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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第5章 少年期〜青年期 学園4学年編
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20話 “大会1日目・第一試合“


 “国際武闘大会“開催式が終了し、今は学生部門の第一試合の1組目の試合が始まっていた・・・


「わぁ、やっぱり乱戦になったね・・・」


ソル「そうですね。こんな中でも我が校の女子生徒が1人入ってますがまだ生き残ってますよ」


へティ「確か上級生の方でしたわね、1試合ごとに各校の代表が1人入っている形でしょうか?」


「そうみたいだね。イネオス達がこの第一試合でまとまらなくて良かったよ。この様子なら、うちの学園から全員が第二試合に進出できそうだね?」


 と、この時、四角い大きな石で出来た闘技舞台上で始まっている第一試合の様子を伺いながらそう会話している僕達は、今回の出場者達の技術レベルを推しはかり、自国の学園の上級生達や友人達の勝ち残りを疑わなかった。


 そして、1試合目で、学園の女子代表選手が見事生き残り、次の2試合目が始まると、2組目の出場者の中にベイサンが入っていたので、僕達はベイサンの応援に全力を注いだ。


「ベイサン頑張れーっ!!」


ソル「油断するなよーっ!!」


へティ「ベイサン!貴方なら勝てるわーっ!!」


 僕達の声援にベイサンは照れたように軽く手を上げて答えてくれて、余裕そうな印象を与えてくれた。


 そして、2試合目が始まると同時に、2組目の出場選手達の約半数が徒党を組んで一気にベイサン目がけて襲いかかった。


「「「「「!!?」」」」」 「急に魔法を一斉に打ち込んでるわ!!」 「1人に対してあんなにっ!?」 


 最初に魔法メインなのか杖持ちの生徒達が4、5人がベイサン目がけて火属性の魔法を複数放ったかと思うと、その魔法は彼の周囲に着弾して土煙を起こした。その土煙はベイサンには目眩しになって彼は視界を奪われてしまったのだ。


「あらかじめ共闘するなんて、反則にならないの!?」 「危ない!!」 


 そして、それを待っていたかのように、剣や槍などの物理攻撃手段を持った生徒6人ほどが、タイミングを合わせ一斉にベイサンがいる場所に力一杯武器を振り下ろす。


「「「やぁっ!!」」」 「「「ふんっ!!」」」ブォンッ!!!


「あっ!次は武器持ちが全員で襲いかかったわ!!」 「おい!どう見てもやりすぎだ!!」 「きゃぁっ!!見てられないわ!!」 「審判!何してんだ!!」


 その様子をこの試合を見ていた人達の大半が、ベイサンが危険に晒されていると思った事だろう、だが、その様子を見ても僕達のいるボックス席の人達は誰も焦る様子もなく、静かに見守った。


 ガキッンッ!!! 「「「「「っ!???」」」」」 「「「「「!?」」」」」


 誰もが最悪を予想し息をのみ緊張する中、武器持ちの生徒達がベイサン目がけて振り下ろした武器が、どれも一定の高さでピタッと止まると同時に、会場内に響き渡ったのは金属が硬い何かにぶつかった音だった。


「ベイサン、魔法発動速度がまた速くなったね、そろそろ“無詠唱“も夢じゃないね!」


へティ「いえ、まだまだですわ、アトリー様、ほら、見てください、本来ならあの魔法は背後の方も綺麗に覆う“ストーンウォール改“ですのに、あんな中途半端な所までしか展開できてませんわ」


 と、ベイサンが土魔法で作り上げて、複数の武器を受け止めた岩の壁を指さし、手厳しい指摘をするへティ、そう、あの鳴り響いた音の原因はベイサンの前方の半分を球体状に覆う、硬い岩材の壁だった。これはへティが言う通り、本来は自分の周囲を半球体状に覆い隠す形をとる魔法なのだが、魔力の込め方やイメージが正確に固まっていないとあのように中途半端な形で出来上がってしまう・・・

 と、言っても、この魔法、従来のものは自分の目の前に直線で横に1、2メートル程の石壁を形成させる魔法だったのだが、僕がこれだと後ろがノーガードじゃないか、と思って、全てをカバーできる半球体状(てっぺんに空気穴あり)に魔改造した魔法なので、従来の“ストーンウォール“より発動するのがかなり難易度の高い魔法になっているのだ、だから、咄嗟に“詠唱破棄“で発動して、半分とは言え、あれだけ形作る事ができているのは結構すごい事だったりする・・・


ソル「そうだね。魔力量は申し分なさそうだったから、あとは発動後の石壁を明確に思い浮かべる事ができれば、完璧に“詠唱破棄“を使いこなせていると言えるだろうね・・・」


へティ「そうですよね?」


「2人は手厳しいなぁ・・・まぁ、向上心が強いのはいい事だけど、無理はしてほしくないんだけどなぁ」


へティ「もう、アトリー様はお優し過ぎるんですわ」


 そんな会話していると、


 ドカンッ!!! 「「「「「わぁっ!!」」」」」


「お、ベイサンが反撃に出たね・・・」


ソル「そのようですね・・・」


 大きな何かが壊れた音と観客の驚きの声が聞こえ、下の舞台に再び目をやると、ベイサンが自分が作り出していた岩壁を右手に装備して魔力を通してある剣で切り崩し、すぐに反対の手に装備していた盾で自分に襲いかかってきた選手に向かって、勢いよく岩の破片を弾き飛ばし浴びせたのだった。

 その岩の破片が弾丸のように舞台上に無数に飛び散り、近くにいた選手達に襲いかかる、ベイサンに武器で襲いかかっていて、最も近くにいた選手達は交わしたり弾き返すなどの対応もできないまま、多くの岩の破片の弾丸を受け、あちらこちらから血を流しながら床に転がり気絶し、少し離れたところから魔法で攻撃していた選手達は、気絶するまではいかないが多くの打撃を受け、痛みでうずくまった。


「これで半分に減ったね・・・しかし、便利だね、あの“魔道具“・・・あ、また消えた」


ソル「どうでしょう?こう言った時には便利なのでしょうが、使用する魔力量と効果が釣り合わない気がしますよ?」


へティ「そうですわね?利用できる範囲も限定的ですし、使い所が難しいと思います」


ライ兄様「まぁ、アトリーが“転移魔法“を簡単に使っている所をよく見ている俺らからすれば、かなり使い勝手の悪いものなのかもしれないが、あれでも結構貴重な“魔道具“からな?」


ヘリー姉様「そうよ、あれでも以前より改善されたのよ?」


 と、今、話題に上がっている“魔道具“と言うのは、この“大会“のために毎年使用されている“制限付き転移魔道具“と称される物で、これは第一試合で選手達一人一人に取り付けられている使い捨てのピンバッチ状の物で、そのピンバッチをしていると、使用者が舞台上で気絶したら勝手に舞台の外に運ばれると言う繊細で高度な仕組みになっている“魔道具“だ。

 この“大会“の第一試合では毎回、大人数のバトルロワイヤル方式なので、ルール状、試合中に気絶者が出ても毎回試合を止めて気絶者を舞台から降ろすと言う事ができないことから、あらかじめ“転移魔法“を組み込んだ“魔道具“を使用して気絶者の安全確保に使用している。

 その“魔道具“について、僕は“転移系の魔道具“でこんな限定的な設定をして使用している事に感心し、使用用途に沿って小型化された“魔道具“見て便利そうだと思っていたのだが、ソルやへティはコストに釣り合ってないことや、使用用途が限られているのであまり便利とは言い難いと指摘していたが、そこにライ兄様とヘリー姉様は前回の“大会“に使用されていたものを見た事があるので、今回の物は前回よりは性能が上がっているのだと教えてくれた。


(へぇ~、ちゃんと研究も続けられてるんだぁ、どこが改良されたんだろう?気になる・・・あ、・・・)


 へティ、ソルとヘリー姉様、ライ兄様達の間で“魔道具“の使用用途に関しての議論が白熱しそうになっている横で、1人だけのほほんとそんな事を考えていると、舞台上でベイサンに気絶させられた選手達が“魔道具“のおかげでちゃんと全員が場外に移動し、ベイサンの前には傷を負って痛みで動けない人達が残った。


ライ兄様「お?ベイサンが魔力で威嚇してるな?」


「本当ですね?珍しい・・・」


ソル「怒ってる?」


へティ「まぁ、そうですね・・・ベイサンがあんなに怒ってるのは久しぶりに見ましたわ・・・」


 普段から活発だが温厚な性格のベイサンが、相手に魔力威圧をしてまで怒りを露わにすることはなく、怒っていてもちゃんと相手の言い分も聞く冷静さを持っている、そんなベイサンを怒らせたのはどうやら、怪我を負って動けていない選手達の中にいるようだった。


(あの、ベイサンの前にいる生意気そうな選手が何か余計なこと言ったのかな?(・・?))


春雷『まぁ、言いましたね・・・・』


(あ、やっぱり・・・へティとかの悪口でも言ったんだろうなぁ・・・(*´ー`*))


 ベイサンはへティ一筋だから、へティを侮辱する発言をしたり、手を出したりするような奴には容赦がない事を僕達、いや、学園では結構有名になるくらい良く知られているのだが、他国の選手はそれを知らずにへティの事で何か言ったのだろうと僕は思った。すると、


雪花『へティちゃんの事も言われてましたけど、主にアトリー様の事を侮辱した発言をしてきた事に、イネオス君とベイサン君のお二人はカンカンに怒っていましたよ』


(ん?僕のこと?あ、あれか、選手控え室で他国の選手達と揉めたって言ってたやつ?)


 雪花がベイサンが怒っている理由の理由が僕の悪口を言われたからだと、報告してきた、それを聞いて僕は一瞬なんでそこで僕が出てきたんだ?と思ったが、ついさっき開催式の最中に聞いた話を思い出した。


春雷『はい、先程はアトリー様が“大会“を楽しみになさっていたので詳しいことは申しませんでしたが、例の“元、神狼教“司祭の子供が、アトリー様が今大会に出場しないのは怖気付いたからとか、アトリー様はお二人を良いようにこき使っているとか、他の子供達も色々と聞くに耐えない誹謗中傷を言ってました・・・・』


ジュール『むっ!その子達、そんな酷い悪口言ってるの?』 天華『おやまぁ、想像力が豊かな人達のようですね?』 夜月『神罰を恐れぬ馬鹿と言うのはどこにでもいるんだな・・・』 グルルルッ!!


(あらら、( ̄▽ ̄)皆んな、どうどう、僕は真正面からその悪口を聞いたわけじゃないから、そんなに気にしてないよ、だから落ち着いて?)


 雪花の報告をより詳細に説明した春雷の言葉に、それまでのんびり僕ん膝の上でくつろいでいたジュール達がピクッと反応し、怒気を孕んだ声で低く唸り、今にも僕の悪口を言った選手達に襲い掛かりそうな雰囲気を醸し出したので、僕は皆んなを落ち着かせるように一人一人を優しく撫でながら宥めた。


父様「アトリー、聖獣様方に何かあったのかな?」


「あ、父様、それが・・・」


 急に唸り出したジュール達の機嫌の悪さに何か察した父様が、僕に説明を求めて声をかけてきた。僕はこれと言って隠す事でもなかったので、これまでの経緯を詳しく話すと、


父様「それはまた、怖い物知らずな事を・・・、わかった、この件は私達大人がどうにかするから、アトリーは気にしなくて良いよ」


「?はい・・・?」


 父様は自分に任せておけと言ってくれたのだが、僕には何を任せるんだろうか?とこの時、良くわからないまま返事を返した。


(どうにかするって、なにを??(・・?)子供のただの悪口だよね??どうにかするっても、あの子達と僕は会う事はないだろうから、悪口なんて言わせておけば良いだけなのに・・・・)


 と、かなり適当な事を思っていたのだが、この子供達の些細な小競り合いが、後にあんな大きな騒動の予兆だったとは知る由もなかった・・・



 そして、こんなやりとりをしている間にベイサンはサクサクっと自分を襲った選手達を倒し、余裕で第一試合を切り抜けていた。その後、父様は春来達から詳しい話を聞きたいと言って、春雷達と親世代数人を連れてボックス内に完備されている会議室?に連れていき、それから戻ってこなかった。

 そうしていると、次の3試合目が始まったので観戦を優先することに、するとベイサンと同じ理由でイネオスも怒っていたのか少々荒っぽく、でも淡々と特定の選手を標的にして場外、または気絶させて行って、第一試合を通過しているのを見守った。


 最後に同じ学園の出場選手で女子上級生が出る試合で予想外のことが起こった。


「あぁ~、先輩惜しかったね、後もう少しだったんだけど、今回の組の他の選手が強かったみたいだ・・・」


 そう、僕はうちの国の選手全員は難なく通過できるだろうと予想していたのだが、この4試合目は一緒の組になった他国の選手のレベルが他とは比べ物にならないくらい高かったようで、同じ組に入っていたうちの国の代表選手の女子上級生は後もう少しと言ったところで、舞台から弾き飛ばされて今回の“大会“では脱落になってしまって残念だなぁと思いながら見ていたが、


「でもまぁ、3人は次に進出できたから良いか・・・」


 と、思い直し、次の試合、一般部門の第一試合、と言うか、予選を興味深く観戦して、この日の“国際武闘大会“は終了した。
















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― 新着の感想 ―
 なんだっけ?犬をもっふもっふしたい教だっけ?起こした事件について公表されているのに子供がまた問題を起こしてなら子供自身の問題だけど公表せず伝えただけなら歪んで伝わってる気がするなぁ。そしてアトリーは…
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