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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第6章 少年期〜青年期 学園6学年編
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9話 意外な漢気 第三者視点


 第三者 視点


 ・・・衛兵隊、中央詰所内の一室・・・・


 詰所に連行されてきた“自称・ボレアースの貴族子息子女達“は、今もまだ、自分達への扱いが不当だと騒ぎ喚き散らしている所に、先程、彼らを連行してきた“衛兵隊長“、正確には“衛兵隊分隊長“が、詰所に戻ってきて真っ先に詰所の所長に報告をあげて戻ってきて、開口一番に行った言葉が、


分隊長「・・・お前達、とんでもない人に喧嘩を売ったって、その事はちゃんと理解しているか?」


?1「はぁ?何の事だ?たかが平民の学生だろ!?何がいけないってんだっ!!?俺は“ボレアース剣聖国“の“第1位騎士爵家“当主の三男で“剣士資格2級“を持った貴族子息だぞっ!?なのに、あんな女みたいな顔した野郎を捕まえずに、俺を捕まえるなんて!この国の衛兵隊は皆んな節穴だな!!この事は父上に言って、国際問題にして貰うぞっ!!?」


?2「そうだ!そうだ!不愉快な思いをしたとこの国の王に訴えてやる!!剣も壊されたのを弁償させるぞっ!!」


?5「そうよ!あの子供達の親も訴えて、刑務所行きにしてやるわっ!!」


 と、強気で脅してくる“自称・ボレアースの貴族子息子女達“に、


女性隊員「・・・はぁ~(全然理解してないわね)・・・そんな事、貴方達にできるわけないでしょう?まぁ、身分は本当に“ボレアース剣聖国“の貴族子息達の様だけど、貴方達が訴えようとしている相手は、この国で最も位が高い“お方“なのよ?むしろ、貴方達はあの場で斬られて死んでいてもおかしくない状況だったのよ?そんな事もわからないで、よく貴族子息って偉そうに言えたわね?」


 と、自分達が貴族子息として、どれほど愚かな行為をしたのか気づいてないのか?と馬鹿にしたように言うと・・・


「何っ!??」 「ど、どう言うこと!?」 「何故そんな話になるんだ!?」 「最も高貴な“お方“って誰の事よ!?」


分隊長「・・・はぁ、ここに来る前に注意事項を受けてないのか?この国にはこの世界のどの国の王族より高貴な方がいると・・・」


 女性隊員が、簡単にどう言う状況だったのか説明しても、まだちゃんと理解できてない彼らに、分隊長は呆れてため息を吐き、彼らに親から何か言われなかったか?と、言うニュアンスで聞くと、少し考え始めた彼らの様子に、その様子を見ていた隊長と、女性隊員、その他、同じ室内で調書の書き取りや監視役で一緒にいた隊員達も呆れた様子で軽く首を振って小さく息を吐く。


ボレアースの貴族子息子女達「「「「「「・・・あっ!!」」」」」」 「た、確か聞いた、神々の愛し子って言う子供がいるって」 「リトス教の教会本部も気を使う相手だって言われたような・・・」 「生まれがこの国の王家の血を引く公爵家の子供で、聖獣達にも守られて、可愛がられているって・・・」「と、特徴が、白銀の髪に、左右の瞳の色が変わった色している、凄い綺麗な子供って・・・あの子のことだったの?・・・」 「無闇に関わると神罰が降るから注意しろって言われた・・・」 「えっ!嘘っ!!私達、神罰を受けるの!!?」 「そ、そんな!い、嫌よそんなの!!」 「俺も嫌だぞ!!ここまで登り詰めたのに!!」 「ま、まずい、あんな所に、そんな重要人物がいるなんて・・・」


分隊長「・・・嫌だ何だと、言っても、お前達に拒否権もなければ、交渉の余地はない、大体、神罰を受けるなら、もうすでに、罰は受けてるだろうさ・・・」


 少し考えた末に、彼らがこの国に来る前に受けたであろう重要な情報や注意の数々を、今、やっと思い出したのであろう、そして、その重要な情報や注意の言葉に当てはまる人物が誰だったのか、徐々に理解してきて、彼らの顔色はどんどん青くなって、自分達がやらかした事に気づき、神罰の存在をも知って、焦り出した。

 そんな彼らにトドメを刺すように隊長は“神罰から逃れる事は無い“と、いつまでも自身の保身を第一に考える彼らに、冷たく現実を突きつけた。


「な、何だって!!?嘘だろ!??」 「罰がもう降ってるって!?・・・な、何もなってないじゃないか!!」 「嘘つくなよ!?」 「何よ!嘘だったの!?」


?6「・・・し、“神罰“って、何されるの?・・・」


分隊長「(冷静な思考ができるのがいたか・・・)神罰は身体的な物ではなく、魔法属性やスキルなどの剥奪らしいから、ステータスを確認してみればわかるんじゃないか?」


 表面上の身体的な異変が見つからない事を理由に、“神罰“が降るのは嘘だと言って、隊長に食って掛かるように言ってくる貴族子息達、その中で1人の大人しめの令嬢が怖々と“神罰“の内容について質問してきた、その質問に1人だけやっと気づいたかと思いながらも、隊長は素っ気なくそう答えた。


ボレアース剣聖国の貴族子息達「「「「「「!・・・っ!!」」」」」」


 隊長の返答にすぐさま反応し、言われた通りに自分のステータスを開いて、確認し出した貴族子息達・・・


「そ、そんな・・・スキルが数個消えてる・・・」 「・・・や、やっと、とれたスキルがっ・・・」 「嘘っ!?私の魔法属性が減ってる!!」 「私のスキルがぁ・・・うっ、うぅ・・・」 「・・・これが、“神罰“なのか・・・・」 「ひ、酷いわ!!うぅ~・・・・」


 ステータスを確認して、案の定、自分達の取得したスキルが複数消えている事に気づいた彼らは、“神罰“が現実に降った事を知り、呆然とし、泣き出したり、その場で項垂れてブツブツと呟き始めた。

 その様子をずっと呆れた様子で見ていた隊長や、他の隊員達も呆れて、もう何も言う事もないと言った感じで、彼らが落ち着くのを待っていると、隊長が、ふと、ある事が気になった・・・


分隊長「・・・しかし、コイツら、何の依頼でこの国に入ってきたんだ??」


女性隊員「そう言えばそうですね。“ボレアース“と言えばここからかなり北、我が国からは縦に長い“イエロザーパト“や不可侵の土地である“聖域“を越えなければならない程の、かなり遠い土地にある国ですから、冒険者としてココに来ているのなら、それなりの大きな依頼でないとここまで出向くとは思えませんよね?」


書記係の隊員「そうですね。貴族子息の冒険者ですから、普通の商人達の護衛依頼とかではないでしょうし・・・やっぱり、同じ貴族からの依頼となると、あ!そう言えば、今年になって“ボレアース“から“学園“に留学生が複数人来たと聞きましたから、その中の高位貴族の護衛でしょうか?」


分隊長「・・・ふむ、多分そうだろうな、・・・問題は誰の護衛で雇い主か、と言う所だな・・・」


 と、貴族子息子女の冒険者達である、彼らがどういった経緯でこの国に来たのかと、話し合っていると・・・


 コンコンッ!! 「取り調べ中、失礼します!至急、お知らせしたい事が!」


分隊長「なんだ?、入れ!」


隊員「はっ!」ガチャッ!「失礼します!お忙しい所、申し訳ありません!」


分隊長「いい、要件は?」


 急用があると言って来た隊員をすぐに中に招き入れ、周りくどいやり取りを省き、さっさと要件を急かす隊長。


隊員「はい!ただいま、こちらに勾留されている冒険者達の雇い主が、彼らの罰則金を支払い、引き取りに来たと言ってお越しになられましたので、早急にお引き渡しするように、との事です!」


分隊長達「「「「!!」」」」


分隊長「もう、引き取りに来たとだと?・・・」(今回の件、今の所、軽い迷惑行為と喧嘩として処理されて、刑罰も事情聴取中の勾留と多少の罰金に再犯の忠告程度ですぐに釈放されるとは言え、身元引き受け相手がこちらからの知らせを受ける前に、こうも早く迎えに来るとは・・・)


 至急の要件というのが、今まさにこの場で話題になっていた雇い主が向こうからやって来た事に驚いていると・・・


「む、迎えが来た!?」 「ここから出られるの!?」 「!で、殿下がお迎えに来てくださったのか!?」 「殿下が!?」


分隊長達「「「「・・・殿下?・・・」」」」


 迎えが来たと聞いて、さっきまでの悲壮感が漂う空気が一変、嬉しそうに口にした雇い主らしき、人物が“殿下“だと言うのを聞き、室内に居た全員が嫌な予感がして、眉を顰めた。


 そして、分隊長と、女性隊員は引き渡しと、その引き渡しの手続きをするために、専用の書類を持って、引き取りに来た雇い主が通されている応接室に赴いた。


分隊長「失礼します・・・「ガチャッ」!・・・」(これはやっぱり、“あの方“目当ての留学か・・・)


 一通りのやり取りの後、室内に入った隊長達の目にすぐに入ったのは、“ボレアース“特有の正装である、豪奢な軍服に似たドレスに身を包んだ、年齢が14歳か15歳ぐらいに見える、姫君らしくたおやかな印象の美しい女性、どう見ても王族に準ずる高貴な位を持った者である事はすぐに分かった。

 この女性を見て、分隊長は、やっぱり、と言うか、予想通り、と言うか、年齢からしても、確実に“あのお方“、“神々の愛し子“と名高い、デューキス公爵家の三男である、“アメトリン・ノブル・デューキス“の婚約者にどうにかしてなれないか、と送り込まれた姫君であることを瞬時に理解し、

 この“姫君“が今回の件で“あの方“に何か因縁をつけるのではないか?と言った、先ほど感じた嫌な予感と言うか、懸念が現実になるのではないか?と頭によぎった隊長だが、

 ここは、通常通りの業務をこなすことだけを考えて、丁寧に引き渡しについての説明と、今後の再犯に関しての注意事項を告げて、専用の書類に署名を貰い、それをしっかり確認したら、勾留していた貴族冒険者達を連れてくるように指示した。


隊長(き、気まずい・・・)


 その指示を出し終わって伝令の隊員がいなくなった後、微妙な空気が流れ、室内が静かになってしまった事で、隊長が“何か話題を“、と考えていると・・・


ボレアースの王女殿下「この度は、私の雇った冒険者がそちらに迷惑をかけてすまない」


分隊長「い、いいえ、我々は仕事を全うしたまでですので・・・」


 先程まで、静かに黙ってこちらの話に頷くだけだった王女殿下が、急に隊長達に向けて謝罪をしてきたので、隊長達は少し驚いた。その驚きの理由は謝罪の件もあるが、王女殿下のたおやかそうな見た目に反し、男っぽい口調だった事もあり、少し違和感を持ちながらも、職務だったので気にしないでくださいと、隊長は言ったが、王女殿下は、


王女殿下「あなたの気遣い、感謝するが、雇い入れた部下の失敗はちゃんとけじめを付けるべきと、私は思っているのでな・・・あなた方は受け取り難いとは思うだろうが、私の我儘に付き合って、できれば、謝罪を受け取ってほしい・・・」


 と、何とも(王女なのに)漢気?のある信念を持って、そう言われてしまうと、隊長としてもあまり謙遜するのも失礼に当たると思ったので、その謝罪を恐る恐る受け取った。


 そうこうしている間に、連れて来るように頼んでいた貴族冒険者達が応接室に入ってくると・・・


「で、殿下!!姫殿下!!申し訳ありません!!」 「姫殿下!我らの為に姫殿下のお手を煩わせてしまい、申し訳ございません!!」


 と、さっきまで隊長達に向かって生意気な口を聞いていた、貴族冒険者達が一斉に王女殿下に向かって頭を深く下げ謝罪し出した。


王女殿下「良い、私が其方達によくよく注意しなかったのも悪いと思っている。それにココは、私も自国ではない事をしっかり理解していなかった所があった。今回は相手側も寛容にも大事にする気がなかったようだと聞いた、だが、次回からはその事に甘えず、気を引き締めて過ごしてほしい・・・」


 そう言って、15歳とは思えないような言葉を貴族冒険者達にかけ、適切な注意もしている様子を見て、隊長達はこの王女殿下が彼らから姫殿下と言って慕われる理由がよく分かった。


?1「ひ、姫殿下、その、今回の相手側のことなのですが・・・」


王女殿下「ん?相手側から何かあったのか?」


?1「そ、それが、今回迷惑をかけてしまった相手が、姫殿下が、婿にとお望みになっていたお方でして・・・・」


王女殿下「!!、何!?其方達!あの“神々の愛し子殿“に会ったと言うのか!?」


分隊長(やはり、あの“お方“目当てだったか・・・、しかし、この言い方だと今年の新学年から入っていながら、もう、1ヶ月は過ぎてるのにも関わらず、まだ、あの“お方“と会ってないと言うことか??)


 隊長は貴族冒険者の言葉を聞いて、思った以上の驚き方をする王女殿下の様子を見て、王女殿下とあのアトリーが、いまだに接触していないような話ぶりだった事を不思議に思っていると・・・


?1「は、はい、姫殿下の婿候補殿に多大なご迷惑をおかけしてしまいまして・・・」


王女殿下「その事は良い!それより、“愛し子殿“とは戦ったのか!?其方達ほどの剣の腕を持った者達がこうやって捕まっておるのだから、噂通り、かなりの剣の腕前だったのか!?」


 貴族冒険者の1人が深く頭を下げながら、アトリーへの非礼の事に関して謝罪していると、急に興奮しながら、今回の騒動で、アトリーがどのように剣を振ったのかと、貴族冒険者に詰め寄り出した。

 その態度の急変に、隊長達や、貴族冒険者達が驚き、小さく一歩後ろに下がったが、王女殿下の付き添いできていた従者や護衛騎士達は、付き合いが長いからだろうか、どこか、“いつもの事“、と言いたげな呆れた空気で静かに立っていた・・・


?1「えっ!・・・あっ、そ、それが、・・・婿候補殿とはあい対する前に、取り巻きの者達にしてやられまして・・・」


 と、自分の不甲斐無さに悔しがりながらも、偽る事なく事情を説明する貴族冒険者・・・


王女殿下「・・・そうか、“愛し子殿”の実力は見る事はできなかったか・・・だがしかし!、其方らほどの実力者を取り押さえる事ができる者達がおるとはな!世界は広いな!」


?1「そ、そうですね!あ、姫殿下!、“婿候補殿”の剣の腕前の程は見る事は叶いませんでしたが、あの方の、握力は相当なものでしたよ!何せ、私の業物の剣を素手で握り壊す程でしたから!」


分隊長(は!?、も、もしかして、コイツの側に転がっていた真っ二つに折れたロングソード、あれをあの“お方“が壊したのか!?素手で!?)*今になって分かった驚愕の事実・・・


 王女殿下は貴族冒険者の不甲斐無さを責めるでなく、今まで知る事がなかった事が知れて心の底から嬉しいと言った、懐の深さと純真さに溢れる言葉に、貴族冒険者は王女殿下に人としてますます惚れ込んだ様子で、アトリーの力の一端を素直に評価し、報告した。すると・・・


王女殿下「!!なんと!!、そんな凄い握力の持ち主なのか!!?こ、これは、剣の腕前も期待できる・・・うーん、学園の剣術授業の楽しさにかまけて、“愛し子殿“との交流を後回しにしていたが、今度からはもっと積極的に接触した方がいいか?・・・だが、“愛し子殿“は滅多に剣を振るう事がないと聞く・・・それならば今の剣術の教員が“愛し子殿“の兄上との事だから、あの方からの指導を受け続ければ“愛し子殿“の実力の一端が垣間見えるかも知れないしなぁ・・・うーん、どうするべきだろうか・・・」


 と、変な悩み方をしだした王女殿下、その様子を見て、隊長と女性隊員は内心で、“これ以上あの“お方“に絡まないで欲しい!“と、思っていたのであった・・・



 そして、この時、その場では結論は出なかった王女殿下だったが、この話がきっかけで、後に、この王女殿下は最悪のタイミングで騒動を起こす事になる・・・
















 いつも、ご愛読頂き、ありがとうございます。m(_ _)m

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