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間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜  作者: 舞桜
第5章 少年期〜青年期 学園4学年編
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12話 母は強し


(てか、相変わらず気が短いなぁ、まぁ、挨拶を返さなかったのは悪いとは思うけど、僕今、リアン抱っこしてるからあんまり暴力的な事してほしくないなぁ・・・(*´ー`*)はぁ・・・)


 と、この状況でもずっとおとなしく僕の腕の中で、ニコニコ笑いながら与えられたおもちゃに夢中な可愛いリアンを見て、大物になるなとか思いつつも、目の前の怒り狂っている面倒な相手に溜め息が出るのであった・・・



 はい、どうも、僕です。今、目の前で騒いで暴れる白豚さん、いや、レーグルス第3皇子殿下を眺めています・・・


(ん?今思ったんだけど、僕って帝国からしてみれば賓客扱いだったよね?だから彼も機密事項だった僕の帝都入りの情報を掴んでまで自分の株を上げたくて、仲が良くないのに、これだけの貴族や有力者達を連れてわざわざ僕を出迎えに来たんだろうし、それなのにそんな相手と喧嘩しようとするなんて、何がしたいんだろうね?彼・・・(*´Д`*))


天華『本当にお馬鹿さんですねぇ、こんな大勢の前で賓客に殴りかかってこようとするとか・・・』


雪花『それにこの人、アトリー様の守護結界のこと完全に忘れてません?』


ジュール『確かに、前もその事でソルに注意されてたはずなんだけどね?』


夜月『それより、アトリーに何かしようとすれば周りに止められるってことも忘れてるな・・・この様子じゃ・・・』


春雷『あ、今、帝城から皇太子が兵を引き連れてこちらに向かって来てるみたいです』


(え?皇太子が?あ、もしかしてこの第3皇子を引き取りに来ているのかな?それなら、ちょうどよかったね( ´ ▽ ` ))


 と、念話している僕は今、ソルやジュール達が展開している物理結界と遮音結界の中で、抱っこしているリアンをおもちゃであやしている。今この状況になったのはほんの数秒の間のことだった・・・・


 僕は普段、公爵家のイメージを壊さないためと、女子生徒には勘違いさせないために、基本的にはあまり喋らないようにしている(特にイラつくとすぐに口が悪くなるから)、ジュール達との会話も基本的に念話でやり取りしていることもあって、仲の良い友達や身内以外の人は僕の事を無口な人間だと思っているだろう、その中でもあまり喋らない僕のことが気に食わない人達が一定数いる・・・そう、この第3皇子もそのうちの一人だ。

 向こうは以前の僕との間に起こった確執、と言っても、向こうが勝手に喧嘩を売って来て、僕に剣術の試合でボコボコにされたことを、さっぱりなかった事にして、僕とは仲が良かったような振る舞いをしたので、そんな事実がなかった上に、この時は本当に知らない人に親しげに話しかけられたと思った僕は少し驚き、いつもの癖で脳内でジュール達と会話をしていたら、向こうは自分を無視したと思って怒り始めたのだ。


 そして、「僕を無視するとはいい度胸だな!!」と言って殴りかかってきた、だが、その拳は僕に届く前に、うちの家族全員を包み込む物理結界をソルが展開し、その物理結界に阻まれ、その場ですぐにデューキス家の使用人達に拘束されたのだ。

 僕は拘束されて騒ぐ第3皇子の言葉をリアンに聞かせたくなかったので、遮音結界を張ろうとしたら、その前に、夜月が皇子のうるささに耐えかねて遮音結界を張ったので今の状況になった。

 結界の外では何か叫んでいる第3皇子、そして、その側近らしき人達はどうしていいか分からないのか、捕まってる皇子の周りをうろうろしているだけ、他に皇子が連れて来た貴族や上流階級の人達は皇子の様子にドン引きしていた。


 そんなカオスな状態だったのだが、今の春雷の報告で、多分この状況を収めるために皇太子が来ていると家族に話すと、我が家の大人達がすぐに動いた、お祖父様とお祖母様が使用人達やホテルの従業員に指示を出し、押しかけて来た人達を今から来る人に引き渡すために、ひとまずそれを悟らせないように大広間に止める方針でもてなしつつ、その間に母様と母様の専属使用人であるリアさんと僕の専属達がその出迎えの準備も整え、我が家の護衛騎士達が第3皇子の周囲に念入りに、遮音結界と物理結界を魔道具で張り直して大広間の入り口の隅で隔離し、監視する体制に入った。

 これで自分達の方の遮音結界を解いて、皆んなでやっと一息つけるなと思って、リアンと戯れていると・・・


ライ兄様「ん?アトリー、外でリアが何か用があるようだぞ?」


 と、場が少し落ち着いてきて、僕を見せ物ように見てくる来客達の盾になってくれていたライ兄様が、大広間の奥の方から僕を呼んでいるリアさんを見つけて僕の肩を突いて教えてくれた。


「ん?僕?どうしたんだろう何かあったかな?カミィ姉様、ちょっと行ってくるのでリアンお返ししますね」


 そう言ってリアンを、母親であるカミィ姉様に渡すと、リアンはご機嫌で母親に抱きつき、離れていく僕を少し名残惜しそうに見ていた。僕もリアンと離れるのは凄く残念だったけど、今の状況の結界の外は完全に安全とは言い切れないので、渋々リアンをカミィ姉様に預けて、ソルとジュール達を伴い、結界の外で僕の名前を呼んでいるリアさんのそばまで行き、物理結界の中から用件を聞いた。


リアさん「お呼び立てして申し訳ありません、アトリー様、ですが今しがた、イネオス様方がこちらにお越しになられましたのでお知らせに参りました」


「あ、イネオス達が?早いね?会えるのは明日になるかと思ってたんだけど」


リアさん「そうですね。当初はあちらへのお知らせは明日の予定だったのですが、奥様が帝城へのお知らせの後に、イネオス様方のお泊まりの宿にも知らせを入れるようにとご指示なさったので、そのようにしたところ、イネオス様方はちょうどその時にお出かけになられる所だったご様子で、そのままうちの使用人とコチラにお寄りになられたそうです」


「へぇ、母様が?」(帝都に到着したのがかなり朝早かったから、僕が昼過ぎから暇になるだろうって思って、母様が気を利かせてくれたのかな?(・・?))


 そう思い、大広間の中央付近で来客の対応をしている母様をチラッと伺ったら、見られた事に気づいた母様が優しい笑顔で、“行ってらっしゃい“と、口元を扇子で隠しながら口パクで言ってくれた。


(ふふっ、母様最高!!( ^∀^))


「ふふっ、母様ありがとうございます♪」


 と、口パクで返す僕に、他の人から見えないように軽く手を振ってくれた、僕は許しを得たと言うことで、僕とソルはこの騒がしい大広間をこっそり抜け出し、一足先にイネオス達と帝都観光にいく事にした。もちろん、ちゃんと変装用の魔道具で髪や瞳の色を変えて行く、その前にイネオス達と一回会って、再会を喜ばねばと思い物理結界を出て、全力で隠蔽のスキルで気配を消した後に、リアさんにイネオス達が居る場所まで案内して貰った。


 そうして、大広間の近くにある小さめの会議室のような場所まで案内されて、中にいたイネオス達と再会を喜びあった後に、その部屋で衝立を使って、そのまま変装用のいつもよりグレードの低い、軽い感じの貴族服に着替えた。そして、今回大活躍の変装用魔道具で髪色を平凡な焦茶色にし、瞳の色は薄い黄色に変えて変装を完成させた。

 もちろん、ソルやジュール達も変装用魔道具で色を変えて変装を終えると、イネオス達とその部屋からホテルのエントランスホールまで、人目につかないように気配を消しながら移動し、ホテルの外へと出て行く。


 ちょうどその時、ホテルの入り口付近で帝国の皇太子と近衛騎士らしき人達とすれ違ったのだが・・・


(お、やっと保護者が来たか・・・しかし、なんで第3皇子の行動に皇帝や皇太子は気付くのが遅れたんだろう?(・・?))


 と、不思議に思ったが、今はイネオス達との帝都観光の方に集中しようと思い、その疑問は頭の片隅に押しやったのだった・・・




 一方、アトリー達が帝都の街に繰り出した頃、いまだに多くの来客がいる大広間では、アトリーの母親、シトリス・ノービレ・デューキスが、この状況を収めるために駆けつけた皇太子と顔を合わせていた。


 第三者 視点


シトリス「皇太子殿下、わざわざお越しいただきありがとうございます」


皇太子「公爵夫人、急の訪問申し訳ない」


シトリス「いえいえ、気にしてません。ただ、コチラの方々をお引き取りいただけると幸いですわ」


皇太子「あ、あぁ、本当に、ご迷惑をおかけしてしまったようだ。すぐに“対処“するので許して欲しい」ギロッ


「「「「「ひっ!」」」」」


 シトリスは挨拶もそこそこに、拘束されている第3皇子と、大広間でのほほんともてなされている、その彼が連れてきた傘下の貴族や商人などを、チラッと見て困った顔で見て、案に迷惑だからさっさと連れて帰れと言った。皇太子もこの状況を見て、その言葉の意味を正確に受け取り、自分の腹違いの弟の所業と醜態に頭痛でもしたのだろう、少し俯き眉間に皺を寄せ目頭を押さえたが、すぐに顔をあげて弟とその取り巻き達を鋭く睨め付けながら軽く謝罪をした。その、眼光の鋭さに睨みつけられた人達は小さく声を上げて顔色を悪くして縮こまったのだった・・・


シトリス「よろしくお願い致します」ニコッ


皇太子「・・・この者達を全員拘束して帝城に連行しろ!!」


「「「「「はっ!!」」」」」 「「「「「!!?」」」」」


 皇太子の指示で一斉に近衞騎士達や衛兵隊が動き、次々に捕まえられて行く貴族や商人達、諦め悪く逃亡をしようとする者や、言い訳を並べて逃れようとする者達などで大広間が再び騒がしくなった。その様子をデューキス家の一家や使用人達は静かに見守っていたが、この時、シトリスは皇太子の軽い謝罪をあえて謝罪として受け取らず、貴族特有のアルカイックスマイルで拒絶した、これは大国の皇太子相手に大変失礼なことと分かっていても、今回の事はデューキス家としては大変遺憾であり、その程度の謝罪では到底許すつもりはない、これはデューキス家全体の方針だと態度で示していた。

 その態度の裏にある意味もすぐに気づいた皇太子だったが、今この状況で強く指摘することができないほどの気迫をデューキス家関係者から感じた。


 それもそのはず、今回の“国際武闘大会“を開催するにあたって、国内外から“神々の愛し子“である、デューキス家の末子をこの目で見たいから、どうにか招待できないかと言う嘆願や要望がこれでもかと言うほど寄せられた結果、その要望に応え賓客として招待したのは自分達、帝国が国として正式に賓客として招待し、例の襲撃情報もあったため、極秘裏に帝都入りしてもらうために様々な便宜も図ると言う条件を出して、やっと帝都入りして貰ったのにも関わらず、コチラの不手際でこのような事態を招いてしまった。それも身内が起こしたのだ、物凄く気まずい上に、この場に肝心の“神々の愛し子“の姿が見えないことで、内心とても焦っているのだった。


皇太子「・・・公爵夫人、“彼“は今どこに?」


 大広間での大捕物がひと段落ついて、やっとアトリーの所在を聞くことのできた皇太子に


シトリス「・・・さぁ?あの子が今どこにいるか私はわかりません。あの子があのお方と数回言葉を交わして少々揉めた所までは姿があったんですが、その後にいつの間にかいなくなっていたんですの。ですので、今はどこで何をしているか私達は誰も分からないのです」


 と、シトリスは出て行った事は知っているがその後どこに行ったかは本当に知らないので、嘘ではないが本当のことも言わなかった。


皇太子「なっ!?た、大変ではないか!!子供がいなくなったのに居場所もわからないのか!?」


シトリス「えぇ、そうですね。でも、大丈夫ですよ。あの子には“神々の加護と聖獣様方“が居られますから、それにあの子自身も冒険者として活動もしていますから、どこに行っても大概の事は自分でできます。今は多分、気分転換にどこかに遊びに行っているのでしょう、その内気が向いたら戻ってきますわ」ニッコリ


 帝国が国をあげて招待した賓客が、機嫌を損ねていなくなったことに大いに焦り狼狽えてしまった皇太子に、なんの問題はないと言った落ち着いた口調でそう返しケムに撒いたシトリス、本当は今アトリーがどこで何をしているか探そうとすればすぐにわかるが、それをわざと教えなかったのには訳がある・・・


 今回の旅行は本当ならアトリーが最も望んだ形で進める予定であったが、帝国からの正式な招待状が来たことと、帝国での貴族達の怪しい動きの情報のこともあったため、帝国側からの旅行の道中のでの様々な便宜を図ると言った申し出を渋々受け入れたのだ、それにデューキス家としても、隣国で国家間としては対等な立場の帝国からの招待は断りづらかった事もあった。

 だが、その招待を正式に受けてあの惨状になってしまったと考えれば、この先は帝国側との連携は取らない方が、情報漏洩の可能性もなくなり、アトリーの安全が確保されるだろうと言う考えのもと、あえて、皇太子にアトリーの居場所を把握できてないとミスリードさせたのだ。


 それに、シトリスから笑顔でこう言われてしまっては、皇太子としても強くアトリーを探すように要請する事もできないのだ、何故ならアトリーが自分の意思でこの場を離れたと言うことで、自分達が彼の行動を咎めることも、制限することもできないからだ・・・・

 そして最初、シトリス達もそれが分かっていて、混乱するこの場所からアトリーをどうにか理由をつけて離れさせるつもりだったのだが、この時はちょうど良いタイミングでイネオス達が来てくれたことで、アトリーに違和感を持たせる事なく自然にこの場から離れさせることができて、自分達も嘘にならない言い訳ができたのだった。


皇太子「ぐぬぅ、では、彼が戻り次第一報を入れていただけるだろうか?」


シトリス「・・・それは確約できませんわ。あの子が帰ってきたとしても、そちらの方の状況が改善されなければ、今回と同じようなことがまた起こるかもしれませんので・・・・それにまずはコチラとしても、まだ当主が帝都入りしておりませんから、家族が揃い次第、今後のことを話し合って方針を決めさせていただきます」ニコッ


皇太子「・・・あい、分かった、その方針が決まり次第、コチラにも連絡を入れてほしい・・・」


シトリス「分かりました」


 そうして、皇太子はシトリスの笑顔の圧に負けて少し肩を落として帝城に帰っていき、デューキス家は帝国側の干渉を拒絶することができたことで、アトリーの更なる安全が確保できたことを喜びあったとか・・・


*この時、シトリスは表面上穏やかな表情は保っていたが、皇太子がいなくなった後は大変ご立腹な様子で、帝国の不手際を珍しく愚痴っていたらしい・・・















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