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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第6章 少年期〜青年期 学園6学年編
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19話 前兆 第三者 視点


   第三者 視点


・・・時間は少し巻き戻り、アトリーが“精霊樹“を癒した頃、とある、別世界にて・・・


?「・・・これは・・・“精霊樹“が・・・久しぶりにあの子の強力な気を感じたと思ったら・・・“精霊樹“に直接“神力“を流したのか、あの子の気を感じて、“精霊樹“が呼応してる・・・」


 荒廃し廃墟が立ち並ぶ大きな都市の中央に、ポツンとそこだけ緑が生い茂る区画があり、そのまた中央に全長70メートルはあると思われる巨大な明滅している樹木がある、それを見上げる小さな少年は、その樹木を注意深く観察しながら何が起こったのか分析し、1人呟く。


?「一気に成長しましたね・・・」


?「さっきまではもっと小さかったのに・・・」


?「なんか、落ち着く~~・・・」


 少年の背後に、優しく落ち着いた印象の女性と、真面目で凛とした印象の女性、明るく活発そうな印象の女性、の3人の女性が、少年と同じように明滅している大きな樹木を見上げながら、驚きと共に感想を漏らしていると、


?「そうだね、やっぱりあの子は“精霊樹“と相性がいい・・・この様子なら、残りの1箇所の設置も楽にできそうだ。そしたら、あの子に早く会いに行けるね」


?「そうですね。最後の場所は何処でしたっけ?」


?「あ、最後の場所はあの子のいる世界から少し近い所だから、ここからは結構遠いね・・・今から向かったら予定よりは早く着くだろうから、さっさと撤収して移動しようか」


 少年は何やら仕事を早めに切り上げる様子、


?「あれ?もう良いの??ここはもう1箇所ぐらい生やす予定じゃなかった?」


 明るい印象の女性が、当初の予定をはぶいて支障はないのか?という意味も含めて、不思議そうに少年に聞くと、


?「いや、今の呼応で必要なくなったから、最後のところに行くよ」


?「ふーん・・・気持ちよかったのにぃ~」


 と、もう一つの仕事が必要なくなった事を伝える、すると、明るい印象の女性は、よほどこの場所の居心地が良かったのか残念そうに肩を落とし愚痴る。


?「ふふっ、じゃあ、その気持ちいい気を出す人の所に、早く行けるようにお仕事を済ませましょう」


?「ん!そっか、その人?の側の方がもっと気持ちいいよね!よし!じゃあ早くいこう!!」


 優しい印象の女性が、残念がる明るい印象の女性に、早く仕事が終われば、もっと居心地の良い所に行けると、誘導するように励ますと、明るい印象の女性は、その誘導に素直に従い、気合を入れて、凄い速さで近くにあった光るサークルの中に飛び込んで、音もなく光り輝き、光が薄れてその姿は消えていった。


?「あ!、姉さん!!早すぎ!!」


 明るい印象の女性の突発的な行動に、隣にいた真面目そうな印象の女性は一瞬反応できなかったが、彼女も急いで明るい印象の女性の後を追って、同じように光るサークルの中に飛び込んだ。


?「あー、まぁ、いいか、僕がいかないと動かないしな・・・はぁ・・・」


?「うふふっ、ごねられるより良いじゃないですか」


?「まぁ、そうだけどね・・・」


 その様子を呆れた様子で見ていた少年と、ニコニコ笑顔で見守っていた優しそうな印象の女性は、慌てる様子もなく、そう会話をしながら光るサークルを目指し、ゆっくり歩き、光るサークルに足を踏み入れると、先の2人のように音もなく光って消えると同時に、光りのサークルも消えて無くなり、そこには誰もいなくなったが、そこに残された大きな樹木はまだ、ゆっくりと明滅し、この廃墟の都市を優しく照らし続けたのだった・・・




・・・そして、同時期、いつもの神域の狭間で、いつものメンツが顔を突き合わせていた・・・・



 ジェムシードの世界とアース“地球世界“にある神域の狭間で、いつも一緒にお茶をする面々が頭を悩ませている・・・


『うーん、これ、なんなのかしら?私の解析ではただの突然変異って事しか出ないんだけど・・・しかも、魔物判定なのに、魔法使えないし・・・でも、変なスキルはついてるし・・・』


『んー、私には異常に大きな“芋虫“にしか見えません。でも、違和感はありますね・・・』


『うーむ、突然変異にしては異常に大きくなりすぎだし、溶解性の体液を保有するのは、どう見ても人の手が入っているだろうな・・・』


 いつもの真っ白な壁にプロジェクターのように、アトリー達が討伐した“芋虫“が映し出される光景を見ながら、いつもの3人が頭を悩ませながら唸っていた。

 それは何故かと言うと、アトリー達が発見、討伐駆除したあの“芋虫“が本来ならあり得ない形で変異を起こしていたからだ、この世界“ジェムシード“では大気中にある魔素に反応して、従来の“生物“が“魔物“として変異、進化するのだが、その際には必ず“魔物“達は固有の魔法を発現するのだ、だが、今回の突然変異した“芋虫“は固有の魔法を持たずに、スキルを取得した様子もなく、体内の体液が溶解性を持つ体液に変化しただけで、その習性も元の“芋虫“だった時と変わらず、ただ、生存のために樹木を食し、ある一定の栄養を得られるとサナギになって成虫になるだけだと思われた。


 そんな、平凡な“変異、進化“はこの世界では絶対にあり得ない事であり、到底、自然に起こったものではない事から、神々はこう予想した・・・


『だとしても、こんな急な変異を短時間で起こすような物、どうやって開発したのか、確実に私の世界の人間の知識と技術では無理だわ・・・』


『そうなると、やはり、あの“邪神“が裏で糸を引いているって事でしょうか?』


『そう、なるだろうな、この世界で確立されてない技術が使われている可能性があるからな・・・しかし、今度は何を企んで、こんな騒動を起こしたんだ?・・・また、アトリーが目的だったのか?・・・でも、“信者達“は姿を現さなかった・・・しかも、失敗しても、その後に様子を伺いに来る者もいないとなると、何がしたかったのか分からなくなるな・・・』


『そうよね。怪しい人物はいたようだけど、実行犯が1人だけってのもおかしいわよね?いつもだったら大人数で大規模な仕掛けを作ったりしてる感じなのに・・・』


『確かに、常に複数人で行動している印象でしたからね・・・あの“邪神教”から離反した者の犯行という線もありますけど、そうなると、あのような騒動を起こす意味がわかりませんし・・・』


 と、そう推測し、さらに思考を巡らせて、ここ最近、めっきり鳴りを潜めて、こちらの捜索から逃れ続けていたのだが、例の“邪神“と“邪神教の教徒達“がまたアトリーを狙って何やら画策し始めているのかと疑う、だが、今回の件だけ見てみると、“邪神教の教徒“らしき怪しい人物の目撃例はあったが、アトリーに直接何かしに来ることはなかった事から、神々もこの騒動を起こした人物の行動の意図が読めずに困惑している。


『『『うーん・・・』』』


 騒動を起こした相手の意図を読み取ろうと、各々が考え込んでいると、珍しくこの“神域“の狭間に他の神が訪れた。


『リトスティーナ様、少々失礼します。先程の現世で観測されました“神力“の事でお話が・・・何を皆さんで難しいお顔をなさってるんですか?』


 と、何かの報告書を持って“智と魔法を司る神・エンキネルウェ“が、この状況に眉に皺を寄せながらそう聞いて来た。


『あ、エンキネちゃん!ちょうど良かった!!ちょっと聞いてよぉ~』


 行き詰まっていた推測に新たな見解をもたらしてくれそうな、人物の登場に“主神・リトスティーナ“は両手をあげて喜び、自分の横に来るように手招きする。

 その手招きにエンキネは少しため息を吐きながら従い、ティーナの横まで行くと、仕方なしに何があったのか聞いた。


『ふぅ・・・何があったのですか?』


『それがねぇ、・・・・・』


 と、ティーナ達は今、アトリーの周りで起きた騒動と、それに関する情報や物証などを提示しながら、これまで自分達が出した考察などをエンキネに話し、現在はその考察が行き詰まっている事も説明した。

 すると・・・


『・・・ふむ、・・・それは確かに一見その人物の行動は何かアトリー君に対して意図的ではありますね・・・でも、これまでの“邪神教“に属する者らしくないやり口だと言うのも分かります・・・』


『でしょぉ~?』


『・・・恐れながら、皆様、この情報から私なりに考えた意見を申して良いでしょうか?』


『うん、いいわよ、むしろお願い!』


『あぁ、構わないよ』


『えぇ、行き詰まってましたからね』


 全ての話と情報を聞いたエンキネは、これまでのティーナ達の見解に一定の同意を示しつつも、自分なりに考えた見解を話す許可を求めて来たので、ティーナ達は快く許可を出す。


『・・・では、今、皆様からお話しいただいた情報や見解から総合し、私一個人の私的な視点での考察ですが、今回のこの一件、騒動を起こした者の目的はあの場所を治めている領主一家がアトリー君の縁戚関係だと分かった上で、組織の同意を得ずに、自分の判断で、“自身の研究の成果を実地で検証を行った“のだと思われます・・・』


『・・・単に“研究の実験“?を行っただけ?と言うこと?わざわざ、アトリーちゃんの親戚が治める土地で?・・・』


 エンキネの予想外の見解は全く新しい角度から来た考察であったことに、ティーナ達は目が覚めるような感覚を感じ、目をぱちくりさせる、そして、その見解に至った経緯をもっと詳しく聞こうと疑問を投げかけると、


『はい、犯人の目的は“実験”の過程を観察する事が主であって、その実験場所がアトリー君の親類と関係していると言う点は、ただ実験を行おうとした時にたまたま実験に相応しい巨大な精霊樹を有していたから・・・

 その都市に被害が出そうな工作を行ったのはついで、犯人はその工作が成功してもしなくても、どちらでも良いと投げやりな思いだったのではないか?と、言うのが私の見解です・・・』


『・・・“実験“と言う名の嫌がらせではないか・・・しかし、エンキネ殿は何故、その犯人が教団の同意を得ない実験を行った、と、思ったのだ?』


 エンキネの説明はかなり信憑性が高く、犯人側の心情も見透かしたようなものだった、その、犯人の心情内容に少々呆れた様子を見せつつも、月詠は自分が感じた疑問を言うと、


『それは、犯人が単独行動だったことと、“実験“の経過をわざわざ日中に人目のつくようなやり方で観察しに来ていた点ですね。そもそも“実験“だと仮定したのも騒動の発端である“大樹“が“精霊樹の枝葉“と言う、特殊な“樹木“だった事が挙げられます。

 あの“芋虫・ウッドデスワーム“の成長過程を観察するための“実験“をしようと思えば、そこら辺の大きな普通の樹木で良かったはずですから、そのような実験はすでに終わらせているでしょうし、今回のその特殊な樹木の“精霊樹“で“実験“を行おうとすれば、絶対に組織の、教団の上層部に許可を得てするはずです。

 それこそ、いつものように大人数で万全の準備をした上で密かに行う方が、安全に“実験“の経過をよく観察できますからね、それが出来ていない、と言うことは、この“研究“は周囲から期待されておらず見込みがないと思われているから許可が出なかったか、反対に、超極秘に進められて教団の施設以外での“実験“を認められていないか、そのどちらかだと思います』


『・・・それを、この犯人、“研究“を進めていた研究者がどうしても、“精霊樹“を使った“実験“をしたくて、教団に許可を得ず、単独で行った結果が今回の騒動だった、のでは?と言いたいのですね?・・・それなら、犯人の行動の理由に納得がいきますね』


 次は、犯人がどうして、その“実験”を行う事になったのか、と言う経緯まで細かく推測していて、それを聞いたティーナ達はエンキネの見解が、今回の騒動の真相に最も近いとのではと思ったのであった・・・


『・・・そうね、それが真相だったとすると、その犯人の最終的な狙いが嫌でも分かって来ちゃったんだけど・・・』


『『『!!?』』』


 そう言って、言葉は軽い感じではあるが表情は全く正反対で、真剣にヤバイ、どうにかしなきゃと顔に書いてあるぐらい焦った様子で、冷や汗を垂らすティーナ、ティーナの言葉の意味をすぐに理解した他の神々も一様に同じ表情になっていた・・・


『『『『ごくっ・・・教団はこの世界の“精霊樹”を狙ってる!?・・・』』』』

















 いつも、ご愛読頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

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