29話 “大会最終日“
どうも、おはようございます。僕です。今日、何やら外の騒がしさから目が覚めました。
「ふむぅ・・・なんか、騒がしいね?・・・」
天華『どうやら、一晩では本体を見つける事が出来なかったようですね・・・』
「・・・やっぱり、そうだよね。1番重要な物をそう簡単に見つかる所に置く訳ないか・・・、ってことは、コレは不測の事態に備えるための準備中の騒がしさってところかな?」
夜月『だろうな・・・』
「じゃあ、昨日の夜、思い出した事があって、試してみたい事ができたんだけど、眠気に勝てなくしできなかったから、それを提案してみようかな・・・」
ジュール『何するの?』
「うん、それはね・・・・・」
と、昨日の夜寝る前に思い付いた事をジュール達に話した、僕の提案をジュール達は賛成してくれたけど、父様達が許してくれるかわからなので、どう説明して説得するかと悩んでいると、ソルがいつものように僕を起こしに来たので、ソルも巻き込んで父様達の説得方法を相談した。
ソル「・・・はぁ、また突拍子もないことを・・・」
「むぅー、そんなため息吐かなくてもしいじゃん、この方が効率がいいのは確かなんだよ?室内から“スキル“を使って探るより、直接見た方が格段にわかりやすいんだから!それに、僕の仮定が実際にあったら大変な事になるんだから!」
ソルに、父様達を説得する方法の相談をすると、額に手を置き、大きなため息を吐いてそう言うソルに、僕は頬を膨らまし力説した。
ソル「ふぅ、まぁ、説得に協力は致しましょう。ですが、それを実行なさる時は絶対僕もお側にいますからね」
「ほ、本当?手伝ってくれる?「こくりっ」やったー!じゃあ、早速、父様達の所に行こう!」
ソル「いいですけど。約束は守ってくださいね!」
「うん!絶対ソルも一緒!てか、こっちも手伝って欲しいぐらいだよ!」
ソルが渋々で、条件付きだけど(僕にとってはいい申し出)、僕の提案に乗って父様達の説得にも協力してくれる事になったことで、僕は味方を得た勢いで父様と母様の宿泊している客室に突撃しに行った。
そして、突撃した先で困惑する父様達と、遠い目をしたソルを置いてきぼりにマシンガントークで、自分の提案をプレゼンテーション?した僕は・・・
「・・・と、言うことで、この方法はとても効率が良く確実性が高いやり方なんです!なので、“闘技場“に行くまでの少しの時間だけですぐにできますのでどうか僕にやらせてください!っ、はぁ、はぁ、はぁ・・・ど、どうでしょうか?」
父様「・・・・アトリー、まず、落ち着きなさい、「は、はい!」そして、その提案は、まぁ、とてもわかりやすく説明してくれたので、有用性があるのはわかった。それをさせても良いのだけど、その前に朝食を食べようね?動くのはそれからでも遅くないだろう?」
「そ、そうでした・・・ご、ごめんなさい、父様、こんな朝食前にお騒がせしました・・・」しゅんっ・・・
父様「ふふっ、アトリーが私達の手伝いをしたいと言うのは分かっている、それに昨日、手伝いを断ったからって、邪険にしている訳じゃない、だからそんなに焦らなくても良いんだよ」なでなでっ
「は、はい・・・」 かぁっ・・・
誰かに止められないようにと、息継ぎもそこそこに怒涛の如く自分の提案を話し終えた僕は、息も絶え絶えになりつつも、父様達の顔色を伺い、自分の提案は受け入れられるのかと、ドキドキしながら答えを待ってみると、優しく落ち着くように宥められて、意外とあっさり提案を受け入れられて、そして最後は食指が先だと注意を受けてしまい、僕はその注意はごもっともだと思い、反省し、謝罪した。
父様はそんな僕の頭を優しく撫でて、昨日のお手伝いのお断りは、どうやらただ本当に僕の寝る時間が迫っていたことでのお断りだったようで、僕がマシンガントークしたのが断られる前に話してしまえ、という内心も見透かされていたようだった。
その内心を見透かされた上での慰めが急に恥ずかしくなった僕は、顔が赤くなったのを感じた。
結局、その後は同じ室内にいた母様とそのお付き達に微笑ましい視線を向けられ、ソルには呆れて視線を向けられて、最終的には母様と父様に優しく手を繋がれて家族が待つ食堂に連れて行かれた僕でした・・・(恥ずっっ!!!\(//∇//)\)
父様「さて、“闘技場“に行く前にアトリーがして見たいと言った事をして見ようか」
「!、本当にいいんですか?」
朝食を食べ終わって、食後のティータイムで一息ついた頃に父様が僕の提案の話をし出した。
父様「あぁ、正直、今、例の“魔道具“の“中継機“の様な物はみつかりはするものの、肝心の“本体“の場所が全く見つからない状況なのだよ。そこにアトリーが言う方法で、目星がつくならそれに越したことはないからね。後、何故それをしたいと思ったのか動機も聴かせてもらえるかな?」
「・・・はい、父様、その前につかぬ事をお聞きしますが、その“中継機“は今まで何台見つかったんでしょうか?そして、どの様に置かれていたのでしょうか?」
今朝の騒がしから、やはり例の“お守り魔道具?“の電波を受け取り本体に情報を流す役割をする、父様曰く“中継機“となる物はすでに見つける事ができてはいる様だったが、本来の目的のものである“本体“がいまだに発見されていないようだ。
その事を聞いて僕が気になったのはその見つかった“中継機“は何個あったかと言うこと、一応、自分が予想した範囲に何箇所あったのか、それはどこに設置されていたのかが気になった、昨日、食事をして寝るまでの間に少し考えていた中で少し思い出した事があり、父様達に説明した予想よりその“中継機“が設置されている範囲が広いのではないか?と考え出したら、気になってしょうがなくなって、今回の提案をいち早く承諾して貰いたいと焦った事が今朝の失態である。(年々、思考が身体年齢に引っ張れれている気がするなぁ(*´ー`*))
父様「そうだね。昨夜、アトリーが気にしていた例の場所を含めた、5箇所からその“中継機“らしき物が見つかっているよ。「5つ・・・」(帝国の人員を加えての捜索でまだ5つか・・・)設置場所も屋外で周りに何も無い場所に、なるべく目立たない様に周りと色を同化させるなどの工夫されておいてあった。(
設置の仕方は予想通りか)・・・あと、アトリーが気にしていた場所は、例の“シニストラ“の代表選手達が滞在していた宿で、“中継機“も彼らがいた部屋の真上の屋上に設置されていた。この“中継機“は確実に“シニストラ“の教師陣が設置した物だと証言が取れているよ・・・ただ、“シニストラ“の代表選手達は、彼らを見つけた時は、全員が虚な表情で、一つの部屋に倒れていたよ、どうも何かしらの方法で思考能力を低下させられ体を弱らせている様だった。・・・」
「!、そんな、彼らは“大会初日“は元気に試合に挑んでいたのに・・・あの教師陣は自分達の生徒にそんな事をしてまで、こんな騒ぎを起こしているんですか・・・と、言うか、本当に彼らは“シニストラ“の学校の教師だったのでしょうか?・・・」
父様「・・・どうだろうね。私が教員だったなら、他国のいざこざに生徒を巻き込んでまで関わりたくはないと思うよ。ただ、例の“邪神教“の関係者がその教員達に成り代わっていたなら、話は別だろう・・・」
“中継機“の数は予想より少なかった事を知って少し厳しい状態だなっと思っていると、父様が続けて教えてくれたことに、驚きを隠せなかった。“シニストラ“の代表選手達は第一試合で負けたと言っても、その時は普通の同年代と同じ、普通の明るい少年少女達だったのに、いつの間にか強制的に自由意志を低下させられ、身体まで弱らされて軟禁されていた事に驚きを隠せなかった。(精霊達が以前に報告してくれた時はまだ、部屋で大人しくお留守番してる、ぐらいの様子だったのに、本当は閉じ込められていて、その上たった数日で倒れるほどの強い作用がある何かを生徒達に使ってたなんて・・・)
そして、この様な未知の魔道具を使用していることから、それを行なっていたのが例の“邪神教“が、“シニストラ“の教師陣になり変わって行なっているのでは無いか?と言う見解が僕とも一致している父様も薄々築いている様だった。(そう言えば、その教師陣は今どこで何しているんだ?(・・?))
「・・・そうですよね。普通の教師ならそんな事しませんよね・・・それで、生徒達は・・・」
父様「・・・命の危険はないけど、今は何かしらの作用で思考が定まってないようだ、でも、閉じ込められていた部屋から救出したら、すぐに言葉を発して気絶する様に眠りについたことから、そのうち徐々に正常な状態に戻るのではないかと言う報告を聞いているよ」
「ほっ・・・それはよかったです。(その部屋自体に仕掛けがあったって事か)・・・では、僕が、コレをやろうと思った動機をお話しします。・・・多分、例の“中継機“は予想よりかなり多く製造、設置されていると思われます。これから僕がすることで、その大半は見つけることはできると思いますが、回収、または破壊するとしても、それが間に合わなかった場合、場所によって最低で3つでも取りこぼしたりすると、この襲撃は確実に実行されるでしょう、ですが、その襲撃の被害の規模を少なくさせる事はできると思ったので、急ぎ、この提案をさせて貰いました」
“シニストラ“の生徒達の状態は衝撃的だったが、現状は命に別状は無いとの事で一安心し、今は自分のやるべき事に集中しようと本来の話題に切り替えた。
「「「「「!!」」」」」
父様「“中継機”が大量に設置されているとは・・・それは、確信しているのかい?」
「はい、昨夜は“ダンジョン“から“闘技場“までの“最短距離“の範囲と申しましたが、この“魔道具“の性質上“中継機“があればあるほど、効果の発動を止める事が難しくなるのです。“最短距離“の範囲外でも広範囲に“中継機“が大量にあれば、どの場所を“中継“しても情報は“本体“に届いてしまうことに、気づいたんです」
(要は前世で言う、“基地局“も同じ、一部地域で停電が起こって、“基地局“が機能停止になったとしても、その場所とは別の地域の“基地局“が生き残っていれば、その“基地局“の電波受信範囲に行って、電波で情報を送信する事ができる、そしたらその送信された情報はちゃんと機能している別の“基地局“を経由して、目的の場所まで情報を届ける事ができると言うこと。
その同じ特性をこの“魔道具“を作った人が気づかない訳ない、そうなると例の“魔道具“の“中継機“は“最短距離“の範囲ではなく“帝都全体“にあってもおかしくは無い、そうなると彼らの準備期間にもよるけど、かなりの数が“帝都全体“に散りばめられて、設置されているはず、これからはそれをしらみ潰しに壊していく作業をしてもらう。
それで向こうの襲撃のタイミング次第では襲撃を止める事はできなくとも、“中継機“を壊し減らして受信できる範囲を狭めることで、“子機“である“お守り魔道具?“の起動を阻止して、魔物達を“転移“できなくさせる事で、襲撃によって与えられる被害を極力抑える様にしないといけない)
「「「「「なっ!!?」」」」」 「と、言う事は、帝都全体を範囲に入れなければならないと言うことか?」 「全てを破壊するにしても時間がないんじゃ・・・」 「それでは“闘技場“の警備も抜かる事はできないですわね」 「“大会“を中止する事はできないか?」 「いや、それをすると、帝都全体に散りばめられている、その“中継機“を使って帝都内に魔物を放つかもしれない」
(流石、僕の家族、この説明だけで、この“魔道具“の危険性にすぐに気づけるとは・・・、でも、あの“邪神教“が裏でコソコソしてるせいで迷惑かけちゃったな・・・)
僕の説明に険しい表情をした面々は、険しい表情をしつつも、僕の言葉を疑う事なく思考を止めず対応策を考えるこの家族が誇らしく思う。それと同時に僕はこれから自分がする事で、この人達に迷惑がかかる事が申し訳なく思ってしまうのだった・・・
父様「・・・アトリー、やはり襲撃は避けられないと思っているのかい?」
「・・・はい、可能性は高いと・・・」
父様「・・・そうか、では、早めに事に当たろう」
今からでは本当に間に合わないのか?と、僕の目を真正面から見て再度確認してくる父様に、僕は目を逸らさず真っ直ぐ見つめ返し、真剣に返した。そして父様は少し考え、一つ頷いた後、最悪の場合を想定し、すぐに使用人や護衛騎士達に各方面に連絡を入れる様に指示を出し、僕をホテルの屋上まで連れてきてくれて、今から行う作業に必要な物を用意してくれた。
父様「さぁ、ここなら充分に広さはあると思うけど、いけるかな?」
「はい、大丈夫です。ではまず、天華、大きくなって僕達を乗せて飛んでくれる?「キュゥ」夜月は僕達に風除けの魔法と隠蔽の魔法をお願い、「がぅ」ジュールは僕達に誰も近づかないように警戒をしてくれるかな?「わっふっ」ソルは僕が指差した場所の特徴をできるだけ紙に書き込んでね、「畏まりました」じゃあ、始めます」
そう言って、僕達は本来の大きさに戻った天華(体長約5メートルに成長した)に跨った。そして、夜月からの魔法を感じたら天華は“浮遊“魔法を発動し、ゆっくり羽ばたき始め、その大きな体が静かに上昇していく、これで、帝都上空に大きなドラゴンが飛んでいる事は誰にも気づかれる事はなく僕は自分が提案した策を実行できる様になった。(ここまで来ると人が色とりどりの点にしか見えないな、それに“「人がゴミの様だ!」“(*´Д`*)とか言ってみたい♪)
そして、昨夜思いついた事と言うのが、帝都のはるか上空で、“真眼スキル“の機能の一つである、魔力を見分ける機能を使用し帝都中に設置されている“中継機“を見つけ出すと言ったものだ、これは通常の“魔力視スキル”と似通っているが、“真眼スキル”では別の効果も付随してくる。
まず、普通の“魔力視スキル“でも生物の“魔力”の個人差を見分ける能力をさらに鍛えると、無機物にも宿る特有の“魔力波”と言うものが見える様になる、“魔力波“とは無機物を魔道具にする際に魔法陣を刻むとき、エネルギーとなる“魔力“を一定の出力に抑えることで起こる、独特な“魔力の波“を“魔力波“と呼び、同じ製品はどれも同じ魔法陣を刻むことから、“魔力波“も全て同じ物を発しているので、どこに魔道具があるか一眼でわかる程度の物だが、僕の“真眼スキル“の魔力を見る機能は、意図的に一度見たことのある“魔力波”と同じ物だけを自分の瞳に写し出すことができるのだ。コレで“中継機“の“魔力波“を探し出してその場所を見つける、と言うのが僕のやりたかった事である・・・
「さて、ここからは僕のお仕事だね。ソル、僕は“見る“事に集中するから、僕を指差した場所や建物の正確な情報の記入、お願いね」
ソル「大丈夫です。それより、アトリー、あまり無理しないでくださいね?」
「大丈夫、以前みたいに“スキル“3つも使わないよ。多分、魔力を見るだけだから・・・」
ソル「・・・」ジーーッ
「さ、さぁ、サクサク始めようか!」(“真眼“発動!!っと)
心配するソルの無言の圧を感じながら、“真眼スキル“を発動し、上空に上がる前に見本として、急遽用意して見せて貰った“中継機“と同じ“魔力波“がある場所を特定し始めた・・・
「うぁ、思った以上に多いなぁ・・・・」
と、ぼやきつつも、サクサクとその建物を指差していき、ソルがその建物の特徴を記録する、その作業は始まったばかりだ・・・・