁した。


「どうした?」


エファセ「えーとですね、その模様は大変卑猥な模様でして…」


「「「「「卑猥?」」」」」


エファセ「は、はい、その…女性の前で言うのはちょっと…」


 それで言うのをためらってたのかエファセは中々紳士のようだ。


「あぁ、そうだね、母上少しの間 耳を押さえて後ろを向いて頂けますか?」


母上「まぁ、しょうがないわねぇ」


 と、言いながら耳を手で塞ぎ後ろを向いたのをしっかり確認して エファセに続きを促した。


エファセ「では…、その模様はですね、赤色で子供を表す印の体部分に男性の逸物を表す印が突き刺さっている模様なんです」


 と、少し声量を下げながら絵の書かれた紙を出して見せてきた。


「「「「ッ‼︎」」」」


父上「こ、これは…確かに女性には見せられないな」


ジョルジュ「…そうですね、お子様にもお見せ出来ない模様ですね」


「そうだな、これでは恥ずかしくて外にも出れないだろうな、まぁ、あの子爵が“小児性的愛好家“だったのは間違いなさそうだね、神からの神罰でこうもハッキリ模様を付けられたのが良い証拠だ」


カイル「そうですね…、それでこの模様は他についた方はいらしたんですか?」


エファセ「はい、模様の大きさに差はありますが王城内に5人程見つかりました」


「5人もか…、ん?模様の大きさが違うのかい?」


 エファセは紙を懐に隠しながら答えた。


エファセ「はい、そうですね、大きさは額に収まる範囲の物から子爵のように顔全体に出ている者もいます、額に収まる範囲の模様なら前髪を下ろしたりすれば隠れますが顔全体出ているものや額から目の当たりまで模様が出ている者もいましたのでそれは流石に隠しおおせるものでもないのでそう言う方はすぐに見つかり次第拘束されています」


 それも、そうだろうこの国では未成年に対しての性行為を法律で禁止しているそれが奴隷であっても違法だ、そもそもこの国には犯罪奴隷以外の奴隷は存在しない、それでも他国からわざわざ奴隷を購入し所有している者達がいる、その中でも親に売り飛ばされ奴隷にされた未成年の子供達も存在する、そんな子供達を食い物にしてきた奴らなのだろう、神罰が降ったのは良い見せ締めになったはずだ。


母上「もう良いかしら?」


 と、母上が聞いてきたので父上が母上に合図を出し前を向かせた。


母上「で、そんなにひどかったの?」


父上「あぁ、あれは女性や子供達には見せない方がいい、あの模様がある者は見つけ次第 逮捕する様に国中に通達するべきだな」


母上「あら まぁ、でも今回の神罰はアトリーに不純な好意を持った人達だけでしょう?」


「そうですね、今回は“王城でのパーティー“と“洗礼と祝福“の時 それと今日の“王都散策“の最中にアトリーを見かけて目をつけた者達が神罰の対象になった様ですから、どちらかと言えば王都から出ていく人達には注意した方がいいですね」


母上「そうね、今日は沢山の人にアトリーは見られていたから貴族だけではなく町民にも気をつけた方が良いわね」


エファセ「確かに…、そうですね シベラス補佐官にその様に報告しておきます」


 そして大体の報告を聞いた後 王城の大掃除のきっかけとなった“アロガイン侯爵“の話題となった。


エファセ「公爵様、先日 逮捕された“アロガイン侯爵達“の処罰についてですが、本日をもって“アロガイン侯爵家“他2家の伯爵家はお取り潰しとなり領地の没収と納税金の不正改ざんが発覚し、本来 支払うはずだった未払いの税金があるため国営の炭鉱で犯罪奴隷として炭坑夫として返済が終わるまで労働することとヴィカウタ子爵邸での器物破損と不法侵入及び迷惑行為で器物破損の賠償金と不法侵入の罰金が合計300万リトスの支払いでの罰金刑で決まりました、それと未払いの税金の金額が相当な額になっています 炭鉱での労働では返済完了はできないでしょうから実質 終身刑になります」


「そうか、やはり税金の不正改ざんして国に申請していたか…まぁ妥当な処罰だね」


 父上達も頷き納得したようだ。


エファセ「それと、奪爵処分となった“アロガイン元侯爵“のご家族の夫人とお子様達の事ですが今回の件には関与していなかった様でして夫の逮捕を聞いたアロガイン夫人は本日中に勾留中の“アロガイン元侯爵“に離縁を突きつけて、そのまま ご実家の“ボージエ伯爵家“にお子様達を連れてお帰りになったそうです。

 残りの伯爵家の当主2人は侯爵と同じ処罰が下されましたが“アビドス家“は当主が入婿だった事とアビドス夫人が今回の事件の調査に積極的に応じているので“アビドス元伯爵“と離縁して、伯爵家としては取り潰しとなりましたが新たに爵位を男爵位にする事での実質的には降爵処分となりました、なので家名はそのままで“アビドス男爵家“と なり任されていた領地は別の伯爵家が拝領し、その伯爵が監視する下で“アビドス男爵家“は村の管理を1つ任せる事になりました、

 現在 当主がいない状態ですがアビドス家の長男が2年後に学園を卒業し、成人するのでそれまではアビドス夫人が当主代理を務める様です。

 最後に“トント伯爵家“はトント夫人が密輸や密入国者の手引きをしていた疑いがありまして、トント夫人も今は王城で犯罪の詳細を聴取されている所です、トント家は今回の件以外の罪が重いため奪爵、トント家の子供達は平民となりましたが懇意にしていたアビドス家に一時的に預けられることとなり 学園に通っている子供達はそのままアビドス家の子供達と通学する事になりそうです」


父上「ふむ、アビドス家の者は頭が回るものが多いからな、上手くお取り潰しを免れたか…、だが今まで下に見ていた男爵家に自分達がなった事で周りの目が厳しくなり肩身の狭い思いをすると思うとそれはそれでアビドス家には良い罰になるだろう」


母上「そうですわね、子供達もこれで少しは他者への正しい接し方を学んでもらいたいですわね」


「そうですね、更生できると良いですね…、それにしても今回の大掃除で他にも何人の貴族家が取り潰しと降格処分になるでしょうね、その数は見当もつきませんよ」


 まぁ、そこは今後 有能な者達を採用して場合によっては“叙爵“または“爵位の陞爵“などで対応するしかないだろうけどね。


エファセ「その事ですが、今回の大掃除で判明した“新マルモーヴェ教“の信者と思われる方々の中に懇意にしていた商会の人間達も信者が多数いると証言をしている方がいてですね、その商会の方に様子を見に行った影騎士が額や顔全体に例の✖︎印をつけた人達がいたと報告が来ていまして、それを目安に“新マルモーヴェ教“の追跡調査しているそうです」


「!、それは、✖︎印は噂をばら撒いた者だけではなく“新マルモーヴェ教“の信徒にも出ているんだね?」


エファセ「はい、こちらも印の大きさが大小様々でして額の中心に親指の爪ほどの印から顔全体に出ているものまで先程の模様より印の大きさの振り幅が大きい様です」


「ほう、何か意味があるのかも知れないね、入信して間もないと印が小さいとか?かな?」


母上「それだと、顔全体に出ている方は入信して何年目の方か分からない事には他の大きさの印の方の年数が推測できないわね?」


父上「うむ、確かにな」


「「「「「「「うーん」」」」」」」


 室内の全員が悩んでいると、


コンコンッ


リア「旦那様、失礼します、奥様がお戻りになられました」


「入っていいよ」


入り口からシリーとリアが入ってくると 来客に気づき、


シリー「失礼します、あら、お客さまがお越しでらしたのですか?」


「あぁ、彼等は王城からの報告を持って来てくれたんだよ、その報告もほとんど終わっているから気にしないでくれ」


シリー「そうでしたのね、夜遅くまで有り難う御座います、お疲れではないですか?」


優しい笑顔で労うシリーは癒しの天使だ。


エファセ「い、いえ、お気遣いなく」


 少し照れたように遠慮するエファセ、シリーが優しいのは知っているが勘違いされては困るな。


「ん、んっ、しかし、シリー戻って来るのが遅かったけど どうしたんだい?何かあったのかな?」


 立ち上がりシリーの手をとりエスコートして先程まで座っていたソファーの隣に座らせる、

リアがジト目で見ているが気にしない、カイルも呆れた顔で見ているがこれも気にしない、父上達 特に母上が揶揄うような微笑ましい視線を寄越すがそれも気にしない、顔は見えないがエファセがポカンとしているのも気にしない。

 シリーが嬉しそうに腕を組んでくれるので、その他の事など何も気にしないのだ。


シリー「えぇ、少し思いついた事をしていましたら 思ったより遅くなりましたの」


「思いついたこと?」


シリー「はい、今日アトリーが気に入って購入したぬいぐるみを寝ているアトリーの周りに落ちないように飾って来ましたの、アトリーが起きた時、驚いて喜んでくれると思いまして、少しイタズラして来ました ふふっ」


「ふふっ、それは明日の朝のアトリーの反応が楽しみだね」


 アトリーが驚いて喜ぶ顔が目に浮かぶよ。


母上「まぁ、シリーちゃんたらっ、素敵ないたずらね ふふっ」


父上「はははっそうだな、アトリーはさぞ喜ぶだろうな」


 母上達も楽しそうに笑った、ひとしきり笑い合った後シリーが先程は難しい顔をしていたのは何故かと聞いて来たので“新マルモーヴェ教“の信徒に付けられた印の大きさの基準が何かと考えていた事を話した。


シリー「それは、難しいですね・・・、あ、あの、お聞きしたいことがあるのですが良いですか?」


 と、影騎士に聞いた。


エファセ「は、はい、お答えできる事でしたら、なんでもお答えするようにと言われていますので…」


 さすがシベラス、手配が行き届いているね。


シリー「では、その印?が小さい方はどの様な方が多かったのですか?」


エファセ「どの様なとは?外見ですか?」


シリー「いいえ、それも必要かも知れませんがお聞きしたいのは人柄です」


エファセ「人柄、・・・そうですね、印が小さい方の大半は男女問わず気が弱い方や快活な方が多く見受けられたと報告に上がって来ていますね、多分騙されて入信したのではないかと推測されています」


シリー「そうですか、では印の大きい方の人柄や噂などはどうでしょうか?」


 印が大きい者の人柄や噂?・・・!


「シリー、それは…、もしかして信者の邪教への献金もしくは傾倒具合で印の大きさが変わっていると?」


「「「「「「!」」」」」」


シリー「はい、神々が意味の無い事はなさらないと思いまして、印の大きい方ほど“新マルモーヴェ教“への献金活動などで貢献して傾倒しているのでは?と思いました」


父上「確かに、神々が意味の無い事はなさらない か、貢献度や傾倒具合かそれなら印の大きさにばらつきがあるのも頷ける…」


エファセ「そうですね、確かに付いている印が大きい者ほど人柄の評判はそれ程良くはないです、それに金についての黒い噂が出ている様です」


「黒い噂ね、これは当たりかな?…と、いう事はもう1つの模様もそういう意味で大きさに違いがあるのかも知れないね」


シリー「もう1つの模様?ですか?」


「あぁ、それは後で教えてあげるよ少し…、いや かなり不快な話になるからね」


シリー「?、はい、では後で教えて下さいね?」


「約束する、…さて、これは核心に近いと思うがエファセ、君からこの事を陛下とシベラスに報告お願いできるかな?」


エファセ「…宜しいのですか?、私共から報告して…」


 この発見の手柄を自分に譲って良いのかと言いたいのだろう、発見者のシリーを見るとシリーは笑顔で頷いた。


「あぁ構わないよ、私達は明後日には王都を離れるからね、今後もこの王都で調査を進める上で君達が不要不可欠となるだろうから、この事を君達から報告して 少しは待遇を良くして貰いなさい、給料を上げてもらうとかね、

 それに もしかしたら もう他の者が気づいている可能性もあるからね、情報は新鮮な内に活用した方がいいよ、

!、そうだ、明日は多分 屋敷からは出ないから夜の報告だけでいいよ、それと明後日の昼にまた来ると良い物をあげるよ」


エファセ&ゾサ「「?」」


 2人が少し頭を傾げる。


エファセ「はぁ…、了解しました、では明日は日中の周辺警戒は無しとの事でシベラス補佐官にお伝えしておきます、夜の報告は同じ時間で宜しいですか?」


「それでよろしく頼む」


エファセ「はい、了解しました、では諸々の報告もこちらで処理させていただきます、お気遣い有り難う御座いました」


 と、2人で頭を下げて退出していった、ジョルジュが身送る為に最後に出ていって気配が離れて行くのを確かめた後で、


カイル「・・・・・、はぁ、旦那様、彼等に面倒な報告を押し付けましたね?」


「ふふっ、しょうがないだろう?事実 明後日の朝には王都から離れるのだから面倒な報告の為に明日の子供達との時間を邪魔されたくないじゃないか」


私が報告すると確実に王城に呼ばれて詳しく説明せよとか言ってなんだかんだで大掃除の手伝いをさせられるに決まっている。


父上「確かにそれは避けたい事だな」


母上「まぁ、気持ちは分からなくは無いけど…」


 シリーは隣でクスクス笑っている。


カイル「大旦那様や大奥様まで…、はぁ・・・まぁ彼等に不利益がある訳では無いですから良いですけど…、もしかして明後日の呼び出しは結界の魔道具の事を報告させる気ですか?」


「当たりだ、まぁさすがに出どころを聞かれると思うけどそこは父上にお任せしようと思っているよ」


父上「むっ、私か⁉︎」


「父上…、最初は父上から結界の強度に関しての報告を私達が王都をたった翌日にする予定だったじゃ無いですか、それが少し内容が変わっただけでしょう?それに今の情勢下で王城の守りが薄いのはよろしく無いので報告を私達が王都を出たその日の昼に変えて、なおかつ影騎士を間に挟んで少し時間を稼いでから父上に話が来るようにしたんじゃ無いですか」


 直接 王城に行って、一から報告するより良いだろうに。


父上「むぅ、仕方がないか…」


 諦めた父上に、


「まぁ、明日のアトリーの気分次第で鑑定の魔道具の説明もお願いしますね、さて、もう寝ようかシリー、では、父上、母上お先に失礼しますね、お休みなさい」


と、早口で挨拶をしてシリーも挨拶したのを見てさっさとサロンからシリーをエスコートして出たシリーはずっと笑いを堪えていたが扉を出た後にクスクス笑い始めていたのを後ろから来ていたリアに少し嗜められていた。

 その間 父上はポカンとした顔で一時固まっていたがカイルが呆れた顔をしながら最後に出て扉を閉めるときに「こらーっ」と大きな声が聞こえたきがしたが気にせずに寝室に向かった、その時 母上は父上の隣でクスクス笑っていた


 その後 私とシリーは風呂に入り寝る用意を済ませて早々に寝台に入り明日の朝のアトリーと父上の反応が楽しみだと話し、先程の模様に関しても説明すると顔を顰めるだけで詳しくは聞いてこなかった。


シリー「今日は色々ありましたけどアトリーにとって楽しい一日になった様で良かったですね、ですが他の子達も楽しめたでしょうか?」


「そうだね、ブラーブ殿達からは大変喜んでいたと話していたからね、楽しめていたと思うよ」


シリー「そうですか、それなら良かったですふふっ」


「さぁもう遅い、そろそろ寝ようか 明日はブラーブ殿達を見送らなきゃいけないからね」


シリー「そうですね、お休みなさい ラト、チュッ」


 頬にお休みのキスを貰い私も返した。


「お休み シリー チュッ」




 明日はアトリーに鑑定の魔道具の話をしないとな、その前に友人達の見送りの時に泣いてしまわないか心配だ、

まぁ、今年の冬には会えるだろうから、しばらくの間の辛抱だ他にも色んな所に連れて行ってあげる計画があるから少しは気が紛れるだろう、まずは明日、気落ちするかも知れないアトリーを家族皆んなで構い倒そう。










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